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 ◆  ■   ■  ■  ■  ■ ■  ■  □[第93号]2004/1/26
◆   ■  ■  ■■  ◆ ■ ■  ■■ □−−配信数 621−−□

 スペーシア・メールマガジンの第93号をお送りします。
 名古屋からの情報発信とともにまちづくりのネットワーク形成をめざしています。
今回、はじめて送信させていただいた方もよろしくお願いいたします。
 
<内容・目次>
  ◆名古屋まちづくり情報◆
   ・昭和初期の典型的な地方銀行建築・旧津島信用金庫本店の行方 
  ◆視察レポート◆
   ・複合商業施設「ラ チッタデッラ」 
  ◆読者の声◆  
  ◆スペーシアのこの頃◆ 

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 ◆名古屋まちづくり情報◆ −名古屋から情報発信−
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○ 昭和初期の典型的な地方銀行建築・旧津島信用金庫本店の行方 ○
     (愛知県津島市)

 津島の市街地には、本町筋と呼ばれる街道が南北に走っているが、これはかつて流れて
いた天王川の自然堤防沿いにできた道筋である。川が消えてしまった現在でも、昔の川の
流れに沿ってゆるやかに蛇行する道筋が残されている。この本町筋に町並みが形成された
のは16世紀初期からと言われ、津島は伊勢と尾張をつなぐ湊町として発展した。
 幾つもの時代を経てきた本町筋には様々な時代の建物が混在して並んでいる。中でも天
王通りの北側に位置する本町1丁目界隈では特徴ある風景が見られる。尾張有数の商家街
の名残を残す、江戸時代・明治時代の町家が軒を連ねる間に、昭和初期建築の鉄筋コンク
リート造2階建ての建物、旧津島信用金庫本店が、巨大な箱のように納まっているのであ
る。異質な建築様式が混在しているところが逆に、町並みが多くの時代を経てきたのだと
いうことを感じさせる。
 この旧津島信用金庫本店の建物は、1929年に名古屋銀行津島支店として開店し、東海銀
行津島支店を経て、1968年に津島信用金庫本店社屋となり、店舗移転後は倉庫として使わ
れ、現在は津島信用金庫と合併した「いちい信用金庫」が所有している。専門家による
と、昭和初期の地方都市に建てられた銀行建築の典型で、文化財としても価値は高いとい
う。毛織物隆盛期に都市銀行も林立した津島の経済的繁栄を物語る上でも貴重な文化遺産
である。
 しかし現在、この建物の存続が危ぶまれている。いちい信用金庫が、老朽化して使い途
のない建物の処分を検討しているからである。しかし、建物の公共的価値を認識した信用
金庫が津島市に相談を持ちかけ、現在市と信用金庫の間で話し合いが持たれている。財政
事情が厳しい市としては、市民に保存の気運が高まり、活用にあたっての主体的な関わり
がないことには、建物を取得することはできないという考えを持っている。
 そのような状況の中、貴重な町並みが失われることを危惧した市民が動きはじめた。
2003年11月に本町1丁目の住民10人が、町並みを守るための組織「トノ割会」を発足させ
たのだ。自分達にできることからということで、竹でつくったプランターに花を植え、町
内の各家の前に飾ったり、信用金庫建物の前に丸太で作ったベンチを置いて休憩スペース
をつくったりしている。今後は、イベント開催などにより、町並みを多くの人に知っても
らう活動をしていきたいと意気込んでいる。
 また、市民組織「天王文化塾」では、会員が集まって信用金庫建物活用のためのアイデ
アを出し合い、冊子にまとめて市に提案した。天王まつりをヒントにして「まつりとあか
り」をテーマとする施設とし、あかりの博物館や観光案内所といった機能を持たせ、運営
にあたっては新たなまちづくりNPOを設立するという提案である。2004年1月に会員らと
市長が会合を持ち、信用金庫建物の活用や、町並み保全について意見交換を行った。
 信用金庫建物の行方については、2004年3月中に方向性が出されることになっている。
この建物が失われると、町並みは壊滅的な打撃を受けることになる。逆に、市民の手でう
まく活用する道筋ができれば、まちの活性化や町並み保存活動に勢いがつくだろう。何と
か活用できるようにしたい。 (伊藤彩子)

参考資料:
中日新聞記事(2003.12.14)
日本建築学会東海支部歴史意匠委員会編『東海の近代建築』中日新聞本社、1981年
飯田喜四郎+伊藤三千雄顧問、瀬口哲夫+竺覚暁編『近代建築ガイドブック東海・北陸編』
鹿島出版会、1985年
愛知県史編纂用資料「津島信用金庫旧本店(津島市)調査中間報告」
津島市中心市街地活性化事業推進協議会「津島の町屋・町並み調査及び保全計画」、
2003年

 →ホームページに写真を掲載しています。
   http://www.spacia.co.jp/Nagoya/arekore/tusima-sinkin/index.htm

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 ◆視察レポート◆ −まちづくりに参考になるものを紹介−  
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○ 複合商業施設「ラ チッタデッラ」 ○

 昨年暮れにJR川崎駅東口から徒歩約5分の所に位置する「ラ チッタデッラ」を視察
した。2002年11月に開業したシネマコンプレックスを核としたメイン施設「マッジョー
レ」棟や昨年10月にオープンした「ビバーチェ」棟をはじめ、6棟から構成される複合商
業施設である。東京汐留再開発エリアにおいて大規模なイタリア街「チッタ・イタリア」
建設事業が進められているが、「ラ チッタデッラ」は、マイカル桑名、福岡のキャナル
シティ、大阪なんばパークスを手がけたジョン・ジャーディのデザインにより、小規模な
がらも趣のあるイタリアの古い街並みが再現されている。イタリアのヒルタウン(丘陵に
造られたまち)をモチーフとして建設されたマッジョーレ(中心という意味)棟には、14
スクリーン、約4,300席の首都圏最大級の席数を誇る映画館のほかに、迷路性の高い石畳
の坂道に面してオープンモール形式の飲食・物販34店舗が軒を並べ、町の頂上にはチャペ
ルが配置されている。棟正面の噴水を囲んでクローズドモール形式でアパレル中心の26店
舗が入ったビバーチェ棟と映画館のチネグランデ棟が歩廊でマッジョーレ棟とつながり、
ジャーディらしい変化に富んだ空間演出がなされている。その他、ライブホールや深夜ま
で営業するレストラン・バー等の路面店などもあり、多様な時間対応型の商業施設となっ
ている。平日の寒い日にもかかわらず、小さな子ども連れの30才代夫婦や若者が多く散策
していた。

 東京を中心に大規模な高層・高容積型の複合商業開発が大きな話題となっているが、需
要面から高容積化を追求した従来の再開発が困難な地区における施設整備のあり方とし
て、「ラ チッタデッラ」のような低容積・高密度型の開発は、一つの参考になるのでは
なかろうか。 (浅野泰樹)

 ラ チッタデッラのHP  http://lacittadella.co.jp/index2.html

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 ◆読者の声◆ −みなさんからいただいた感想や意見を紹介− mm@spacia.co.jpへ
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 (みなさんからのご意見・ご感想をお待ちします) 

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 ◆スペーシアのこの頃◆ −所内の話題をちょっと紹介−
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・ネット上で様々な統計データが入手できるようになってきました。政府統計の総合
 窓口というポータツサイトもできました。
 http://portal.stat.go.jp/Pubstat/top.html
 ネット上には様々に活用できる貴重なデータは保存されています。まちづくりを
 考える基礎資料として、うまく活用していきたいものです。

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 を活用し、様々な意見交換等を行うことによって、より深いネットワークが形成
 できればと考えています。 様々なご意見や情報もお寄せ下さい。このメールマガ
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