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スペーシア・メールマガジン(隔週発行予定)  □[第433号]2017/2/28□  □配信数 733□


スペーシア・メールマガジンの第433号をお送りします。
名古屋からの情報発信とともにまちづくりのネットワーク形成をめざしています。
今回、はじめて送信させていただいた方もよろしくお願いいたします。

<内容・目次>
 ◆図書紹介◆
 ・「環境を守る」とはどういうことか−環境思想入門
 ・エリアリノベーション 変化の構造とローカライズ
 ◆読者の声◆
 ◆スペーシアのこの頃◆

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◆図書紹介◆ −まちづくりに参考になるものを紹介−
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○「環境を守る」とはどういうことか −環境思想入門/尾関周二 環境思想・教育研究会 編者○
 岩波ブックレット/2016年11月17日発行

 地球環境問題は、世界的に取り組むべき課題であり、その解決に向けて国際会議で
議論されたり、人々が毎日の暮らしで取り組んでいたりする。環境汚染要因を分析する
自然科学や環境問題メカニズムを分析する社会科学が発展し、各学問の細分化・個別化が
進む一方で、「環境を守る」ということを学問としてとことん突き詰め考え、「環境」をめぐる
哲学・倫理学的として「環境思想」を研究することの必要性を感じている研究者たちに
よってまとめられた「環境思想」の入門書である。
 哲学・倫理学的思想と言われて、難しそうと感じる方も少なくないと思う。しかし、この本の
各章の冒頭には、「なぜカブトムシは商品として売られるようになったのか」、「野生動物
としてのクジラと人間にとっての鯨」など、身近で具体的な話題が平易な表現で書かれて
おり、その身近なものからだんだんと哲学的な思想のポイントに到達するような工夫の
ためか、「環境を守る」ということの全体像をイメージすることができた。
 「環境」は一体誰のために守るのか、人間のためだけに守るものなのか、そもそも守る
べき「環境」とは何なのだろうかと問われて、悩まれた方にはおすすめの一冊である。
(山崎 崇)
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〇エリアリノベーション 変化の構造とローカライズ/馬場正尊+Open A 編著〇
 学芸出版社/2016年5月25日 発行

 「エリアリノベーション」というタイトルを目にした時、リノベーションして再生したこじんまりと
してはいるが、おしゃれな雑貨屋だとか、カフェだとかが街のいたるところに生まれ、生き生き
とした空間を形成している。ぼんやりとだがそんなイメージが頭に浮かんできて、思わず
本書を手にすることになった。
 「エリアリノベーション」とは、昔から存在する行政主導のマスタープラン型の手法や、
市民の自発的な良心に依存した「まちづくり」でもない「新しいエリア形成の手法」である、
と本書において説明されている。ある一定のエリアに点在するリノベーションされた各建物は、
相互に共鳴し、ネットワークし、面展開を始める。そして最終的にエリア全体の空気を魅力的に
ダイナミックに変えていく。この新しい手法は、既に限界をむかえつつある「成長ありき」を
ベースとしてきた従来の都市計画にとってかわる新しい手法となりえるというのである。
 本書では、このエリアリノベーションの方法論をまとめあげる上で参考になり、重要な
材料になると位置付けた、6つのまち(1.東京都神田・日本橋、2.岡山市問屋町、
3.大阪市阿倍野・昭和町、4.尾道市旧市街地、5.長野市善光寺門前、6.北九州市
小倉・魚町)において、エリアリノベーションをドライブしてきたキーマンに実施したインタビューを
元に、取組みの流れを紹介し、分析を行っているが、どの事例もとても魅力的である。
そしてその分析から得た結果として、本手法を成功させる要因である@全国共通の
「基本構造」と、A地域によって違いの見られる「ローカライズ」、という2つの視点から
それぞれの要素を導き出している。「(誤解を恐れずに言うならば、)エリアリノベーションの
動きと既存のコミュニティの関係は薄い。」といった、意外で新鮮と感じる内容もあって
面白い。
 著者はこのエリアリノベーションという手法で立ち上がった都市の風景は、20世紀の
ような整ったものではなく、雑多で、ノイズに溢れ、いい意味でいいかげんな風景かも
しれない、と言っているが、同時に、これから選択すべき都市の素直な未来をみた、
とも書いている。こういったまちがどんなまちなのか気になる方はぜひ本書を手に取って
もらうと良いと思う。
(大河原 章介)

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◆読者の声◆ −みなさんからいただいた感想や意見を紹介−
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(みなさんからのご意見・ご感想をお待ちします)

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◆スペーシアのこの頃◆ −所内の話題をちょっと紹介−
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・先日、愛知県の武豊地域で障がい者支援と健常者がともに活動する団体の25周年
 記念の会によばれていきました。NPO法の成立よりずっと前に発足し、現在も任意団体
 ながら、誰もが住みやすいまちづくりに向け学校での福祉実践教室、ボランティア活動
 などに長年地域密着で取り組む姿勢には、いろいろ学ぶべきものがありました。
(T.A)

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