スペーシア・メールマガジン(隔週発行予定) □[第420号]2016/8/15□ □配信数 733□
スペーシア・メールマガジンの第420号をお送りします。
名古屋からの情報発信とともにまちづくりのネットワーク形成をめざしています。
今回、はじめて送信させていただいた方もよろしくお願いいたします。
<内容・目次>
◆図書紹介◆
・「決め方」の経済学−「みんなの意見のまとめ方」を科学する/坂井豊貴 著
・条例によるまちづくり・土地利用政策
−横須賀市が実現したまちづくり条例の体系化−/出石稔 著
◆読者の声◆
◆スペーシアのこの頃◆
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◆図書紹介◆ −まちづくりに参考になるものを紹介−
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○「決め方」の経済学−「みんなの意見のまとめ方」を科学する/坂井豊貴 著○
ダイヤモンド社/2016年6月30日発行
昨年、「多数決を疑う-社会的選択理論とは何か」という1冊を紹介したが、その姉妹書
として、学問や思想の歴史的経緯にあまり立ち入らずに、よりわかりやすい読み物として
まとめられたのが本著である。
日本の選挙で当然のように使われている単記式の多数決は少数派の意思が排除される
だけなく、多数派の意見でさえも常に尊重されるわけではないという弱点があることや、
各候補に順位を付けて投票するといった優れた意思集約方法もあることなどが、実際の
選挙や世論調査、簡単な例をあげながら、前書よりも非常にわかりやすく紹介されている。
前書では、「多数決で決めた結果だから民主的」や「選挙で勝った自分の考えが民意」
といった発言への反論を意図的に避けたそうだが、本著では投票の方法で選挙結果が
変わることがあるため、多数決による選挙結果を勝手に民意と呼んではいけないという
著者の考えが自然に理解できるように思う。
また、多数決を正しく使いこなすことは簡単なことではなく、決定する対象をあらかじめ
制限しておいたり、小数派に不当な負担を与える暴力にならないように常に注意する
必要がある点は非常に重要だと感じた。業務で携わるまちづくりや再開発の現場に
おいて、協議や調整を重ねても全員一致で合意できずに最終的には多数決に委ねる
場合も多くあるため、この点は常に念頭に置いて業務に取り組みたいと思う。
(山崎 崇)
<関連ページ>
「多数決を疑う-社会的選択理論とは何か/坂井豊貴 著」
http://www.spacia.co.jp/Mati/tosyo/tasuketsu.html
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○条例によるまちづくり・土地利用政策
−横須賀市が実現したまちづくり条例の体系化−/出石稔 著○
第一法規株式会社/2006年9月15日
地方自治体が制定する条例は様々だが、特に土地利用に関して横須賀市が制定した
条例がどのようなものなのかを解説したのが本書である。土地利用に関する条例に
ついて情報収集する中で本書を手にしたが、横須賀市は「まちづくり条例の体系化」
という観点で全国的に先進的な事例となっているのだ。
横須賀市では、他の地方自治体の例に洩れず、現行の法規制だけでは十分に対応
できない土地利用に関する様々な課題(例えば、斜面地における高層マンション建設に
伴う事業者と住民間とのトラブルの発生など)を抱えている。その課題に対応すべく
「地域の実情に適した」個別のまちづくり条例制定を進めることとなった。そして個別の
条例をただ単に複数制定して終わりとするのではなく、それぞれの条例が相互に関連する
「土地利用調整関連条例」として体系化する方法を選択した。具体的には、土地利用を
進める上での理念や基本方針を明記した「横須賀市土地利用基本条例」が関連条例の
核として存在し、その下に個別条例がぶら下がる格好となっている。個別条例は現在全部で
7つあり、例えば「適正な土地利用の調整に関する条例」は具体的な土地利用に関する
詳細な基準を明記する役割を担い、「特定建築等行為に係る手続き及び紛争の調整に
関する条例」は一定規模以上の建築等行為を行う者に対して義務づけられ住民説明
などの手続きについて明記する役割を担っている。
他の自治体の事例として「練馬区まちづくり条例」は横須賀市とは異なったアプローチをし、
全部で153か条というスケールを持つ土地利用に関する条例を制定している。著者が
「一本化あるいは総合化と、体系化のどちらが分かりやすいかは、意見が分かれるところ」
と書いているとおり、正解がどれかということは決めることはできないだろう。しかし個人的には
本書を読むことによって横須賀市の条例体系化は1つの合理的な回答であることは間違い
ないだろうと感じたし、何より課題解決に向けて改革を継続することの重要性を感じることが
できた。土地利用条例のあり方を考える上で非常に参考になる一冊である。
(大河原 章介)
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◆読者の声◆ −みなさんからいただいた感想や意見を紹介−
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(みなさんからのご意見・ご感想をお待ちします)
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◆スペーシアのこの頃◆ −所内の話題をちょっと紹介−
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・今日から9月上旬にかけて、今年もインターンシップの大学生を2名受け入れます。
社内での作業を中心に、時には現場への同行もしてもらうなど、複数の業務の
経験をしていただこうと考えています。
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