スペーシア・メールマガジン(隔週発行予定) □[第406号]2016/2/3□ □配信数 732□
スペーシア・メールマガジンの第406号をお送りします。
名古屋からの情報発信とともにまちづくりのネットワーク形成をめざしています。
今回、はじめて送信させていただいた方もよろしくお願いいたします。
<内容・目次>
◆住まい・まちづくりコラム◆
・立地適正化計画について〜都市計画セミナーに参加して〜
◆図書紹介◆
・稼ぐまちが地方を変える/木下 斉著
NHK出版新書/2015年5月10日
◆読者の声◆
◆スペーシアのこの頃◆
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◆住まい・まちづくりコラム◆
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○立地適正化計画について〜都市計画セミナーに参加して〜○
先日、都市計画学会のセミナーがあったので、参加してきた。テーマは立地適正化
計画。2014年に改正された都市再生特別措置法で導入された制度である。人口減少が
進む中で、持続可能な都市にマネジメントしていくために、公共交通ネットワークを
活かしたコンパクトシティを日本中で実現していこうという趣旨である。セミナーでは、
制度の根本的な考え方について改めて学ぶことができた。
かなり乱暴ではあるが、学んだことをひと言で言うと、計画の狙いは、コンパクトシティと
言いつつも縮小や縮退などといった都市の形態を変えることではなく、これまで広がり
希薄化してしまったまちを、中身の濃い元気の詰まったまちに変えることで、誰もが
充実した暮らしができるように変えていくことである。そのために立地適正化計画では、
計画の枠組みはあくまで参考に、我がまち、我が地域の将来のまちのあり方を具体的に
示す手段として活用すべきということであった。例えば、立地適正化計画では誘導したい
都市施設とその区域を記載しなければならず、多くの自治体が頭を抱える課題となっている
そうだ。しかし、本質はまちを元気にする、人々の様々なアクティビティを活発にする
という発想が重要で、例えば、買い物などの消費、社会的なボランティア、文化・芸術などの
クリエイティブ活動、学び、交流・余暇など、そのまちに住む人々の暮らしを充実させるためには
どこで何を密度濃く展開していく必要があるのかを探り、そしてそのために必要なハコや
空間、交通などの施設を整備、あるいは既存ストックを活用していけばよいということだ。
流れとしては従来のまちづくりの考え方と変わらないが、人口が減少する中ではより一層、
地域ごとの狙いと覚悟を明確にする必要性があるということだと思う。具体化が計画づくりの
肝なのだが、行政単独で結論を出すのは非常に厳しい課題だと思う。実際にアクティビティの
当事者となる住民側の意見や今ある草の根的な様々な動きも捉えてながら検討する必要が
ある。都市整備の計画と住民のアクティビティの両輪を回していくことではじめて、立地
適正化計画が狙うコンパクトシティ実現になるのだろう。
ここまでセミナーで聞いて考えたことの一部を紹介させていただいた。が、実は弊社では
立地適正化計画づくりにはまだ縁がない。今後、機会があれば、是非お手伝いさせて
いただきたいので、各自治体の皆様、どうぞよろしくお願い致します。
(櫻井高志)
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◆図書紹介◆ −まちづくりに参考になるものを紹介−
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○稼ぐまちが地方を変える/木下 斉著○
NHK出版新書/2015年5月10日
著者の書籍は、書店の「まちづくりコーナー」で目にしたことは多いかと思う。
本書は、今年の年始に発行した「RUBADUB」で書いた、弊社がこれまでに携わった
再開発事業の紹介にあたり訪問した春日井市勝川商店街の店主の方から紹介を受けた。
著者は高校時代からまちづくりの分野に関わってきており、その舞台は地域密着の
まちづくりの先進事例で取り上げられ、リサイクル商店街、エコステーションの全国展開
発祥の地である早稲田商店会で、当時の取り組みや人材ネットワーク構築によりまちづくり
への意識の高まりと考え方が培われてきたことなど紹介されている。
リサイクル商店街は、十数年前に大きな話題となり全国展開をみせたが、著者はその
きっかけとなったイベントを早稲田大学キャンパス内で無償開催するために行政を巻き込み
成功に導いた経緯や、エコ、環境をテーマにしたイベントを単なるイベントに終わらせず、
事業としてしかけ、儲かるビジネスへと発展させながら地域の活性化を実践してきた
これまでの取り組みが記されている。
また、いくつか全国事例が紹介されている中に前述の勝川商店街がある、商店街の
古民家を活用して新たな拠点整備した事業が紹介されている。この事業の中心人物が
冒頭に紹介した商店街の将来をみて再開発に取り組まれた商店主で、空き家となった
古民家に予めテナントをつけ(文中では「先回り営業」と表現)、その賃料(収益)から
建物改修費を捻出するリノベーション型シェア店舗を展開している。さらに次の展開として、
商店街で土地を取得し、テナント賃料を前提にした投資(建設費)により上物を整備し、
近日オープンの予定で、その事業の仕組みなども一部記され、地元だけに興味深い
話題といえる。
そうした、事例紹介を交えつつ著者が考えるまちを変える鉄則(覚悟)として10の
キーワードが並べられている。その基本的な考え方にあるものは、地域が行政(補助金)に
頼らず、自らの意志で活動ではなく事業を展開し儲け、さらにその儲けを地域に還元させて
取組み活性化を目指すというもの。地域が儲けるために何が必要で重要か。地域の事情が
様々な中で当てはまるキーワードも異なると思うが、地域が儲けて活性化をはかるための
アイデア出しのきっかけと、実行への後押しになるのではないだろうか。
(村井亮治)
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◆読者の声◆ −みなさんからいただいた感想や意見を紹介−
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(みなさんからのご意見・ご感想をお待ちします)
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◆スペーシアのこの頃◆ −所内の話題をちょっと紹介−
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・最近三重県内で業務後に名古屋方面への終電がなくなり、宿泊する機会がありましたが、
宿泊したビジネスホテルは平日ながら満員で事前に予約して正解でした。満員だった
理由はアジアからの観光客が多いから。近くには伊勢神宮があり、伊勢志摩サミットが
5月に予定されていることもあり、周辺の街にも宿泊需要があるようです。(T.A)
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