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スペーシア・メールマガジン(隔週発行予定)   □[第399号]2015/10/27□  □配信数 733□


スペーシア・メールマガジンの第399号をお送りします。
名古屋からの情報発信とともにまちづくりのネットワーク形成をめざしています。
今回、はじめて送信させていただいた方もよろしくお願いいたします。

<内容・目次>
 ◆まちのトピック◆
 ・2015秋 特別公開「諸戸徳成邸」
 ◆視察レポート◆
 ・中欧訪問:歴史資産の継承と開放がまちづくりの基本
 ◆図書紹介◆
 ・「多数決を疑う-社会的選択理論とは何か」/坂井豊貴 著
 ◆読者の声◆
 ◆スペーシアのこの頃◆

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◆まちのトピック◆−スペーシアに関わりのある出来事や皆さんからの情報を紹介−
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○2015秋 特別公開「諸戸徳成邸」○

諸戸氏庭園・六華苑(ともに国指定名勝)に次ぐ、諸戸家第三の庭園が特別公開。
山林王2代諸戸清六によって造られた、昭和初期の山荘風庭園・建物(一部)
をご覧いただきます。

*邸内での自由行動は出来ません。写真撮影は庭園のみで建物内は不可とさせて
頂きます。

見学日時 平成27年11月28日(土) @午前10時〜午前12時 A午後1時〜午後3時
     平成27年11月29日(日) B午前10時〜午前12時 C午後1時〜午後3時

集合受付 桑名市役所南玄関で受付(駐車場は立体駐車場をお使いください(有料))
*会場には徒歩で向かって頂きます。現地に直接は行けません。

参加料 無料
定 員 各150人ずつ (申込み多数の場合は抽選)

申込み方法
往復はがきに「郵便番号」「住所」「氏名」「年齢」「電話番号」「希望の時間帯(第1希望〜第3希望)」
返信の表には「郵便番号」「住所」「名前」を記入し、「諸戸徳成邸の保存・活用を考える会」へお送り下さい。
(1枚の往復はがきに3名まで記入できます)

送り先 〒511-0854 桑名市蓮花寺825-20
    諸戸徳成邸の保存・活用を考える会 集山一廣宛

申込み締切 11月6日(金) (必着)

問い合せ先 諸戸徳成邸の保存・活用を考える会 (080‐5130‐6228 集山)

■主催:諸戸徳成邸の保存・活用を考える会
■後援:桑名市、桑名市 教育委員会

〜諸戸徳成邸の保存・活用を考える会・集山一廣様より情報提供いただきました〜

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◆視察レポート◆ −まちづくりに参考になるものを紹介−
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○中欧訪問:歴史資産の継承と開放がまちづくりの基本○

 中欧に行く機会を得ました。ブダペスト、ウィーン、プラハ等の歴史に名を留める都市
訪問です。これら3都市はハプスブルク家が栄華を誇った都市群です。ここではチェコ
共和国の首都プラハについて標記テーマを述べます。

1.チェコは観光国でなく工業国
 チェコ共和国の面積は7.8万kuで日本の1/5、人口は1,050万人で日本の1/13の規模を
有します。プラハはチェコの首都であり、人口126万人、面積496kuで、人口は名古屋の
約半分、面積は1.5倍となっています。チェコは一般的に観光的視点で日本に紹介される
ことが多いので、観光産業が主要産業のように見えますが、GDPのシェアから見ると
「宿泊・飲食サービス」は1.9%、それに対し製造業は25.1%と客観的にみると工業国です。
プラハを通じてチェコを見るので観光国に見えるのでしょう。労働生産性は中欧ではトップ
水準にあり、日本から多くの企業が進出しています。チェコへの直接投資比率は、
1993〜2013年の10年間でドイツ23%、チェコ20%、日本13%、米国8%の順になって
います。(資料:中越誠治「チェコ共和国の経済と投資環境」2015.8)

2.支配・被支配の交差と宗教
 首都プラハは、8〜9世紀に最初の居住地が形成され、爾来千年以上の歴史を持つ
都市として存在を示しています。11世紀初頭には神聖ローマ帝国の中心として、ヨーロッパで
最大の都市として栄え、15世紀からハプスブルグ家(オーストリア=ハンガリー帝国)が
統治しました。1918年の第一次世界大戦終結後にオーストリア=ハンガリー帝国が
解体し、チェコスロヴァキア共和国が誕生し、社会主義体制に組み入れられました。
1968年に「プラハの春」と呼ばれる改革運動が起こりますが、ソ連の鎮圧により失敗
しましたが、1989年になって、ベルリンの壁の崩壊と同時に、ここではビロード革命により、
ようやく共産党政権は崩壊し、1993年にチェコとスロヴァキアが分離することになりました。
そして今日までに約20年以上が経過しています。
 ヨーロッパは陸続きであるため、支配・被支配の関係が入れ替わりながら続く歴史です。
また宗教戦争もヨーロッパを席巻しました。今回、いろいろな教会を巡りましたが、宗教の
理解なくしてはヨーロッパの国々を理解できないのも事実です。カソリックVSプロテスタントの
二項対立ではないようです。プラハはフス戦争(1419〜1439)、三十年戦争(1618〜1648)の
発端となった都市です。

3.プラハは時代層が蓄積する都市
 プラハの中心街は第一次・第二次世界大戦での大きな被害(もちろん無傷だったわけ
ではないが)にも、また、その後の資本主義の高度経済成長に伴う市街地の再開発等にも
巻き込まれなかったことで、ロマネスク様式の大聖堂、ゴシック様式の修道院、バロック
様式の教会、ルネサンス様式の美しい庭園など、すなわちロマネスク建築から近代建築まで
各時代の建築様式が並ぶ「ヨーロッパの建築博物館の街」(プラハ市のネット紹介)になり、
ユネスコの世界遺産にも登録されています。つまり、時代の層が積み重なる市街地を形成し、
その市街地そのものが大きな観光資源になっています。そのためか、プラハはさまざまな
映画の撮影場所になっています。ミッションインポッシブル、007カジノロワイヤル、日本映画
「のだめカンタービレ」などがそれである。最近の映画「鑑定士と顔のない依頼人」(英題:
The Best Offer、原題:La migliore offerta)では、主要撮影場所はイタリア北部であるが、
最後のシーンで騙した鑑定依頼人を主人公が探しに出かけた場所がプラハの旧市役所の
天文時計のある旧市街広場であり、いわば謎解きの迷宮に入り込んだイメージを表現した
ものでしょうか。

4.都市そのものが世界遺産 いかに開放するか
 戦後、自動車が普及し、市街地に車が溢れた時、古い建物を壊してセットバックした
うえで新しい建築物を建てる計画でしたが、途中で断念したようです。断念しなければ、
世界遺産として取り上げられなかったでしょう。
 1992年にプラハの歴史的地区(Historic Core of Prague)はユネスコ文化遺産として
登録されました。この歴史的地区は歴史的遺産地区866?、保存地帯8,963?(緩衝地帯
9,052?)であり、双方合わせた面積はプラハ市の18%を占めます。これほど大きい
歴史的保存地帯は他に見られません。
 旧市街地を整備するにあたっては、ユネスコの文化遺産のマネジメント計画
(Management Plan of UNESCO site)を定め、4つの方針のもと対応しています。
@歴史的資産を有するプラハ−新しいものと古いもののバランスをとる、A繁栄する
プラハ−経済的な開発も含め、価値の創造をする、B通常のプラハ−普通の都市
としての活動を行う、C地域性(中心部、既成市街地、郊外部、周辺部等)の構造を持つ
プラハ−地域の特徴を生かす、がそれです。
 市街地の中心には旧市街地広場があり、そこから四方八達の道がつながっています。
市街地はヴァルタヴァ川の洪水に備えるため、2〜3m底上げをしています。これは
ウィーンのドナウ川対策と同様です。地震や台風はありませんが、国境のない川は上流から
下流へ流れ、時として大洪水をおこします。既存の建物は石造りであるので、埋め立てても
朽ちることはありません。従来の1階が地下階になります。天文時計のある旧市役所の
横には、第二次大戦で残骸と化したビルの一角が残っていますが、この建物をどう
デザインするかは、歴史的地区であるがゆえに難しいテーマとなっているようです。
 ヴァーツラフ通りは13世紀に整備されたものです。当時は馬市場ですが、いまやプラハの
シンボルで750m×60〜80mの空間はチェコの時代を画する変革の広場となっています。
ここには、チェコスロバキア独立宣言(1918)、プラハの春(1968)、ビロード革命(1989)の
舞台となっています。

5.パサージュを通じて建物の開放
 欧州ではもとより教会堂や役所があるところには公共広場が設けられ、戦後には自動車が
街に溢れたころ、自動車を追い出して、歩行者専用道(モール)化するなど公共空間を
市民のために開放しています。中心部の主要な通りがモールになっている都市がほとんど
です。そして、それに奥行きや彩りを与えているのがパサージュです。
 パサージュと言えば、「19世紀から20世紀におけるパリの町並みの変遷や歴史を扱った
ベンヤミンの「パサージュ論」が有名ですが、プラハの中心部には、特にヴァーツラフ通り
にはパサージュ(屋内街路)が多くあります。なかにはデザインに凝ったパサージュもあり、
見ていて楽しい場所になっています。これも(半)公共空間であり、建築物の中を開放し、
人々を楽しませています。オープンカフェだけが公共(的)空間の開放ではありません。
 名古屋も都心の道路比率が高いし、閑所をうまく使えばパサージュも演出できるのでは
ないでしょうか。改めて、「公共空間はだれのもの」さらには「公共性の高い都心の建物も
だれのもの」が問われています。また、強い意志とコントロールなしでは歴史的資産は
守れない、という教訓を得たような気がします。
(井澤知旦)

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◆図書紹介◆ −まちづくりに参考になるものを紹介−
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○「多数決を疑う-社会的選択理論とは何か」/坂井豊貴 著○
 岩波新書/2015年4月21日発行

 2014年12月の衆議院選挙、2015年4月の統一地方選、その後の各自治体での住民
投票など、実際に投票行動をしたり、報道で見聞きしたりすることが多いと感じている
中で手に取ったのが本著である。
 投票率の低さや選挙区制度の問題、住民投票実施に至るまでの経緯や手続き、
投票行動の前に政策や情報が伝わっているのかどうかなど様々な課題があることは
多くの人が認識をしていると思う。日本を含む多くの国で使われている「多数決」という
意思集約の方式は、他と比べて優れているから採用されているわけではなく慣習である
そうだ。また、「多数決」は少数意見が尊重されないということは容易に想像できると思うが、
多数派の意見でさえも尊重されないといった様々な弱点も内包している。1人の有権者が
1名の候補者だけに投票する単記式の「多数決」ではなく、3人の候補者がいれば順位付けの
投票を行い、1位は3点、2位は2点、3位は1点と配点し、その合計得点で当選者を決める
ボルダルールなど、「多数決」よりも優れた様々な意思集約の方法がわかりやすく紹介
されている。
 「多数決ほど、その機能を疑われないまま社会で使われ、しかも結果が重大な影響を
及ぼす仕組みは、他になかなかない。とりわけ、議員や首長など代表を選出する選挙で
多数決を使うのは、乱暴というより無謀ではなかろうか」という著書の考えには納得させられた。
民主的・民意という言葉を深く考えるためにも読んでいただきたい一冊である。
(山崎 崇)

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◆読者の声◆ −みなさんからいただいた感想や意見を紹介−
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(みなさんからのご意見・ご感想をお待ちします)

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◆スペーシアのこの頃◆ −所内の話題をちょっと紹介−
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・先日、久屋大通発展会の呼びかけで行われた「久屋大通クリーンアップアクション」に
 スペーシアのスタッフも参加。平日の朝に1時間という短い時間でしたが、たくさんの
 ゴミが集められました。
 テレビ塔周辺では、来月も週末に様々な催しが行われます。

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 を活用し、様々な意見交換等を行うことによって、より深いネットワークが形成できれ
 ばと考えています。 様々なご意見や情報もお寄せ下さい。このメールマガジンに掲
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(株)都市研究所スペーシア 編集:浅野 健
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