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スペーシア・メールマガジン(隔週発行予定)  □[第373号]2014/10/29□  □配信数 738

スペーシア・メールマガジンの第373号 をお送りします。
名古屋からの情報発信とともにまちづくりのネットワーク形成をめざしています。
今回、はじめて送信させていただいた方もよろしくお願いいたします。

<内容・目次>
◆住まい・まちづくりコラム◆
・地方は消滅するのか?
◆視察レポート◆
・横浜トリエンナーレ2014
◆図書紹介◆
◆読者の声◆
◆スペーシアのこの頃◆

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◆住まい・まちづくりコラム◆
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○地方は消滅するのか?○

 日本は今や人口減少局面に入り、ここ数年は年間20万 人程度の減少を見ているが
これから本格的な(急激な)人口減少の時代に突入する。2005年 を基準に、その
50年前と50年 後の人口はいずれも9千万人だが、年齢構成が大きく異なるため
(高齢化率5.3%→40.5%、生産年齢人口61.2%→51.1%)、50年後は日本の活力が
今より確実に低下する。国民の給与総額も1998年 の223兆円をピークに、減少を
続けている。ボリュームの大きい団塊の世代が本格的定年を迎え、ボリュームの
小さい若者層が社会人なるので、給与総額の減少に拍車を掛けることになる。
 だから同じやり方でビジネスをすれば、給与総額の減少割合で売上げも落ち、
消費税の増税はそれに拍車をかける。売上げを伸ばそうとすると、右肩上がりの
分野を対象にするか、海外の成長分野に進出するかの選択であろう。政府の戦略
市場創造プランでは、健康やエネルギー、観光等がこれからの成長分野との認識
である。ちなみに今の大学1年 生60人に将来働く職場として、地域内、国内、海外の
どれを希望するかと尋ねると、30:25:5であった。地域志向が強いが、その地域に
右肩下がりの職が希望するだけあるかが問題となる。
 増田寛也等は「地方消滅−東京一極集中が招く人口急減−」というセンセーショナルな
タイトルの書籍を出した(中公新書2014)。896の自治体が消滅可能性都市である
とのこと。働く場(所得格差解消や雇用の場)を求めて人口が大都市に集中するが、
大都市ほど合計特殊出生率(女性が一生涯に生む子供の数)は低いので、地方の
消滅と日本の人口減少は同時進行することになる。その本では、国家戦略として
@人口の維持・反転にむけた結婚・妊娠・出産・子育てへの一貫した支援、
A大都市圏への人口流入の流れを変える人口の再配置、B一人ひとりの能力・
資質向上にむけた人材の養成・獲得を打ち出している。そのうえで、それぞれに対し、
具体的な内容を検討している。
 こうした政策について、批判もある。代表的には「さらなる『選択と集中』は
地方都市の衰退を加速させる」(岡田知弘「世界」2014.10) や「消滅可能性都市の
ウソ。消えるのは、地方ではなく『地方自治体』である。」(木下斉「BLOGOS」2014.9.14
http://blogos.com/article/93983/) がそれである。「地方消滅」では地方中枢拠点
都市づくりが東京一極集中に歯止めをかける政策として打ち出しているが、批判は
それ以外の地方は切り捨てとなり、むしろ地方の多様な主体が結集して地域内再投資力を
高めることが現実的であり、実際に地方では、税金に頼らず「地方のまちなか活性化方策」、
「公共空間の賑わい空間への活用策」、「駅を中心としたまちづくり」など様々な
取り組みが行われているとの指摘がある。(佐々木晶二「まちづくりイノベーション
による地方再生政策検討メモ」*)
 いずれにせよ、人口減少下における日本の持続的発展をいかに達成するのかは、
真剣に検討していかねばならない時期である。名古屋市や隣接する長久手市などを
見ているとそのことは実感しないが、少し離れて地場産業が衰退している都市や
都市中枢性が弱まっている都市、例えば多治見市などの東濃西部、県庁所在地のある
津市などでは、事業所の撤退や人々の動きを見るとそれを実感する。
 「地方消滅」本は、多様な批判を惹き起こし、人々の関心を高めていくことになり、
この出版は時宜を得ていると言えよう。
*http://www.minto.or.jp/print/urbanstudy/pdf/research_01.pdf)
(井澤知旦)

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◆視察レポート◆ −まちづくりに参考になるものを紹介−
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○横浜トリエンナーレ2014○

 横浜トリエンナーレは、今回で5回 目となる現代アートの国際展で、30万人ほどが
来場する大きなイベントである。今回は横浜美術館と赤レンガ倉庫のお隣にある
新港ピアという展示場がメイン会場となっていた。
 展覧会のディレクターを務めるのは、セルフポートレートで有名なアーティスト:
森村泰昌氏で、氏が提唱した展覧会のテーマは「華氏451の 芸術:世界の中心には
忘却の海がある」である。森村氏は、近年国際展が乱立する中、他の展覧会と
差別化を図るため、単に楽しいだけのお祭り騒ぎや単純なポピュリズムなどに
異議を唱えた。そこで、自由な表現の場を確保しつつもなんでもありでは困るので、
それを隔てるラインを設けた。それを「芸術の良心」と表現している。そこには
「もし芸術の神様がいるとすれば、その神様に捧げる芸術作品が、なんら恥じる
ことのない供物であってほしい」という願いがあるそうだ。その「良心」とは、
例えばもっと俗っぽく言えば「お金の匂いのしないもの」だそうだ。このコンセプトは
面白い。「お金の匂いのしないもの」はいくら芸術的に重要でも、すぐに「忘却の海」
に沈んでしまう危険がある。その危うさが今回の展覧会の魅力の一つだろう。
 また、トリエンナーレというと、現代アートの最前線を一堂に集めるという
イメージがあるが、今回は、ジョン・ケージやアンディ・ウォーホール、ルネ・
マグリットなど歴史的作家の作品も多く、よい意味で驚いた。森村氏は必ずしも
最先端の作品だけが現代を表現するのではなく、あえて過去の作品を今見ることの
重要性を指摘している。
 昨年開催された、あいちトリエンナーレと比べると、横浜は展示室がメインの
展覧会で、まちと一体となった芸術祭という印象は薄く、少しさびしい気もしたが、
コンセプトを理解して全体を見直してみると、隅々までディレクターの意思が
行き届いた作家選定、会場構成が行われており、とてもよく考えられた展覧会
であると感じた。「忘却」そして「お金の匂いのしないもの」。私にとって
この2つは今後現代アートを楽しむ上で、面白い視点となるだろう。
(堀内 研自)

→ホームページに写真を掲載しています
http://www.spacia.co.jp/Mati/sisatu/2014/yokohama/

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◆読者の声◆ −みなさんからいただいた感想や意見を紹介−
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(みなさんからのご意見・ご感想をお待ちします)

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◆スペーシアのこの頃◆ −所内の話題をちょっと紹介−
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・弊社メールマガジンの369号 など何度か掲載している岐阜市の高島屋南地区で、
 昨日、市街地再開発組合の設立総会・記念パーティー等が行われました。

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