スペーシア・メールマガジン(隔週発行予定) □[第340号]2013/7/23□ □配信数 736□
スペーシア・メールマガジンの第340号をお送りします。
名古屋からの情報発信とともにまちづくりのネットワーク形成をめざしています。
今回、はじめて送信させていただいた方もよろしくお願いいたします。
<内容・目次>
◆名古屋まちづくり情報◆
・名古屋城本丸御殿 見学レポート
◆住まい・まちづくりコラム◆
・地域が元気になるまちづくり〜高齢者の才能を活かして〜
◆読者の声◆
◆スペーシアのこの頃◆
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◆名古屋まちづくり情報◆ −名古屋から情報発信−
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○名古屋城本丸御殿 見学レポート○
5月から一般公開が始まった名古屋城本丸御殿を見学した。
本丸御殿は、京都二条城の二の丸御殿と並ぶ武家風書院造の双璧と言われ、城郭
としては昭和5年に国宝第一号に指定されたほどの建物である。その後、昭和20年5月の
空襲により天守閣とともに焼失してしまうのだが、この建物は実測資料や写真など、
数多くの資料が保存されており、また、狩野派の絵師たちが描いた国宝級の障壁画
なども多くが避難して無事だったため、完璧に近い復元が可能となった。
本丸御殿の工事は平成21年から始まり、平成30年の完了をめざして今も工事が
進捗中である。今回完成したのは、第1期の玄関と表書院の部分である。
外観は、時代を経てきた建築にはない新築独特の軽やかで凛とした表情が印象的だ。
中に入るとヒノキの香りにつつまれた白木の空間が広がる。上質なヒノキの床板は
すべすべでやわらかい感触が足に伝わる。思わず柱などに触りたくなるが、内部は、
障壁画はもちろん、柱や建具も触ることが禁止されている。白木にむやみに触れると、
人の手油が後で浮き出てきてしまうのでこれは守ってもらいたい。上質なヒノキを贅沢に
使うことで初めて建設が可能な、一級の日本建築を堪能できる。
また、精緻に復元模写された障壁画も見事である。当時の材料や技法で忠実に再現
された本物の日本画を、美術館での鑑賞ではなく、建築空間として体験できるのが贅沢で
ある。
本丸御殿の見学を終え、天守から復元現場を眺めてみると、天守と御殿が共存する
名古屋城本来の姿を想像せずにはいられない。絢爛豪華な桃山文化を象徴するような
城郭が、ここ名古屋に壮大なスケールで再現されるのである。完成の暁には、世界的に
誇れる観光スポットになるかもしれない。特に今の季節は隣接する愛知県体育館で大相撲
名古屋場所が開催されており、浴衣姿の力士が闊歩している。外国人にはこれぞ日本
という光景に出合える場所になるだろう。
思い起こせば、この復元は総事業費150億円という巨額の事業で、リーマンショック
直後の平成21年から始まったため、当時は反対も多かった。しかし、実物を目にすると、
その歴史的な重みと本物が持つ迫力に、お金では買えない大きな価値を確信できる。
平成30年の完成に向け、周辺を含めた街づくりにも期待が膨らむ事業である。
(堀内 研自)
→ホームページに写真を掲載しています。
http://www.spacia.co.jp/Nagoya/arekore/2013/honmarugoten/index.html
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◆住まい・まちづくりコラム◆
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○地域が元気になるまちづくり〜高齢者の才能を活かして〜*○
■超長期の人口変動
日本の人口を平安期から今日までの超長期間をみると、明治元年である1868年の
3,330万人からピーク時である2008年の12,808万人へと140年で3.8倍となった。鎌倉幕府
時代の1192年の757万人から明治元年までの約680年間の変化を見て、明治以降の
近代化がいかに急激な人口増加をもたらしたのかが分かる。しかし、日本はすでに
人口減少期に入り、近代化の人口増加ペースと同様、いやそれ以上のペースで激減
していくと予測されている。今から百年前は5,000万人を超えていたが、今から百年後は
4,300万人程度になる。
■人口減少に伴う対応
細かい数字を並べてきたが、人口はまちづくりの基本指標であり、その動向は経済活動、
公共サービス水準や総体としての地域活力を左右するものである。人口が減り、国民の
給与総額が減少すれば、それに比例して消費活動も減少する。税収も落ちるので、
公共サービスの見直しも行われる。自治体が100の税収で100人に公共サービスを提供
していたと仮定して、人口が50人になれば、@同様のサービス水準を維持するために
税金を2倍にする、A半分のサービス水準で薄く対応する、B同一水準で集約的に対応
するかの選択になる。自治体がとるまちづくりは、Bの対応であり、市街地の拡大から
縮減に方向転換し、公共施設の統廃合やコンパクトな市街地の形成を標榜している。
■65歳以上の高齢者層の活用
ところで、人口が増加する唯一の年齢層が65歳以上の高齢者層である。現在3,100万人の
人口が、三十年後に3,900万人とピークを迎える。とりわけ、これまで流行を作り、社会制度を
変えるほど影響を持った団塊の世代(昭和22〜24年生まれ。出生当初の800万人が現在
490万人)のすべてが、来年度で第二の定年と言われる65歳を超える。特に男は会社から
地域に戻ってくる。この年齢層は多様な経験を積み、多才であるので、この人材をいかに
うまく活用するのかが、地域の元気を左右するといって過言でない。
■高齢者と地域ボランティア
高齢者の8割は元気であり、地域でボランティア活動に精を出す人が増えている。例えば、
NPOの団体数の変化を見ると、わずか五年間で4割も増加し、福祉・社会教育、まちづくり・
子どもの四分野で顕著である。感覚的には女性は福祉に、男性はまちづくりに関わることが
多いように思える。福祉は今そこにある危機をどう乗り越えるのか、まちづくりは中長期を
見据えてどう変えていくのかの違いはあるが、多くの人々が地域に係わることで地域が
元気になっていくことは間違いない。
■才能を活かす居場所さがし
先般も名古屋市内の某生涯学習センターで講演する機会があったが、平均年齢70歳
ぐらいであろうか、その熱心に聞き入る様には迫力があった。まちづくりに定年はない。
持てる才能を活かす居場所が見つかれば、まちづくりは最高のエンターテイメントになる。
健康に良いし、来訪者も増えて消費も拡大していく。果たして「わりなき恋」も増えていく
だろうか?
(井澤知旦)
*この文章は平成25年6月5日付中部経済新聞の「オピニオンAGORA“オープンカレッジ”」で
掲載されたものを一部修正して再掲しました。名古屋学院大学経済学部教授の肩書で
投稿しました。
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◆読者の声◆ −みなさんからいただいた感想や意見を紹介−
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(みなさんからのご意見・ご感想をお待ちします)
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◆スペーシアのこの頃◆ −所内の話題をちょっと紹介−
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・来週、円頓寺商店街で開催される七夕祭りは今年で58回。今年も様々な催しが
行われるそうです。那古野下町衆のページで紹介されています。
http://www.nagosyu.jpn.org/
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