スペーシア・メールマガジン(隔週発行予定) □[第318号]2012/9/10□ □配信数 803□
スペーシア・メールマガジンの第318号をお送りします。
名古屋からの情報発信とともにまちづくりのネットワーク形成をめざしています。
今回、はじめて送信させていただいた方もよろしくお願いいたします。
<内容・目次>
◆住まい・まちづくりコラム◆
・料亭建築と文化性02(千歳楼)
◆図書紹介◆
・ヒア・バイ・ライト(子どもの意見を聴く)の理念と実践
◆読者の声◆
◆スペーシアのこの頃◆
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◆住まい・まちづくりコラム◆
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○料亭建築と文化性02(千歳楼)○
岐阜県養老町に料理旅館「千歳楼」があります。養老公園内の一角にあり緑豊かな
敷地に歴史と文化ある建造物です。創業は明治13年、養老公園を岐阜県が整備した
時に開業し、以降明治時代の皇族、元勲や文人墨客が訪れており、宿泊帳や扁額が
残されています。
2階に約五十畳の大広間があり、ガラス越しに見える東海平野の眺望は傑出し、庭に
ある大正天皇御手植えの松と樹木とが調和した景観を醸し出しています。
宿泊施設の「桜の間」、「竹の間」、「楓の間」、「松の間」は、木材やガラスなど使用材料が
貴重で、明治中期から昭和初期の建築様式と意匠を表しており文化財的価値が高いです。
特に「袖の間」は、明治後期から昭和初期における京都画壇の重鎮であった竹内栖鳳が
設計した内装で、室内には竹内自ら描画した絹本や書幅、自らデザインした欄間など、
話題性と付加価値のある部屋です。
浴室、洗面所及び便所なども、明治中期から昭和初期の意匠を具現しており、使用
されている大理石などは色彩・石目が優美で、現在入手不能な材料です。
平成22年5月より、千歳楼に潜在する価値発掘と広報活動を重ねて営業成績を上げて
いく「千歳楼プロジェクト」を発足させました。先決問題として顧客確保のため、ホームページの
更新と、新規のブログ投稿等によるインターネット上の広報活動をし、インターネット予約を
行える様にしました。そのためには広報・宣伝と同時に、時宜に応じた値段設定が必要と
考え、昼食と夕食の値段を改定し、期間限定商品(食事)を開発し、インターネット上に
告知しました。
宿泊については、文化財的空間と周囲の自然環境において非日常を体験していただける
ことをアピールし、値段設定も改善しました。少し苦労しているのは便所と浴室で、男女を
明確に分けるなど、少し工夫しております。
一方で新規顧客を獲得するために定期的なイベント活動を開始しました。2階大広間を
定期的なイベント会場とし、食事とイベントを組み合わせて集客するような企画を実施
しています。企画実施のため「千歳楼倶楽部」を立ち上げ、今まで下記のようなイベントを
行いました。
(1)邦楽(琴や三味線)や胡弓など伝統的楽器の演奏会
(2)クラシック、ジャズなどのコンサート
(3)伝統芸能の舞と唄
今後も今まで以上の企画を実施するために、地元企業とのコラボで、新酒発表会と料理を
堪能する会、おいしく肉料理をいただく会、地産地消の野菜(芋、山菜など)や果物(みかん、
イチゴなど)を利用した料理会などを考えております。
(嘱託研究員・田中清之)
→ホームページに写真を掲載しています。
http://www.spacia.co.jp/Topic/column/tsurezure/06ryouteikenchiku/
関連ページ 千歳楼ホームページ
http://www.senzairou.com/
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◆図書紹介◆ −まちづくりに参考になるものを紹介−
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○ヒア・バイ・ライト(子どもの意見を聴く)の理念と実践/奥田陸子 編著・監修○
萌文社/2009.3.15発刊
ヒア・バイ・ライト(Hear by Right)とは、英国若者協会(NYA)と地方自治体協議会(LGA)の
共同制作で2001年に開発され、子ども・若者の社会参画を具体的に進める上でイギリスで
活用されている手法である。本書は、第1部「ヒア・バイ・ライトおよび関連文書の紹介」、
第2部「ヒア・バイ・ライトの背景」の2部構成になっている。
第1部では、子ども・若者の参画を継続的に行うために、「ヒア・バイ・ライト」の7つの
スタンダードの考え方「共通の価値観」「戦略」「仕組み」「体制」「スタッフ」「技術と知識」
「リーダーシップの取り方」を示している。この7つのスタンダードを、さらに「参画に向けて
動き出した段階」「参画が実現している段階」「さらなる取組みの段階」という3つの段階に
分け、子ども・若者の参画が形式的なものにならず、組織の中に組み込まれていくことを
目指している。「ヒア・バイ・ライト」を実際に進めるために、素材集、自己評価をのための
マッピング&プランニングツール、参画による変化を記録するツール、ヒア・バイ・ライトが
利用された事例も紹介している。
第2部では、18世紀後半の産業革命期に子どもを安い労働力として見られていた時代
から、1870年の義務教育法、1908年の英国児童法の制定を経て、国連の子どもの権利
条約を1992年に批准し、子ども・若者の参画が注目にされるようになるまでのイギリスの
長い歴史を紹介している。さらに現代の政策として、2004年のECM(子ども達のための
行動計画)を紹介し、イギリスのECMでは子どもの支援、子どもの幸せと育ちに焦点を
合わせているのに対し、日本の次世代育成対策では子どもを育成する親に視点が
向けられていると、日英の違いを解説している。
最後は、有識者の座談会の内容が紹介され、その中で司会を務めた著者が、イギリスの
「ヒア・バイ・ライト」の目的が「子どもの参画」そのものにあることを理解するのに随分
時間をかかったという印象的な言葉を残している。子どもの声に耳を傾けて社会に取り
入れるような参画のレベルにまで持って行くにはエネルギーも時間もかかるし、さらに、
子ども・若者が7つのスタンダードを身につけるには、それを支える大人の方にも「技術と
知識」が求められることを気づかされる。
「子どもの参加・参画」を考える上で、おすすめの一冊である。
(浅野 健)
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◆読者の声◆ −みなさんからいただいた感想や意見を紹介−
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(みなさんからのご意見・ご感想をお待ちします)
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◆スペーシアのこの頃◆ −所内の話題をちょっと紹介−
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・長年、弊社が関わってきたJR岐阜駅前の問屋町西部南街区の再開発事業において、
「岐阜スカイウイング37」が完成し、昨日9月9日に竣工式が行われました。2007年に
完成した 「岐阜シティ・タワー43」とともにツインタワーを形成し、駅前の新たなシンボルと
なります。
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を活用し、様々な意見交換等を行うことによって、より深いネットワークが形成できれ
ばと考えています。 様々なご意見や情報もお寄せ下さい。このメールマガジンに掲
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(株)都市研究所スペーシア 編集:浅野 健
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