スペーシア・メールマガジン(隔週発行予定) [第315号]2012/7/31□ □配信数 801□
スペーシア・メールマガジンの第315号をお送りします。
名古屋からの情報発信とともにまちづくりのネットワーク形成をめざしています。
今回、はじめて送信させていただいた方もよろしくお願いいたします。
<内容・目次>
◆まちのトピック◆
・日本建築学会大会(東海)記念行事・関連行事のご案内
◆住まい・まちづくりコラム◆
・オープンアーキテクチュアの理念と実践〜トリエンナーレスクール〜
・徒然随筆「国土計画・都市計画における日本の問題点(都市計画区域と土地利用計画)」
◆読者の声◆
◆スペーシアのこの頃◆
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◆まちのトピック◆−スペーシアに関わりのある出来事や皆さんからの情報を紹介−
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○日本建築学会大会(東海)記念行事・関連行事のご案内○
2012年9月12日(水)〜14(金)に名古屋大学東山キャンパスで開催される日本建築学会
大会(東海)<http://news-sv.aij.or.jp/taikai/2012/>の記念行事・関連行事(一般公 開)
として、以下の行事を企画しました。多くの皆様のご参加をお待ちしております。
■記念シンポジウム:「名古屋・愛知・東海の防災とまちづくり」
日時:9月14日(金)13:30〜17:00
会場:名古屋大学 豊田講堂
内容:東日本大震災後の住まいの復興と土地利用の再編を含む都
市の復興の考え方を学んだ上で、震災の発生を見据えた名
古屋・愛知・東海の都市計画・まちづくりのこれからにつ
いて考えます。
■市民・学会のコラボレーション:「まちづくり広場」
〜地域、市民、行政そして専門家市民が織り成す活動と建築・都市〜
日時:9月12日(水)〜14(金)
会場:名古屋大学 環境総合館1階玄関ホール・レクチャーホール
内容:東海地域の建築・都市に関わる活動事例のパネル展示と資料配布、
テーマトークほか
■住まいづくり市民セミナー@東海
「巨大地震のBefore-After〜その日に備えたイメージトレーニング〜」
日時:2012年9月15日(土)13:00開場/13:30開演/17:00終演
会場 名古屋大学 ES総合館1階ESホール
▼セミナー後の懇親会のご案内(日本建築学会)
<http://www.aij.or.jp/jpn/symposium/2012/sumai-simin%20.ai.pdf>
■写真展「ふるさとの住まい復興」
日時:2012年9月15日(土)
会場:名古屋大学 ES総合館1階ESホール前エントランスロビー
〜愛知県住宅計画課の山川博幹様から情報提供いただきました〜
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◆住まい・まちづくりコラム◆
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○オープンアーキテクチュアの理念と実践〜トリエンナーレスクール〜○
日時:平成24年7月7日(土)14:00〜
場所:愛知芸術文化センター12F
ゲスト:山口県立大学准教授 斉藤理氏
進行役:武藤隆氏
「オープンアーキテクチュア」とは、日頃あまり見ることのできない建築物を一般に公開する
イベントのことで、建物見学を通して地域のまちづくりに貢献しようとする試みである。
ゲストの斉藤氏は2007年より、日本初の建物一斉公開イベント「open!architecture」の企画、
監修を務め、今回の講演ではその理念と実践について語った。
では、建物を公開することが、どうまちづくりに繋がるのか。すぐれた建物には、その
所有者や関係する方々にとって「誇り」といえる部分があると言えるが、まず、それを一般へ
公開することで地域の「財産」となる価値に高めていこうとするねらいがある。
それには価値を理解してもらい、それらが根付いていく工夫が必要だ。そもそも建物の
見学ツアー自体珍しいものではないが、この企画は特定の目的に特化した観光「SIT
(Special Interest Tour)」と呼ばれるもので、専門家による視察と名所をめぐる一般的な
観光との中間にあたる。最近は今までの物見遊山的な観光が飽きられ、「SIT」の人気が
高まってきているそうだ。そこで、重要となるのが建物の「つくり手」や「つかい手」の参加で
ある。イベントでは、公開する建物に、実際に暮らしておられた方、施設の担当者、設計者など、
その建物にゆかりのある方々に来てもらい、見学者に建物にまつわる話を直接聞かせる
趣向となっている。一般の観光では入ることのできない所へ入れたり、ガイドブックには
載っていない関係者の生の話を聞けたりするのはとても魅力的である。また、「SIT」の
参加者は、その分野への関心が高く向上心のある人が多いので、イベント参加をきっかけに、
その後のまちづくりに協力してくれる人も現れるそうだ。
このように、「オープンアーキテクチュア」による建物の文化的価値・魅力の再発見が、
熱心な参加者を生み、それらが新たなコミュニティ・ネットワークを形成することで情報を
発信し、まちのブランド力や集客力の向上につながっていくというまちづくりを見せている。
講演の最後には、名古屋での「オープンアーキテクチュア」開催について意見交換が
なされた。参加者からは公開してほしい建物として「中村遊郭の建物」という意見が
出されたが、斉藤氏からは、遊郭を紹介することでその地域のイメージにどう影響するかも
考慮しなければならないと助言があった。イベント開催にはこうした気配りも重要である。
(堀内 研自)
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○徒然随筆「国土計画・都市計画における日本の問題点(都市計画区域と土地利用計画)」○
現在の日本社会で最大の関心事と問題点のひとつに、「原子力発電」が揚げられます。
原子力発電に関わる電力問題を別にして、我々都市計画や建築を専門とする技術者に
とって大変驚愕するのは、原子力発電所の周囲数百メートルの範囲内に住宅(一戸建ての
専用住宅や農家住宅など)が数多く建っていたことです。ひとつ間違うと大惨事になる
可能性を秘めている点に於いて、沖縄県やその他の県に存在するアメリカ軍基地に
於いてもほぼ同様のことがいえます。岐阜県内に於いても、ゴミ焼却場の立地方針が
定まらない状況が続いていることも、ほぼ同様のことが原因と考えられます。
そもそもこれらの問題の根本は何かといえば、日本国には土地利用計画が無いことが
最大の原因です。欧州のドイツにはFプラン(Flachennutzungsplan;土地利用計画)があり、
フランスにはPOS(Plaud Occupation des Sols;土地利用計画)が法律として定められており、
この法律と市民(国民)権の主張により調和した街並みと美しい田園風景が保持されて
います。詳しいことを述べると、ドイツやフランスでは国土全体の土地利用が決まっており、
個人の権利より公共の福祉や景観が優先されます。国土全体の土地利用を計画し、
建設可能な土地と建設不可能な土地を区分します。次に建設可能な土地については
土地所有者が誰であろうとその用途が制限されます。大きくいうと、住居地域には住宅が、
商業地域には商業施設が、工業地域には工場等が建てられることになります。また、
都市計画上或いは国土計画上重要な建造物、すなわち原子力発電所、ゴミ処理場や
汚水処理場などはこの土地利用計画に明示されます。無論新たに計画される場合は、
公聴会や説明会など市民を対象にした集会は公明正大に必ず行われます。この土地
利用計画の中で特筆すべきは、都市計画上或いは国土計画上重要な建造物の周囲を
限定して建設不可能にしていることです。ドイツでは緩衝帯と呼ばれ、緑地やビオトープ
などで構成されます。したがって、今回の東日本大震災における原子力発電所のように
周囲数百メートルの区域に住宅や商店などはなく、このような惨事にはならなかった
可能性はあります。
一体に日本国は、戦後個人の財産権を余りにも重要視したせいか、全体の計画や
景観といった公共の福祉(心地よさとか住み良さと言ってもよい。)を疎かにしてきた
経緯があります。市街地を自動車で走っていると、工場の隣地に分譲マンションか
賃貸マンション或いは一戸建ての住宅が数棟建てられ、低層住宅地の中に高層ビルの
マンションが建てられ、住民は良く我慢していると思うことがしばしばあります。筆者も
設計した高齢者福祉施設の隣地に、商業施設(焼肉屋)が建てられた経験があり、日本の
法制度の中では反論できないことを痛感しました。また鉄道に乗ってみても、線路沿いに
住宅等を見かけないことはなく、田園風景の中に住宅や工場が建っている景観は日常
茶飯事のことになっています。一方ドイツやフランスなど欧州では、市街地があって
建造物や教会が建っており、そこを過ぎると緑豊かな田園風景を見ることができ、
不調和な景観を見ることは余りありません。
日本人は戦後経済的貧困の中から数十年回復努力の末、今日の経済的余裕が
生まれたといえます。今後は経済的価値で物事を判断するだけでなく、文化的側面からも
物事を判断するような“ゆとり”ある生活を送りたいものです。逆説的に言うならば、開発に
乗りおくれたがために旧いまちなみが残され、現在国の重要伝統的建造物群保存地区に
指定された地区(言いやすいので、筆者の故郷である岐阜県恵那市岩村町など)は、
住民にとって誇りと安らぎのある町になっています。ドイツの都市計画に詳しい水島信氏は、
著書の「(続)ドイツ流街づくり読本」の中で、“都市計画の根源的目的は快適な居住環境の
生成である。”と述べておられます。我々日本人は、歴史的経緯をもう少し見直して欧州の
制度を取り入れるようにできないでしょうか。
(嘱託研究員・田中 清之)
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◆読者の声◆ −みなさんからいただいた感想や意見を紹介−
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(みなさんからのご意見・ご感想をお待ちします)
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◆スペーシアのこの頃◆ −所内の話題をちょっと紹介−
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・再開発コーディネーター協会(伊藤滋会長)が主催する第22回「都市再開発高山賞」に
弊社取締役の浅野泰樹が表彰されました。受賞対象事業として「岐阜駅西地区第一種
市街地再開発事業(岐阜シティ・タワー43)」が評価されてのことです。
http://www.urca.or.jp/urca/prize/takayama_prize.html
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を活用し、様々な意見交換等を行うことによって、より深いネットワークが形成できれ
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(株)都市研究所スペーシア 編集:浅野 健
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