スペーシア・メールマガジン(隔週発行予定) [第314号]2012/7/18□ □配信数 801□
スペーシア・メールマガジンの第314号をお送りします。
名古屋からの情報発信とともにまちづくりのネットワーク形成をめざしています。
今回、はじめて送信させていただいた方もよろしくお願いいたします。
<内容・目次>
◆名古屋まちづくり情報◆
・桜ヶ丘ハイツ/岐阜県可児市
◆視察レポート◆
・仙台・気仙沼など視察
◆読者の声◆
◆スペーシアのこの頃◆
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◆名古屋まちづくり情報◆ −名古屋から情報発信−
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○桜ヶ丘ハイツ/岐阜県可児市○
住環境マネジメント研究の第一人者である齊藤先生がその研究をはじめるきっかけと
なったという桜ヶ丘ハイツ。その1つ桂ヶ丘は2011年度の住まいのまちなみ優秀賞を
受賞した。これまでにも何度か見学会で訪問したり、話を伺ったりしたことがあったが、
5月の見学会、7月の勉強会でまちづくり協議会の河崎氏と名城大の海道先生にお話を
伺い、改めて桜ヶ丘ハイツが、その先進性とともに様々な課題を有することを実感した。
すでに多くの人が指摘していることも含め、感じた点を整理してみたい。
何故、桜ヶ丘ハイツがこれほど豊かな景観を有するまちとなったのか。
開発主体である不二企業(伊藤富士丸オーナー)が高い志を持って開発したということが
一番の要因のようであるが、価格が安い時に土地を取得し、名古屋圏で最も住宅需要が
旺盛だった時期に住宅販売を行ったという「時期に恵まれた」というのが背景にありそうだ。
しかし、バブルが崩壊するとこの図式がうまくいかず、不二企業は破たんしてしまう。
が、そのことによって桂ヶ丘の土地が安く売り出され、若者世帯の入居を可能とした。
一番、最初に開発された桜ヶ丘団地では「景観がよい」を団地選定の理由にあげた人が
最も多く、まちそのものに価値を感じた人々が移住してきた。が90年代後半に人口の
ピークを迎え、多くの郊外団地と同様、人口減少・高齢化が大きな問題となる。やや
遅れて開発された皐ヶ丘も人口減少が始まっているが、90年代後半から現在も宅地
販売が続いている桂ヶ丘では人口増加が続いているのだ。
このようの桜ヶ丘ハイツでは異なる特徴を持つ3つの住区から構成され、一律の
高齢化という課題を抱える多くの郊外団地とは異なる様相を持つ。その3つが自治会
連合を形成し、地区計画の策定など共同した取組みを行っていることが、その経験に
学びながら多様な人々の参画による様々な取組みの展開につながっていそうだ。
自治会にはすべての住民が順番で役職につく。この仕組みが、住民がまちに関心を
持つきかっけになり、様々なまちづくり活動への参加につながっているという。また、
桂ヶ丘では桜ヶ丘から移ってきたという世帯が1割以上あり、地域内での住み替えが
行われている。様々な理由から長い時間かけて形成されてきたことが、桜ヶ丘ハイツを
持続可能なまちとする条件を生み出してきたといえるのではないだろうか。
桜ヶ丘ハイツでは、不二企業の破たんによって頓挫していた欅ヶ丘が新たな開発の
局面を迎えようとする一方、最も古い桜ヶ丘団地では駐車場の増設による街並みの
改変によって、美しい街並み景観が失われるという状況も生まれている。
当初、桜ヶ丘地区の課題は豊かな基盤をベースとして、変わりつつある街並みの
改変をどう食い止めるのかという点にあると思っていたが、街並みの現状をみてみると、
そんな単純な話ばかりではなさそうだ。豊かすぎる公共空間をどううまく活用していけば
よいか。公共空間の再編というのも大きなテーマになるのではないだろうか。
(石田富男)
→ホームページに写真を掲載しています。
http://www.spacia.co.jp/Nagoya/arekore/2012/sakuragaoka/index.html
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◆視察レポート◆ −まちづくりに参考になるものを紹介−
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○仙台・気仙沼など視察○
東日本大震災から1年4カ月が経過した7月の連休を使って、仙台・気仙沼など宮城県を
中心に現地を視察してきました。簡単ではありますが、視察してきた場所の現在の様子を
紹介します。
あすと長町仮設住宅
仙台市中心部から5km、JR東北本線長町駅と太子堂駅の東側において、都市再生
機構が開発に関わる「あすと長町地区」がある。この一角の38番街区に、宮城県が
建設した応急仮設住宅が設置されている。標準的なタイプとして単身者用の1DKタイプ(6坪)、
小家族用(3人まで)の2DK(9坪)、大家族用(4人以上)の3K(12坪)が整備され、それぞれ、
1DKが42戸、2DKが149戸、3Kが42戸、計233戸整備された。ここは、様々な地域からの
被災者が入居していて、コミュニティ形成の難しさが懸念される中、入居者による仮設住宅
自治会が発足し、自治会活動を展開している。
参考 あすと長町ニュータウン(仮設住宅)のページ
http://asutonagamachi.web.fc2.com/index.html
気仙沼市気仙沼地区、鹿折地区
気仙沼市は宮城県の北東端に位置し、リアス式海岸の変化に富んだ景観を有する。
通常はほとんど波が立たない静かな海で、海岸沿いに市街地が点在する。漁業、水産
加工が盛んで、カツオ、サンマ、高級食材のフカヒレなどの特産品を有する。
今回は、気仙沼漁港周辺に位置する気仙沼地区と鹿折(ししおり)地区を訪れた。地盤
沈下した土地にかさ上げした道路が整備され、酒造業を営む男山本店の建物(国登録
有形文化財)や、鹿折地域で今も打ち上げられたままの大型漁船、復旧のめどが立って
いないJR大船渡線など、大津波により壊滅的な被害を受けた様子を物語っている。
こうした中でも、仮設店舗で営業する「気仙沼鹿折復幸マルシェ」「気仙沼復興商店街
南町紫市場」「復興屋台村 気仙沼横丁」を訪れ、被災しながらも笑顔でお客さんに接する
お店の皆さんから、かえって元気をもらえる。
気仙沼鹿折復幸マルシェのページ
http://www.shishiori-marche.jp/
気仙沼復興商店街 南町紫市場のページ
http://kesennumafs.com/
復興屋台村 気仙沼横丁のページ
http://www.fukko-yatai.com/
仙台市若林区荒浜地区、名取市閖上(ゆりあげ)地区
仙台空港の北側を走り、名取川河口の南側に位置するのが名取市閖上(ゆりあげ)地区、
名取川河口の北側に位置するのが若林区荒浜地区。いずれも津波の被害を受け、現在は
資材の撤去が進んでおり、ここにかつて住宅地が存在したという様子は、わずかに残った
鉄骨造や鉄筋コンクリートの建物等で確認できる程度。
荒浜地区は、震災後に仙台市の災害危険区域に指定されている。被害の危険性が高い
地区では住宅の新築や増築などが禁止され、津波時に周辺住民の避難先となり、内陸
市街地への瓦礫の流入を食い止めた仙台東部道路の西側地域へ移転を促進することと
なっている。
閖上地区では、復興まちづくり推進協議会が組織され、被災市街地復興土地区画整理
事業や災害公営住宅の検討がされている。
仙台市のページ
「仙台市災害危険区域条例の改正及び沿岸部の災害危険区域の指定について」
http://www.city.sendai.jp/report/2011/1201429_1413.html
名取市の復興計画関連情報のページ
http://www.city.natori.miyagi.jp/fukkoukeikaku
この他にも、岩手県陸前高田市、宮城県石巻市、東松山市の沿岸部も回ってきましたが、
荒浜地区、閖上地区と同じようで、少しずつ被害の状況が違う光景が広がっていて、改めて
超広域的に被害を受けたことを実感しました。これから、復興公営住宅、高台への集団移転、
現地近くでのかさ上げ整備を含めた復興土地区画整理事業など、地域の事情に応じて
様々な整備が行われていくようです。
(浅野健)
→ホームページに写真を掲載しています。
http://www.spacia.co.jp/Mati/sisatu/2012/sendaikesennuma/
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◆読者の声◆ −みなさんからいただいた感想や意見を紹介−
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(みなさんからのご意見・ご感想をお待ちします)
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◆スペーシアのこの頃◆ −所内の話題をちょっと紹介−
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・先日、清州城武将隊桜華組が清須市政7周年イベントの時にデビューを飾りました。
出演依頼は公式ホームページから、よろしくお願いします。
http://www.kiyosu-busyo.com/
・今回は、編集者の事情により発行が遅くなってしまいました。申し訳ありません。
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(株)都市研究所スペーシア 編集:浅野 健
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