スペーシア・メールマガジン(隔週発行予定) □[第280号]2011/3/28□ □配信数 772□
スペーシア・メールマガジンの第280号をお送りします。
名古屋からの情報発信とともにまちづくりのネットワーク形成をめざしています。
今回、はじめて送信させていただいた方もよろしくお願いいたします。
<内容・目次>
◆住まい・まちづくりコラム◆
・都市とエコロジカル・ネットワーク
◆図書紹介◆
・フライブルクのまちづくり
◆読者の声◆
◆スペーシアのこの頃◆
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◆住まい・まちづくりコラム◆
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○ 都市とエコロジカル・ネットワーク ○
愛知・名古屋ではCOP10が終了し、生物多様性への関心が高まっている。生物多様性
というと里山に代表されるように郊外や山間部での人と自然の共生をすぐにイメージ
されると思うが、自然とは相反する空間といえる都心部においてもその動きが活発化
している。
この名古屋では、ビル屋上を利用してミツバチが飼育されている。中区丸の内では
「マルハチプロジェクト」が、栄では鹿島建設による「鹿島ニホンミツバチ・プロジェクト」が
動いている。また、チョウチョが飛ぶまちを目指し、竹中工務店が「蝶の飛ぶまちプロジェクト」の
調査を実施。そこから地域に波及し広小路通の商店街では「蝶の飛ぶ商店街プロジェクト」に
取組んでいる。
東京でも、森ビルが虎ノ門の再開発事業において生物多様性に配慮した緑地計画を導入し、
高い評価を得ている。2010年度のグッドデザイン・フロンティアデザイン賞では、鹿島建設が
進める「4つの指標種を用いた生物多様性都市のデザイン『いきものにぎわうまち』」
(ニホンミツバチ、ヤギ、ベンケイガニ、シジュウカラの4つの指標種を用いて、都市における
生態系サービスを「見える化」するプロジェクト)が受賞している。
このように都心部において生き物目線でのまちづくりが進められている。都市部は人の
活動が中心の場であることは言うまでもないが、そこで自然の生き物を身近に見られたら、
より素晴らしいと思う。(これは私の主観。人によっては、綺麗なチョウはいいが、その幼虫や
蛾は見たくないという人もいるだろう。その辺りの合意形成をどうするかは課題?)
生物多様性の観点から都市空間のあり方を考えると、エコロジカル・ネットワークをいかに
形成するかが重要になる。つまり、生き物が生息・移動しやすい水と緑の拠点・回廊づくりで
ある。公園にはまとまった緑を配置し生息しやすくする。街路樹はそれらを途切れることな
く繋ぐとともにブツ切り剪定をやめて移動しやすくし、樹種も見た目や耐久性を重視する
よりは生息に適した在来種を選ぶ。ビルの屋上緑化の際にはビオトープを整備するなど
様々な取組みが考えられる。都市計画にもひとつのレイヤーとして加え、計画的な
ネットワーク形成が進められるとよい。
最後に。名古屋都心部は道路空間比率が非常に高いのが特徴である。今後車から
人優先の都心へと変えていく中で、車が減り、道路空間には余裕が生まれるだろう。
その際にはエコロジカル・ネットワークとして利用することも考えていただきたい。生き物と
共生できる都心はCOP10開催地にふさわしい都市の将来像のひとつではないだろうか。
(櫻井高志)
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◆図書紹介◆ −まちづくりに参考になるものを紹介−
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○ フライブルクのまちづくり/村上敦著 ○
学芸出版社/平成22年2月10日発行
フライブルクはドイツ南西部に位置する人口21万人の小都市である。ゴミ処理・リサイクル
政策、自然エネルギー政策、公共交通・自転車交通政策などの環境政策により世界的に
名が知られている。近年は、環境先進都市として、自治体職員や研究者が世界中から
こぞって視察に行く地であるが、そのなかでもヴォーバンという近年最も注目されている
住宅地がある。本書は、「交通」「緑」「エネルギー」「住民参加」を柱に、フライブルクと
『ヴォーバン住宅地』における取組と成果について述べられている。
フライブルクは環境先進都市と呼ばれているが、『ヴォーバン住宅地』はソーシャル・
エコロジー住宅地と呼ばれている。ソーシャル・エコロジーは、住民が考えた住宅地の
コンセプトから生まれた言葉で、エコロジカル、社会福祉的な、エコノミー、価値(クオリティ:
質やエステテーク:美)などがキーワードとなっている。『ヴォーバン住宅地』では、学びながら
進化する都市計画やマイカーを減らして自転車と徒歩交通を推進するカーフリー構想などが
謳われ、省エネ住宅(パッシブ・ソーラー住宅)、コージェネと地域暖房によるエネルギー
コンセプトなどの新しい取組みが行われているが、協同組合を組織して住民主導で
取組まれている点が近年フライブルクの中でも最も注目されている要因とも言える。
筆者曰く、ドイツの協同組合は日本のNPOと同等の感覚だが、日本よりも市民活動に十分
溶け込み、自己実現の場を提供することに貢献しており、日本とは規模や迫力が違う、と。
日本では、特に環境のように幅広い分野では、どうしても行政主導で進んでいくという現状が
あり、日本でもヴォーバンと同様の住民主導で取組みをと言ってもなかなか難しいが、
例えば、区やヴォーバンのような住宅地といった単位ごとであれば何か可能性を見いだせる
かもしれない。住民主導が全てではないと思うが、本書を読んでいると、住民主導での
取組みを限りなく継続し続けていくことが循環型で持続可能なまちづくりに繋がっていくと
感じる。
本書は、ヴォーバン住宅地が持続可能なまちづくりに向けてこれまでどのように取り組まれて
きたかを歴史的に紐解きながら丁寧に紹介されており、長年フライブルクに在住している
筆者ならではの視点も盛り込まれ、非常に読み応えのある1冊であった。
(喜田祥子)
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◆読者の声◆ −みなさんからいただいた感想や意見を紹介−
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(みなさんからのご意見・ご感想をお待ちします)
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◆スペーシアのこの頃◆ −所内の話題をちょっと紹介−
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きている感があります。
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