スペーシア・メールマガジン(隔週発行予定) □[第273号]2010/12/20□ □配信数 772□
スペーシア・メールマガジンの第273号をお送りします。
名古屋からの情報発信とともにまちづくりのネットワーク形成をめざしています。
今回、はじめて送信させていただいた方もよろしくお願いいたします。
<内容・目次>
◆住まい・まちづくりコラム◆
・自転車と道路空間の再配分
◆図書紹介◆
・アーツ・マネジメント概論
◆読者の声◆
◆スペーシアのこの頃◆
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◆住まい・まちづくりコラム◆
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○ 自転車と道路空間の再配分 ○
《自転車ブーム》
自転車は健康ブームや環境ブームで注目を浴びています。しかし、一方で自転車事故(*1)
も発生し、ここ10年では平成16年をピーク(18.7万件)に減少傾向にあり、平成21年には
15.6万件となっています。相手当事者は対自動車が84%、事故原因は出会い頭が54%、
件数増加傾向にある事故種は対人事故でした。この状況は、いわゆるママチャリ(*2)
が歩道上を、交通ルールを守らず、わがもの顔で走行するために引き起こされています。
自転車が歩道を走る国は先進国のなかでは日本ぐらいで、事故件数の多さも世界有数です。
《自転車走行の実態》
2009/8/19号のメールマガジンで書きましたが、私自身は晴れている日は野並から
勤務地の矢場町まで片道40分の《自転車ツーキニスト》になっています。ロードバイクに
またがり、ヘルメットをかぶって車道(外側帯)をそれなりのスピードで走り、信号が赤なら
必ず止まっています。これでやっと自動車と同じ車道を走る仲間と認識してくれます。
しかし、多くのママチャリは歩道を走り、信号が赤でも自動車が走っていないと判断すると
横断走行していく自転車は少なくありません。
夜間走行は気を使います。目立つ色の服を着て、点滅するテールランプを光らせ、
リュック型カバンと裾バンドに夜店で売っているピカピカライトを取り付け、これでもかと
その存在をアピールしながら走っています。しかし、軽快車(ママチャリよりも)で黒い服を
着て、無灯火で走られると、その存在が見えず、双方ともスピードを出しているため、
ぶつかりそうになったことが時々あります。自動車との接触事故は起こるべくして起こる
気がします。
歩く距離を自転車で走るなら、むしろエネルギーを使わないので、健康に貢献しません。
自動車の代替として自転車が使われないとCO2の削減に貢献しません。歩道を走ると
対人事故が増え、対自動車事故も増えます。高齢者の自転車乗りが増えてくると対自動車
事故は確実に増えていくことでしょう。
《道路空間の再配分》
道路の空間再配分を考える時代になりました。自転車をきちっと位置付けることです。
車道と同じレベルで自転車道を整備すべきで、歩道を走っていては事故がなくなりません。
といっても国道19号の自転車レーンは歩道と同じレベルで車道をつぶして拡幅していますが、
ほとんど自転車が走っていません。ママチャリは歩道を走っています。車道を横断する時は
自転車横断帯へ誘導され、バス停があれば一旦歩道に出、狭い幅で双方向通行となって
いるので、このうえなく走りづらい(*4)。自転車に乗ることが少ない人(ましてロードバイクに
は乗ったことのない人)が設計した道路です。日本でもっとも有名な自転車レーンになって
しまいました。「これぞ最悪自転車レーンの見本」(*5)と呼ばれています。
自転車王国デンマークのエレマン環境相は、COP10に出席するため来日した折、「専用
通路の整備が進んだ地域では自転車が2割増え、車が1割減った。排ガスが減るだけで
なく、自転車に乗って体を動かすのは健康によく、医療費削減につながり政府予算も減る」
とコメントしています。
《道路は、だれのものか》(*6)
優遇すべきは歩行者で、次に自転車で、最後に自動車のはずです。どうも自動車、歩行者、
自転車の順になっているような気がします。「免じて許す」自動車はそのことを肝に銘じ
ましょう。ただし、自転車運転のマナーは何とかしなくてはなりません。自転車に乗りながら
携帯メールを打つ曲芸師も随分出てきました。なんとかしなくてはなりません。
*1 警察庁交通事故統計 http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001062201
*2 ママチャリとは歩道を走ることを前提に作られた、重くて重心が低くてスピードが
でない自転車のこと。日本で独自に発展し、ガラパゴス型自転車と呼んでいる。
*3 毎日JP 「銀輪の死角」2010.10.27
*4 伏見の自転車レーン
http://blog.goo.ne.jp/calcul/e/39083bd2f42d7a8dc149572bdae6c8a9
http://www.youtube.com/watch?v=seKhu_sqrUw(動画) いずれも完成直後の走行
*5 疋田智「自転車ツーキニストの作法」2010.10ソフトバンク新書
*6 これは森川高行名大教授の本のタイトルのパクリです。
森川高行「「道路は、だれのものか」2010.9ダイヤモンド社
(井澤 知旦)
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◆図書紹介◆ −まちづくりに参考になるものを紹介−
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○ アーツ・マネジメント概論/水曜社 ○
本書は、アートは何かという基礎的なところから、経営戦略や施設のマネジメントなどの
実践的な内容まで、アーツマネジメントに関して広く学習できる内容になっている。
アーツマネジメントとは、「芸術活動の社会的意義を明らかにし、芸術と社会を繋いで
いく仕事」である。それは、公演や展示などのノウハウ、それに伴う広報、マーケッティング、
あるいは資金獲得のスキルなど、あらゆる職務を使いこなし、芸術文化の振興を図って
いくための経営戦略にかかわる仕事でもある。そもそもアートとは、作家自身の内面的な
価値観に基づいて製作され、金銭的な欲求や観客へのおもねりへの否定より存在している。
こうしたものが現代の経済活動の中で影響力を持って存在し続けるには、高度なマネジメント
が必要となる。
日本では90年代よりこの分野に関心が寄せられるようになる。それは、80年代のバブル
期に、全国各地に建てられた文化施設に対し、その施設を使用する事業実施のノウハウが
求められるようになったからである。つまり、芸術活動が箱もののための活動として税金の
無駄遣いのように言われ始めた結果、芸術の社会的意義を明確にし、社会の文化ニーズを
把握し、それに対し積極的に働きかけることを余儀なくされるようになってきたようである。
今年はあいちトリエンナーレ2010という大規模な国際芸術祭が開催されたが、多額の
税金を使用するアートイベントを疑問視する方もいらっしゃるだろう。そもそも芸術は公共で
あり、広く社会的環境の形成にかかわる社会サービスの1つと見なされなければならないが、
現在の社会情勢ではそうした常識すら否定されかねない。これからの時代、真に心の豊かさを
獲得していくためには、社会の文化ニーズを十分くみとり、芸術と社会を繋いでいくアーツ
マネジメントの役割は重要であろう。
(堀内 研自)
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◆読者の声◆ −みなさんからいただいた感想や意見を紹介−
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(みなさんからのご意見・ご感想をお待ちします)
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◆スペーシアのこの頃◆ −所内の話題をちょっと紹介−
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○ 弊所のビルの7階に花屋ができた!? ○
今から1ヶ月前ごろから、エレベーターに乗ると甘く香る花の匂いがするではありませんか。
しばらく理由がわかりませんでしたが、ある時、7階でエレベーターのドアが開いて納得
しました。受付から廊下まで花で埋め尽くされていたのです。それもユリ、バラ、胡蝶蘭
というお祝い花です。
そうです、7階は名古屋グランパスエイトの事務所があるのです。そして今年はJリーグで
優勝したからです。(最近は香りはしなくなりましたが………。)
同じビルの6階にお笑いのよしもとクリエイティブ・エージェンシー東海支社があるの
ですが、今年が最後のM−1グランプリ2010で名古屋出が優勝すれば、祝い花は届く
のでしょうね、きっと。おっと、それを実現する残された道は敗者復活しかなかった!
→ホームページに写真を掲載しています。
http://spacia.co.jp/Topic/column/grampus/
・社内では、お世話になったみなさまに新年にお届けしている社外報「ラバダブ」の編集・
発送作業が続いています。第14号となった今回は「共創まちづくり 次の一歩を考える」を
テーマとしました。
・年の瀬もあって、発行日が1日遅くなってしまいました。すみません。
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◎ホームページでは一方的な情報提供に終わってしまいますが、このメールマガジン
を活用し、様々な意見交換等を行うことによって、より深いネットワークが形成できれ
ばと考えています。 様々なご意見や情報もお寄せ下さい。このメールマガジンに掲
載させていただきます。(このメールへの返信でお願いします)
◎バックナンバーはホームページに公開しています。
http://www.spacia.co.jp/mm/
◎今後の配信を希望されない場合は、このまま返信して下さい。
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(株)都市研究所スペーシア 編集:浅野 健
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