スペーシア・メールマガジン(隔週発行予定) [第247号]2009/12/21□ □配信数 745□
スペーシア・メールマガジンの第247号をお送りします。
名古屋からの情報発信とともにまちづくりのネットワーク形成をめざしています。
今回、はじめて送信させていただいた方もよろしくお願いいたします。
<内容・目次>
◆視察レポート◆
・全国路地サミット2009 in KOBE
◆図書紹介◆
・川からの都市再生 ―世界の先進事例から―
◆読者の声◆
◆スペーシアのこの頃◆
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◆視察レポート◆ −まちづくりに参考になるものを紹介−
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○ 全国路地サミット2009 in KOBE ○
全国路地サミットも7回目となった。2005年度に地域再生で路地のたたずまいの保全に
ついて調査した際に全国路地のまち連絡協議会(路地協)の存在を知り、東京神楽坂での
第3回サミットに参加。以後、2006年の長野諏訪、2007年の静岡新居に参加。昨年の
長野には参加できず1年ぶりの参加となった。
今年度は神戸市で10/24・25に旧二葉小学校を会場に開催された。今回は、関西の
建築士会のメンバーが中心になり、準備のために関西路地サミットも行われた。本番の
全国路地サミットでは路地を活かしたまちづくり手法に関して4つのワークショップが
行われたが、それは関西路地サミットでの議論を踏まえての分類である。これまでは、
法善寺横丁などの「お金を生み出す路地」が注目されてきたが、むしろ「生活のための
路地」が多数あるとの認識のもと、「商業中心型」「商業生活複合型」「生活中心・平坦地型」
「生活中心・斜面地型」という分類で議論が行われた。
私が関わっているまちづくりにおいても「路地からのまちづくり」の事例として、法善寺横丁や
神楽坂を紹介しても「自分たちのまちとは違う」「路地からのまちづくりができるのは特別な
ところ」という反応がかえってくる。生活中心の路地からのまちづくりの事例は興味深かった。
生活中心・平坦地型のワークショップでは神戸市の駒ヶ林地区の事例が取り上げられた。
ここでは神戸市の条例にもとづく近隣住環境計画を定めることのより、4m未満での路地での
建替えを認めていこうというもので、大路地、中路地、小路地というネーミングがユニークで
あった。また、道路中心線から1.25mの範囲については道として確保するが、1.25〜2.5m
後退線の範囲については、各自の判断で鉢植えなどを置いてもよいとする路地のルールも
生活中心の路地らしさを示していた。4mは路地としては広すぎるという認識だろう。大路地
というネーミングがそのことを表している。残念ながら翌日のまち歩きには参加できなかったが、
1度じっくり歩いてみたいと思う。
路地協ではメーリングリストによる情報提供等を行っており、そのメンバーを会員としている。
ホームページに会員の登録状況が紹介されているが、東海3県では碧南市大浜地区と
常滑市やきもの散歩道地区、それに私の3名のみ。新たに参加する地区が増えている中で
さびしい状況だ。路地サミットに参加すると各地の意欲的な取組みを知ることができる。
東海3県からも路地からのまちづくりに関心のある方の参加が増えることを期待したい。
全国路地のまち連絡協議会のホームページはこちら
http://jsurp.net/roji/
(石田富男)
→ホームページに写真を掲載しています。
http://www.spacia.co.jp/Mati/sisatu/2009/kobe/index.htm
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◆図書紹介◆ −まちづくりに参考になるものを紹介−
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○ 川からの都市再生 ―世界の先進事例から― /財団法人リバーフロント整備センター ○
技報堂出版/2005年3月発行
韓国のソウルに「清渓川(チョンゲチョン)」という川がある。清渓川は、数年前まで
コンクリートで塞ぎ道路が整備され、その上には高速道路が走っていた。そこから、
再び河川へ戻し、水辺空間をソウルの人々の憩いの場として見事に再生させている。
韓国における都市再生の代表事例として、また、世界においても河川再生の先進事例
として、講演会や書籍・雑誌等で度々紹介されている。本書は、清渓川プロジェクトが
進められていた2004年時の報告ではあるが、再生事業に直接関わったソウル特別市の
副市長や担当官(いずれも当時)による報告が記載されており、清渓川再生プロジェクトの
全容が分かる内容となっている。
清渓川再生に関して多くの方が疑問に感じる点として、高速道路を含む道路の撤去を
実現させている点が挙げられると思う。特に大都市において、高速道路や主要道路を
撤去すればさらに交通渋滞が悪化することは容易に想像でき、日本で同様の計画が
持ち上がった場合、とても実現できそうな事業とは思い難い。また、市民からも強く
反対されそうなものである。実際、ソウルにおいても道路の撤去は強く反対された。
そこで、ソウル市は全市民に対して、「自主的に自家用車をやめてくれれば、皆さんに
天国、パラダイスをあげる」と約束している。この“天国、パラダイス”は、都会の真ん中で
いつでも川や自然に触れられる空間や高速道路を撤去したことで視界が広がり南側に
位置する美しい山(南山・ナムサン)が望めるようになったことを指している。また、
市民への呼びかけだけでなく、実質的な交通対策として、それまで民間が運営していた
バスを市営とし、バス交通網を全面的に改変している。これまで市内を通っていたソウル
郊外から来るバスは、バスターミナルや地下鉄駅までとし、そこから市内バスや地下鉄に
乗り換えるようにしている。清渓川再生はハードとソフト両整備が非常に上手くできていると
思う。
本書は、清渓川の歴史から清渓川再生の経緯、再生計画の詳細まで記載されており、
清渓川に関する疑問点を解決することが出来る。清渓川再生に関心を持たれている方には、
是非おすすめしたい1冊である。(喜田祥子)
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◆読者の声◆ −みなさんからいただいた感想や意見を紹介−
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(みなさんからのご意見・ご感想をお待ちします)
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◆スペーシアのこの頃◆ −所内の話題をちょっと紹介−
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・今号が2009年最後の発刊となります。今年一年を表す漢字は「新」、流行語大賞は
「政権交代」が選ばれ、政治社会が一新された年であったと思います。一方、まちづくり
分野の先行きは不透明ですが、こういう時こそ力を発揮し、地域密着で当地域の
まちづくりに応えていきたいと考えています。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
・スペーシアの年末年始休暇は12/26〜1/4です。
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を活用し、様々な意見交換等を行うことによって、より深いネットワークが形成できれ
ばと考えています。 様々なご意見や情報もお寄せ下さい。このメールマガジンに掲
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(株)都市研究所スペーシア 編集:浅野 健
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