スペーシア・メールマガジンの第231号をお送りします。
名古屋からの情報発信とともにまちづくりのネットワーク形成をめざしています。
今回、はじめて送信させていただいた方もよろしくお願いいたします。
<内容・目次>
◆まちのトピック◆
・愛知まちコン講演会「地域から生まれる公共性 〜都市づくりの観点から〜」(5/19)
◆図書紹介◆
・バリアフリーと地下空間
◆視察レポート◆
・無垢のスギ材外壁のオフィスビル(第15長谷ビル)/京都
◆読者の声◆
◆スペーシアのこの頃◆
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◆まちのトピック◆−スペーシアに関わりのある出来事や皆さんからの情報を紹介−
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○ 愛知住まい・まちづくりコンサルタント協議会 2009年度 総会記念講演会 ○
「地域から生まれる公共性 〜都市づくりの観点から〜」
これまで日本の都市は、都市計画に見るように、国家によるコントールが強く、市民が主体的
に都市づくりに関与する可能性が少なかった。しかし、近年の地方分権化、まちづくりの動きに
示されているように、市民により都市づくりの可能性が開かれてきた。この現実の動きをどう捉
えてゆけばいいのかを、『地域からの生まれる公共性』というキーワードで議論してゆきたい。
【講師】田中重好(たなか しげよし)氏/名古屋大学大学院 環境学研究科 教授
研究分野:都市社会学、災害社会学、中国社会の社会学
主要著書:「地域社会における共同性」『地域社会学会年報 第15集』(2003)他
【日時】2009年5月19日(火)15:00〜16:45
【場所】(財)名古屋都市センター 11階大研修室
名古屋市中区金山町一丁目1番1号 金山南ビル
金山総合駅(JR、名鉄、地下鉄)から徒歩2分
■主催:愛知住まい・まちづくりコンサルタント協議会
■参加申し込み
下記、参加申し込み書にてお申し込みください。
http://www.interq.or.jp/japan/ai-machi/katudou/2009/090519/090519.pdf
〜スペーシア・石田〜
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◆図書紹介◆ −まちづくりに参考になるものを紹介−
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○ バリアフリーと地下空間/後藤惠之輔・森正 著/電気書院/2007.8 ○
名古屋は地下街のまち。「迷路みたい」とよく言われ、訪れれば一度は必ず迷う場所。この
迷路性が魅力だという声もあるが、バリアフリーの点からみると、致命的だろう。もともと建設
された時期も主体もバラバラなため、段差などのハード面から、サインなどのソフト面まで、
バリアだらけである。多くの人がなんとかならないかと感じられていると思うが、私も同様、そう
感じていたところに見つけた本だった。
この本は、著者の2名が実際に障害者であり、その目線から書かれている。地下空間を対象
に選んだのは、名古屋もそうであるように、地下空間自体がバリアであり、かつそれらが凝縮
された場所であるため、その解決が他へのモデルケースになりうるだろうと考えたからである。
地下空間というわかりやすいバリアを題材にして、幅広くバリアフリーやユニバーサルデザイン
への理解を深めてほしいというのが目的だ。具体例も豊富で、全国各地の地下街につい
て、実地調査を行い、問題点を列挙し、具体的な対策を紹介している。名古屋では、エスカと
テルミナがとり上げられているが、結構細かいところまで見られ、厳しい(?)指摘を受けている。
また、防災面にも言及している。地下の耐震性は優れているものの、近々起こると言われてい
る大地震を、地下街で、かつ障害者という立場で遭遇したら?そしてパニックに巻き込まれた
ら?と、そんなことまで想像させられてしまった。
名古屋のまちの魅力をより高めていくためは、地下空間を避けては通れない。地下を見つめ
ることで、また違った地上のまちづくりも見えてくるかもしれない。それから、バリアは目に見え
るもの以外にも、意識や認識の問題もあるので、それらも含め、今後またじっくり考えていきたい。
以下は、蛇足だが、先日行ったとある観光地のお店で、「お子様(赤ちゃん)を抱いたお客様
にはご遠慮いただいております。」との言葉を店員からかけられた。最初意味がわからなかっ
たが、要は「出ていけ」とのこと。通路の幅が狭く、子どもの足が商品にぶつかって壊されることを
怖れてらしい。商品が大事、また子どもの行動が予測不可能なのはわかる。が、子どもを抱い
て入れないということは、ベビーカーや車イスでも当然入れないということ。バリアフリーの意識
があれば、違った店づくりもできたのではないだろうか。店の中の移動についても、是非バリア
フリーに心掛けてほしいものである。(櫻井高志)
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◆視察レポート◆ −まちづくりに参考になるものを紹介−
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○ 無垢のスギ材外壁のオフィスビル(第15長谷ビル)/京都 ○
先日、「木愛の会」のセミナーに参加する機会があり、京都四条烏丸エリアにある「第15長谷
ビル」を訪問した。(木愛の会については下記を参照)
http://www.spacia.co.jp/Nagoya/arekore/2008/kiainokai/index.html
第15長谷ビルは、平静20年4月に完成し、地上9階、敷地面積410.15u、建築面積352.85u、
延床面積2870.87uである。ビルの高さは、京都市が平成19年9月に策定した新景観政策によ
って31mとなっている。(職住共存地区以外のエリアでは、建物の高さ規制が45mから31mに
引き下げられている)
ビルの外壁は、無垢のスギ材で覆われており、共用部分の床やサッシ等にも木材を多用し、
オフィスビルには珍しい吹き抜けがあることが特徴である。オーナーである長谷ビルは、京都を
中心にオフィスビル等を展開しており、伝統を受け継ぎながら、時代の感性を取り入れ、街に新
たな価値を創出することを考えている。
外壁のスギは、メンテナンスとデザインのために階の間に取り付けたコンクリートの庇によって
日差しや雨を遮り色褪せを防いだため、1年が経過した現在でもあまり色褪せていないが、設計
者は早く木特有の色褪せた色になることで、さらにスギの良さが際立つと考えている。京町家等
にみられる木の色合いが、オフィスビルでみられるようになった時、周辺ビルとどのように調和し、
またどんな印象を与えるかが楽しみである。
ビル内は、オフィスビルというよりも商業ビルのような感じを受けた。その理由とは次のようなこ
とが挙げられる。木が細部に使用されているため、通常のオフィスビルのように無機質ではなく、
木のぬくもりが溢れる空間となっていること。また、吹き抜けによって内部にまで光が入り込み、
町家の坪庭の役目を果たしていること。さらに、通常のオフィスビルでは、他のフロアの人と顔を
合わせることはあまりなく、物理的距離は短くても精神的な距離は遠いものであるが、その距離
を吹き抜けがあることで、顔が見え、気配を感じることができる共有的な空間を創り出し、オフィス
ビル特有の閉鎖的な感じをなくしていることである。吹き抜けは、空気の自然な循環を作り出すこ
とが可能となり、不要な空調使用を抑止することにもつながっている。
木材には、間伐材も使用されている。間伐材を使用することで、山林等の産地や林業の活性化
を視野に入れている。近年、このような取組は少しずつ増えてきているがあまり世間に浸透はし
ていない。現在、このオフィスビルには2社しか入居していないが、今後さらに入居が増えていく
中で、ここで働く人たちが木の良さを再認識していくのではないだろうか。 (朝倉卓也)
参考:長谷ビルディンググループ
http://www.hase-building.co.jp/
→ホームページに写真を掲載しています。
http://www.spacia.co.jp/Mati/sisatu/2009/kyoto/index.htm
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◆読者の声◆ −みなさんからいただいた感想や意見を紹介−
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(みなさんからのご意見・ご感想をお待ちします)
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◆スペーシアのこの頃◆ −所内の話題をちょっと紹介−
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・私事ですが、東海道検定に合格したのを契機に今年は東海道に注目してみようと、GW中に
島田〜掛川を歩いてみました。ネットに多くの人々が歩行記を掲載しているのに驚き、思っ
た以上に多くの人々が歩いている姿に驚きました。今年はいろいろ歩いてみたいと思って
います。(ishida)
・発行日が1日遅れてしまいました。申し訳ありません。
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し、様々な意見交換等を行うことによって、より深いネットワークが形成できればと考えてい
ます。 様々なご意見や情報もお寄せ下さい。このメールマガジンに掲載させていただきま
す。(このメールへの返信でお願いします)
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http://www.spacia.co.jp/mm/
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(株)都市研究所スペーシア 編集:石田
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URL http://www.spacia.co.jp/
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