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◆ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ □[第188号]2007/9/17
◆ ■ ■ ■■ ◆ ■ ■ ■■ □−−配信数 700−−□
スペーシア・メールマガジンの第188号をお送りします。
名古屋からの情報発信とともにまちづくりのネットワーク形成をめざしています。
今回、はじめて送信させていただいた方もよろしくお願いいたします。
<内容・目次>
◆まちのトピック◆
・ 「岐阜シティ・タワー43」グランドオープンに伴う記念シンポジウム(10/8)
◆図書紹介◆
・後藤新平 日本の羅針盤となった男
・つくる図書館をつくる―伊藤豊雄と多摩美術大学の実験―
◆読者の声◆
◆スペーシアのこの頃◆
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◆まちのトピック◆−スペーシアに関わりのある出来事や皆さんからの情報を紹介−
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○ 「岐阜シティ・タワー43」グランドオープンに伴う記念シンポジウム ○
(1)開催日時:平成19年10月8日(祝)
午後2時〜5時 (入場受付は午後1時30分より)
(2)開催場所:じゅうろくプラザ 2階ホール
(3)内 容:
1)基調講演
テーマ:コンパクトシティを目指した街づくり
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講 師:松谷 春敏 氏 (国土交通省街路課長・元岐阜市助役)
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講演テーマ:都市交通の戦略的取組み
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講 師:橋本 公博 氏 (国土交通省市街地建築課長)
講演テーマ:市街地再開発とまちなか居住
2)パネルディスカッション
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テーマ:県都岐阜市の活性化を考える
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パネリスト:白石 真澄 氏 (関西大学政策創造学部教授)
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小島 伸夫 氏 (岐阜商工会議所会頭)
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原 正之 氏 (岐阜県副知事)
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細江 茂光 氏 (岐阜市長)
コーディネーター
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碓井 洋 氏 (滑阜新聞編集局長)
3)参加・申し込み方法
代表者名・連絡先・参加人数を明記の上、FAX(058-266-1432)
で9月25日迄にお申し込み下さい
※先着600名様には記念品を贈呈
〜スペーシア・浅野泰樹〜
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◆図書紹介◆ −まちづくりに参考になるものを紹介−
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○ 後藤新平 日本の羅針盤となった男 ○
山岡淳一郎著 草思社 2007.3.2発行
本を購入するときは、新聞や週刊誌等の書評を読むか、書店で序やあとがき、さらには
目次に目を通して、テーマの背景と結論、そこへ到達する展開を踏まえて購入することが
多い。都市計画を仕事としている者にとって「大風呂敷を広げた」後藤新平は「踏まえて
おくべき人物」である。ちなみに、名古屋の都市計画になると石川栄耀や田淵寿郎がそれ
に該当する。よってタイトルから「後藤新平」であり、あとがきに「後藤新平は、日本で
希有な公共の思想を体現した政治家」であり、「公共の思想は、権力者に不可欠な資質で
ある。権力が私されるところに未来はない。」とする文言に惹かれた。
徳川末期、1857年岩手生まれの後藤新平は、福島で医学を学び、医者として社会人をス
タートさせている。そんな彼がいきなり都市づくりを始めたわけではない。西南戦争での
凱旋兵のコレラの蔓延の惨状を踏まえて、日清戦争での帰還拠点である広島に大検疫施設
を1894年に建設し、「もうひとつの戦争」をみごと終息させた。
その時の上司である児玉源太郎が台湾総督に赴任すると、後藤新平も文政局長として
1898年に同行する。当時の台湾には、「阿片の習癖、島民の叛乱、群賊の横行」のなかで
の統治を余儀なくされたが、ここで後藤新平は総合的な島(都市)づくりを行う。そのた
めには資金が必要であり、財源を見出すため、台湾事業公債発行(鉄道・築港・土地調査
の三大事業と吸水・監獄舎改築・官舎建築の付帯事業)と台湾銀行創設に成功させ、阿片
・樟脳・塩・酒の専売事業による歳入増加、土地調査による地租の確立を成し遂げていっ
た。そんななかで台北の近代都市づくりも着手される。上下水道、道路、市域の拡大であ
り、インフラとしての公衆衛生と都市計画の一体化である。まさにソフトな都市経営と
ハードな都市建設の一体化をみごと台湾で成し遂げたといえる。
この経験が後の満州鉄道総裁に就任した際に、満鉄調査部の設立、鉄道の広軌化の実
現、長春の都市計画、大連築港、旅順の教育機関の創設など次から次へと手を打っていっ
た。その後、第二次桂内閣の逓信大臣、寺内内閣の内相兼鉄道院総裁に就任し、どっぷり
と政治の世界に入り込む。いずれもインフラストラクチャーに係わる職務についている。
1920年に東京市長、1923年の関東大震災直後に、第二次山本権兵衛内閣の内相兼帝都復
興院総裁に就任して、帝都復興案を提出した。@遷都せず、A30億円の復興費、B欧米最
新の都市計画の導入と日本にふさわしい新都建設、C地主の相応の負担がその内容であ
る。地方長官会議での後藤新平の演説は「公共」の思い、さらには「公」と「官」を峻別
している点が彼の真骨頂である。しかし、ポリティカルバランスは後藤新平にうまく働か
なかった。「土地の『絶対的所有権』という壁」を突き破れず、この30億円という大風呂
敷は切り刻まれてしまった。
今日の政治家の中に、それだけ大風呂敷を広げられる政治家がいるのか、あるいは
「私」を超えて「公」のために奮闘している政治家がいるのか?事務所費の二重計上や補
助金不正受給などで大臣を辞職する時代である。もちろん後藤新平は生きてきた近代日本
の舵取りの時代と今日とは異なるであろうが、志があまりにも小さい。
それは政治家だけに限らず、我々都市プランナーの世界でも同様である。大風呂敷を広
げるだけの構想力あるいは想像力をもっているか?ハードだけでなくソフトを含めたトー
タルな都市をつくれるか?様々な圧力がかかるなかで、実現できるだけの信念を持ってい
るか?等々である。
丁度、胆嚢炎で入院中に読んだ。体力には自信があっただけに、ややガックリ来ていた
が、読んで元気の出る本である。やはり志は大きく持たなければ………。
幾つかのエピソード
1.23歳にして愛知県病院長兼愛知医学校長に赴任し、1882年岐阜で刺された板垣退助の
治療をし、会話をしたことで気に入られたという名古屋エピソードも盛られている。
2.伊東巳代治を首相にしようと後藤新平は川上貞奴を使って西園寺公望や山県有朋を
口説いていったと書かれている。
(井澤知旦)
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○ つくる図書館をつくる―伊藤豊雄と多摩美術大学の実験― ○
鈴木 明、港 千尋、多摩美術大学図書館ブックプロジェクト偏
本書はこの春に竣工した多摩美術大学の図書館について書かれた本である。多摩美術大
学は自分の母校であり、そこに世界的に注目を浴びる伊藤豊雄が図書館を建てるというこ
とは、予てよりの関心事であった。実物はすぐにでも見に行きたいのであるが、その前に
本で情報を仕入れておくことにした。何よりも気になるのは図書館という古くさいビル
ディングタイプをどう捕らえ直しているかという点である。本書を読むと「ブラウジン
グ」という言葉がキーワードとなって建築のコンセプトが作られたことが分かる。
「browse」とは今ではインターネットを閲覧することを連想するが、本来「若芽を食べ
る」という意味で、本屋などで立ち読みしながら本をあさるという姿が、新芽を食みなが
ら垣根に沿って歩く羊の姿に似ていることから、気軽に閲覧することを指すようになった
そうだ。この図書館では現代的なブラウジング方法の探究から空間の形成を図っており、
それが都市的な要素に繋がっているという発見があった。また、本書はこの図書館にまつ
わるイメージを20人以上の著者が自由に書いており、それらの散在があたかもこの空間を
表現しているかのようであった。実物の建築の空間体験を期待させる本である。
(堀内研自)
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◆読者の声◆ −みなさんからいただいた感想や意見を紹介−
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(みなさんからのご意見・ご感想をお待ちします)
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◆スペーシアのこの頃◆ −所内の話題をちょっと紹介−
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・発行が1日遅れてしまいました。申し訳ありません。
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を活用し、様々な意見交換等を行うことによって、より深いネットワークが形成
できればと考えています。 様々なご意見や情報もお寄せ下さい。このメールマガ
ジンに掲載させていただきます。(このメールへの返信でお願いします)
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