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◆ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ □[第170号]2007/1/8
◆ ■ ■ ■■ ◆ ■ ■ ■■ □−−配信数 670−−□
スペーシア・メールマガジンの第170号をお送りします。
名古屋からの情報発信とともにまちづくりのネットワーク形成をめざしています。
今回、はじめて送信させていただいた方もよろしくお願いいたします。
<内容・目次>
◆まちのトピック◆
・市民による個性あるまちづくり −市民と行政と学界の協働−(1/13)
◆名古屋まちづくり情報◆
・津は観光地になれるか?
◆視察レポート◆
・原美術館
◆読者の声◆
◆スペーシアのこの頃◆
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◆まちのトピック◆−スペーシアに関わりのある出来事や皆さんからの情報を紹介−
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○ 市民による個性あるまちづくり −市民と行政と学界の協働− ○
アーンスタインの「参加の梯子」をもちだすまでもなく、市民がまちづくりに直接関わ
ることが、市民が実感できるコミュニティ意識(集団)、充実した暮らし(個)、意味あ
る場(地域)を形成するために大切であるといわれます。四日市市内で展開されている市
民のまちづくりグループに活動報告をしていただき、それらを題材に、市民のまちづくり
をより伸ばすために市民・行政・学界の役割と協働のあり方について討論します。
【日時】 平成19年1月13日(土) 午後2時〜5時
【場所】 四日市市総合会館 8階 視聴覚室
(三重県四日市市諏訪町2番2号 TEL:059-354-8292)
【内容】
あいさつ 井上哲夫四日市市長
基調講演 北原理雄千葉大教授
事例報告 防犯まちづくり((特)別山安全なまちづくり推進委員会、西村伸次氏)
公共空間の管理(四郷栗の木林をつくる会、豊村正和氏)
まちづくりの計画と実践(県地区まちづくり委員会、羽木正徳氏)
まちづくりの次世代育成(北河原田町女性会、今井文子氏)
休 憩 (トイレ休憩・パネル見学)
討 論
市民(西村氏、豊村氏、羽木氏、今井氏)
行政(四日市:藤井信雄氏、津:伊藤雅一氏、名張:山口伴尚氏)
学界(北原理雄教授、瀬口哲夫教授)
コーディネート(浦山)
【主催】四日市市、日本都市計画学会中部支部
〜三重大学の浦山益郎さんより情報提供いただきました〜
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◆名古屋まちづくり情報◆ −名古屋から情報発信−
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○ 津は観光地になれるか? ○
日本一短い町村名である津(地元では「つぅ」と呼んでいる)市は、昨年(2006)1月
1日に10市町村が合併して新生津市(人口約30万人)が誕生した。三重県の県庁所在地で
あるため、商業・業務の集積はあるが、中心市街地の活性化が課題となっている。そんな
なかで、津は歴史・文化の宝庫であり、津も観光に力を入れている。
昨年11月に白壁アカデミアの会員で津の歴史的町並み等を現地交流事業の一環で視察し
た。これまでバス1台で日帰りできる地域には殆ど出かけ、三重県では亀山・関や伊賀上
野、松坂、桑名、鈴鹿さらには伊勢(おはらいまちやおかげ横丁、河崎町)と多くの地を
訪問したものの、津は現地交流事業66回目にして初めて行った地域となった。つまり、津
は歴史・文化観光の対象としてイメージされない都市の一つである。しかし、改めて調査
し訪問するとなかなか面白い地域である。
歴史的に古い津観音(恵日山観音寺)は、奈良時代初め709年の開山、浅草・大須とな
らんで日本三観音の一つであり、室町時代には将軍足利義教が勅命を奉じ三重塔を建立、
豊臣秀吉が出陣の際に祈願を怠らなかったと言われている。太平洋戦争により41の堂宇が
消失したが、現在多くが再建され、その象徴として純木造の五重塔が平成13年に建立され
た。そしてなによりもご住職の話が面白い。
もう一つは津城である。織田信長の弟信包(のぶかね)によって築城された津城は、伊
予藩から転封(1608)した藤堂高虎によって大改修が行われた。単に西側大坂への防御を
強化するだけでなく、上野城と津城を伊賀街道で結び、また津城下町に伊勢街道を引き込
むなど、物流にも取り組み、近世都市の「くにづくり」の雛型となっている(参考文献:
江戸時代の設計者−異能の武将・藤堂高虎−)。現在では、本丸・西の丸と内堀・石垣の
一部を残すのみとなり、復興された三層角櫓が当時を彷彿とさせる。ボランティアガイド
による解説で往時の面影を心の中で復元していくのだが、城址全体が現物により復元され
れば、よりイメージが沸く。市に訊くと今のところそんな計画はないそうである。
最後に訪れたのは、一身田寺内町である。ここは真宗高田派専修寺(無量寿院/1469〜
1487年建立)を中心に環濠と土居により囲まれた寺内町で、環濠が今日まで完全に残って
いる珍しい場所である。国の重要文化財で専修寺境内最大の御影堂は平成20年まで平成の
大改修のため見学は出来ないが、隣接する如来堂も重要文化財であり、これだけでもその
規模に圧倒される。境内の雲幽園とそこに建つ安楽庵は別世界に誘ってくれる。ここでの
解説は若い僧侶が担当した。説教や講話をするだけにその話術は我々にも参考になる。
一身田寺内町の街並みは一部残されており、往時の雰囲気を醸し出している。その一角
に豊田式織機(1907年操業)・豊和工業(豊田式織機の後継、1945年創業)の織機で今な
お操業している工場がある。当時の布の風合いはこの織機でしか出せず、馴染みやすさが
受けているとのこと。こんなところにも豊田佐吉の痕跡がある。ここにも一身田寺内町
ほっとガイド会があり、寺内町を丁寧に案内してくれる。
これ以外にも多くの観光資源があるが、時間が無く回り切れていない。今回、てんむ
す、いちご大福、たいやき、味噌かつ、ベビースターラーメン、肉まん・あんまんの発祥
の地であり、名物がうなぎであることを恥ずかしながら初めて知った(「発祥」というの
は、店によって色々言い分があるのだろうが)。
どの地域にも人が生活している限り、独自の歴史・文化はあるはずである。しかし、う
まく掘り起こせなかったり、それが惹きつけるだけの物語を描けなかったり、仕掛けがな
かったりしている。先の「発祥の地」も名古屋まで伝わってきていない。
そして、その地域の歴史・文化を来訪者に伝えるのが、地域の人々である。地域の生活
者が地域に対して誇りを持てないで、誰が迫力を持って伝えられるのであろうか。ガイド
ボランティアの活動は朴訥ながらも気持ちは伝わってくる。
津は「興味津々」というタイトルで観光ガイドブックを作成している。が、現状は既述
の通りである(津出身者はもっとアピールを)。他の地域も同じ様な問題を抱えているの
であろう。地域再生や都市再生には経済的側面が強く出るきらいがあるが、文化的側面を
もっと強調すべきであると思っている。(井澤知旦)
→ホームページに写真を掲載しています。
http://www.spacia.co.jp/Nagoya/arekore/tsu/index.html
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◆視察レポート◆ −まちづくりに参考になるものを紹介−
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○ 原美術館 ○
原美術館は品川の閑静な住宅街にある現代美術専門の小美術館である。1979年の開館以
来、独自の企画による先進的な活動が注目を集めている。この美術館でまず目を引くの
が、その建物である。1938年にもともと邸宅として建てられたもので、設計は銀座のラン
ドマークとなっている旧服部時計店を設計した渡辺仁である。当時最先端だったヨーロッ
パモダニズムの建築で、レトロな中にある洗練されたデザインがすばらしい。外壁に張ら
れた白いモザイクタイルは、今見るととても新鮮に見える。緩やかに湾曲した建物に小規
模な展示室が並ぶが、それらの小空間をうまく活用した展示方法がこの美術館の大きな魅
力となっている。特に常設展示作品は、住宅として使われていた名残のような空間との融
合が図られ、この美術館の見せ場となっている。
この美術館のもう一つの魅力はミュージアムショップである。近年のアートブームを牽
引する要因として各美術館のミュージアムショップの充実が上げられる。特に、原美術館
のミュージアムショップは評価が高く、アート鑑賞と同じくらい楽しむことができる。ま
た、広い中庭に面したカフェも、都会の喧騒の中で贅沢な時間を過ごすことができる魅力
的なスポットである。展覧会の作品をイメージして作られる「イメージケーキ」という面
白いメニューもあり、舌でもアートを楽しむことができる。
近年、現代アートは概念そのものが大きく変化し多様化してきている。このため、現代
アートのあらゆる作品を展示できる空間を造ることは不可能といえるだろう。しかし、
アートは展示される空間との関係性の中で作品が生きもすれば死にもするのである。この
原美術館は美術館として建てられたものではないけれども、その良い関係性を見ることが
できる。それはもともと上質な住宅だったという歴史が、展示空間として主役でもなく脇
役でもない魅力を生み出しているからだろう。もちろんその魅力を引き出すための学芸員
の方々の努力も忘れてはならない。(堀内 研自)
→ホームページに写真を掲載しています。
http://www.spacia.co.jp/Mati/sisatu/hara/index.htm
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◆読者の声◆ −みなさんからいただいた感想や意見を紹介−
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(みなさんからのご意見・ご感想をお待ちします)
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◆スペーシアのこの頃◆ −所内の話題をちょっと紹介−
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・あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
・新年早々発行が1日遅れてしまいました。申し訳ありません。
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◎ホームページでは一方的な情報提供に終わってしまいますが、このメールマガジン
を活用し、様々な意見交換等を行うことによって、より深いネットワークが形成
できればと考えています。 様々なご意見や情報もお寄せ下さい。このメールマガ
ジンに掲載させていただきます。(このメールへの返信でお願いします)
◎バックナンバーはホームページに公開しています。
http://www.spacia.co.jp/mm/index.htm
◎今後の配信を希望されない場合は、このまま返信して下さい。
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(株)都市研究所スペーシア 編集:石田
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