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第2回シアターオリンピックス静岡

 シアターオリンピックスとは、9名の舞台芸術家によって構成された国際委員会によって、1995年第1回がギリシアにて開催され、今回第2回を1999年4月〜6月の期間、静岡にて開催中の舞台芸術のオリンピックである。今回は20ケ国が参加。会場はグランシップと静岡舞台芸術公園内劇場のメイン会場を中心に、静岡県各地で行われている。

(ほとんどの公演は3,000円というお値打ち価格であるが、公演時間は1時間ほどしかない。しかし商業演劇と違い、この様な小さなパフォーマンスは興行的に難しく、国内ではなかなか見ることができないため、ありがたいイベントである。演目の質も高く、思っていたより客入りも良かった。)

 仕掛け人は利賀村でご活躍の鈴木忠志。すなわち利賀村のテーマを15年後に都会に持ってきたという感。

<内容>

*世界20カ国の優れた作品を上演、また同時にシンポジウム、ワークショップ、作品の想像など教育プログラムを持続的に行う。

*歴史的な舞台芸術の保存・記録。

*舞台芸術家の国際的ネットワークと若い芸術家への訓練・支援。 

 

<会場について>

静岡県コンベンションアーツセンター(グランシップ)

設計:磯崎新アトリエ/完成:1998年8月

大ホール/ゴシック・カテドラルをイメージしてデザインされた、60mの天井高をもつ多目的ホール。4,600人規模のメガイベントが可能である。前庭に位置する外部広場とは12m高の大扉を開放することにより外部と一体的に使うことができる。

中ホールとコンベンション諸施設/演劇やミュージカルを主として、800人を収容。また、舞台周りの床などを組み替え1,200人収容の会議場にもなる。劇場の他500人収容の国際会議場、大中の会議室などがある。

静岡芸術劇場/かのシェイクスピアが拠点としたグロープ座をモデルにした演劇専用劇場(アカデミー賞受賞の映画「シェイクスピアINラブ」をみると、よく判るかも)つまりは客席が舞台を取り囲むようなつくりで400人キャパ。

<私感>JR静岡駅から3キロはなれて新設されたJR東静岡駅と隣接。建物のために駅をつくったのですね!ゴシック・カテドラルがテーマと設計はいいますが、私には登呂遺跡みたいな古来の日本の建物のカタチを思わせました、だからかえって正面のインパクトはオモシロイかな。中身は「ふーん立派ね」位の印象でしたが、演劇専用につくられた静岡芸術劇場については、確かに画期的かと思われます。建築完成と同時にこうした大きなイベントをもっていくることで、贅沢な専門性の高い劇場がちゃんと稼動できると・・・良いですね。

 

静岡県舞台芸術公園(センター)

総合芸術監督:鈴木忠志(利賀村、水戸芸術劇場をプロデュースした演劇監督)

完成:1997年10月/日本平の山の中21ヘクタールの公園の中に、劇場、稽古場、研修交流施設なとが点在する舞台芸術の創造活動のための公園。

野外劇場「有度」/キャパ400人、茶畑をとりこんだ舞台は、大自然というより、奥庭のような、暖かい奥行きを感じさせる気がする。しかし、私が思うに、利賀村の野外劇場のほうが立派である。20年以上も続いている鈴木&磯崎コンビなのだけれど、経済的な問題があったのか?

屋内ホール「楕円堂」/キャパ120人、デザインのチカラはこちらにかかっている様である。鍵がかかっていたので、外形しかわからないが、劇場内は写真でみる限り、とてもカッコいい。その名の通り楕円形の劇場のようだが、覗くと周廊下には畳が貼ってあり、非常にモダンな臭いがする。ここは再訪の決意!

<私感>公園内には上記劇場の同デザインの稽古場、また今回の様なイベントに参加する舞台人のための長期滞在のコテージなどが、点在しています。自然の中の施設であり、日本っぽくなく、洒落ている。これらの施設の中に、とりわけデザインされた建物があり、何かと聞いてみたら、総合芸術監督の鈴木忠志の滞在専用であるとか・・・・。まあ、すごい。そんなにチカラのある演劇人が日本の中にいただなんて!行政がこんなにも、舞台芸術や演劇に期待をしていることに驚きました。

建物や国際的イベントも良いですが、今回の静岡の取り組みの中で何が立派かというと、例えば芸術劇場を公共ホールとしてだけでなく、劇場専属の劇団を抱えるといった未来へのつなぎ方です。劇場だけでなく、宿泊、稽古場などの関連施設、行政のきちんとした位置づけ(舞台芸術部長という名もあるとか)、また、清水港での100人の県民を役者として使っての市民劇など、一過性のイベントではあるけれど、県内各地での文化活動を並行させて、県総出で文化芸術の都市の顔を一斉にスタートさせていることが、ご立派です。

(1999.5.24/山内)