6月1・2日の両日に第18回、有松絞りまつりが開催された。今回の祭りは「発色するまち有松」をコンセプトに、開催の一週間前から、愛知県から有形文化財に指定されている町屋建築のライトアップや、街道沿いに竹でしつらえた照明器具の設置で雰囲気を盛り上げる仕掛けが実施された。また、昨年から始まった、学生による祭り会期中の街道での創作絞りの展示は、今年は県内の大学だけでなく、大分、京都の大学も呼び込んでの展示であった。それぞれの作品は伝統に若い息吹が吹き込まれた斬新的なものばかりであった。
祭りのイベントでは絞り教室だけでなく、名古屋扇子の教室も実施され、有松を媒体に名古屋の各文化を発信しようとする新しいこころみも見られた。昨年に引き続き祭りには参加しているが、毎回新しい何かを生み出しているのも、この祭りの特色である。
今回は、祭りの委員として関わってきたが、委員会や当日を通して、有松気質としてソフト面においては皆、他には譲れないアイデアを持っており、まちに愛着を持っているということが再認識できた。昨年有松駅前の再開発地区の商業施設棟に入居予定だった大手ショッピングセンターの倒産により、先がみえづらい計画が展開されている有松ではあるが、そのことをきっかけに有松が一つになりつつあるような気配さえ感じ取れる今年の祭りであった。
再開発の将来は、有松の人たち自らのアイデアで、大型店舗の誘致だけではなく、さまざまな展開が考えられるはずである。有松の新しい未来に、祭りで感じられたようなパワーが注がれることに今後多いに期待したい。
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