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都市の集客装置と百貨店
  最近、経済関係の雑誌・新聞で百貨店沈没(週刊エコノミスト3/16)、百貨店 スーパー 大閉鎖時代(週刊東洋経済3/13)、三越伊勢丹の賭け(日経ビジネス2/22)という特集が目につく。1991年の9.7兆円をピークに減少と続け2009年は6.5兆円程度になり、3割減という状況である。売り上げは12年連続の減少している。それに対抗するために、百貨店業界の再編が進められており、2011年には三越伊勢丹、J・フロント(大丸松坂屋)、そごう西武、高島屋&H2O(阪急阪神)の4メガ体制と閉店という効率を高める一連の動きがある。
では実際にどれくらいの人が最近百貨店で買い物をしたのであろうか。百貨店以外での買い物が多くなっているのではないだろうか、バーゲン時期とお中元・お歳暮の時期を除けば、あまり買わないのではないか。百貨店は高級品でも現物が置いてあるので、実際に手に取り、洋服を試着したり靴の履き心地を試してみたりして、最適な商品の品番を控えて、料金を支払うのはインターネット注文や海外旅行(特にウォン安の韓国など)で購入するといったふるまいとなる。百貨店のショールーム化である。
新聞記事で2008年の消費者向け電子商取引額は6.1兆円であり、2007年比で14%の増加を見たが、この比率で2009年も増加したとすると7兆円弱となり、百貨店の売り上げ6.5兆円を抜くことになる。
百貨店も手を拱いているわけでなく、低コストで大衆化という「脱百貨店」路線をとるJ・フロントやそごう・西武、「価格を超える価値ある商品を提供」しようと「純百貨店」路線をとる三越伊勢丹と方向性が分かれているようである。
  今まで都心は華やいだ消費の場として百貨店を中心に集客してきたが、売り上げが落ち、集客力が弱くなる百貨店は今後どういう役割を担っていくのであろうか。物の販売だけでなく対面サービスをうることで集客は可能か(西武百貨店で失敗検証済み?)。本年の年賀状情報紙ラバダブのなかででも、石原武政関西学院大学教授との対談で語られたように、百貨店内に大学(大学院)の出店もありではないだろうか。都市の集客装置としての百貨店の行く末を研究したいものである。
(2010.3.15/井澤知旦)