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コンビニの拡大と地域社会

  コンビニエンスストア(以下、コンビニ)の大手10社の店舗数が5万軒を超え(2014年1月)、売上額も右肩上がりの9.9兆円(商業動態統計2013年暦年で全社)となっている。百貨店が右肩下がりの6.7兆円(同年)なので、格差がますます開きつつある。この2つに対してスーパーは微増の13.0兆円となっている。これら店頭物販に対していわゆるeコマース市場は15.9兆円あると言われ、2015年には20.1兆円に規模が膨らむと予想されている。
  丁度弊社の横にあったオフィスビルが本年度はじめに、セブン-イレブンと時間貸駐車場にかわった。近くには既にローソン、サークルK、ファミマがあるのだが、そこに殴り込みをかける出店であった。久屋大通と瓦町通の交差点近くにあるので、オフィス社員や専門学校生、買物客などの人通りが多く、信号待ちの間に少し寄ろうかという気持ちにさせる立地条件にある。見る限り、近傍のコンビニのなかで最も客数が多いように思われる。セブンカフェのコーヒーメーカーは当初より2台置かれていることも客数が多いことの証左だ。店員はほとんどがアジア系外国人で、複雑な会話をする訳ではないので事は足るのである。品揃え点数は3,000〜3,500アイテムと言われ、定番に絞っているので、面白みはない。原則どこでも同じ商品を購入できるのがコンビニの特徴とするなら(マクドナルドのようなファストフードも同様)、消費者は統計数値の範囲内でしか商品の目利きができない。特価品を除いてほぼ定価で販売されている。スーパーで購入することを考えれば、大損した気分になる。オランジーナは150円vs85円なのだが、コンビニエンス(利便性)というだけで、つい購入してしまう。
  コンビニは大きく日配商品、食料加工品、非食品が1/3ずつ並べられている。以前は防腐剤等が「食べてはいけない添加物」に入っていたので、弁当などの作り置き食品に対する抵抗はあったが、いまやその場で調理する食品も数多くなってきている。スーパー等の他店競争の中で進化してきている。
  コンビニの店舗数も郵便局の約2.5万店舗の倍となり、今や物販だけでなく、銀行の振り込み、ATM、チケットの販売、配送物の受け取りなど、都市インフラの一つになってきている。ここまでくるとコンビニ依存症になってしまいそうだ。
  しかし一方で、依存症になって、限られた商品からしか選択できない「限定された欲求」では、どうも見えない何かにコントロールされている気分でもある。近代社会は制約からの自由にあるはずなのに、脱近代社会は制約のなかの自由に後戻りしているのか。
  こんな大袈裟な話にするつもりはなかったのだけれど、言いたいことはコンビニ依存症でない賢い消費者でありたいし、消費だけでなく何らか創造に加担する人間でありたいと思う今日この頃である。

(2014.8.18/井澤知旦)