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望洲楼 半田市亀崎地区/2003.1.20

 半田市といえば、毎年3月中旬〜5月上旬にかけて開催される山車祭りが有名である。半田市の31台の山車の中でも、愛知県指定有形民族文化財に指定されているのは亀崎地区の5台の山車だけである。この山車には、諏訪の立川和四郎富昌ら(江戸時代後期)による、立川流の彫り物が施され、「力神」を代表とする躍動感あふれる見ごたえのあるものが多い。この山車の歴史をさかのぼると、山車祭りの車元(一年間の祭礼のスポンサー)に、「望洲楼」歴代当主である成田新左衛門の名前が出てきた。亀崎で「望洲楼」と言えば老舗の旅館であるが、どんな歴史をもっているか、また今どのような利用がされているかを知りたいと思い訪れてみた。

 望洲楼は、安政2年(1855年)に四代目成田新左衛門によって宿泊を目的に開業された。田山花袋・柳田国男など著名人や亀崎の13軒の造り酒屋の関係者によって利用された。現在では、料亭として会食、宴会そして接待などに利用されている。他に結納や結婚披露宴にも利用され、知多半島、西三河から平日、休日問わず来客がある。全10部屋のうち6部屋と全ての部屋が使われていないのは、建物が傾斜地にあり、階段が長く一番上の座敷まで上がるのが、現在の人では大変であるなどの理由からである。
 会席料理は5000円からと安くはないが、望洲楼の座敷からみる亀崎港の景色と趣のある建物でいただく料理は昔ながらの情緒いっぱいで格別だ。建物に関心のある人は、予め連絡をとれば建物だけの見学も出来る。

 まちの資源を調べることにより、知多半島の一角に歴史ある建築物が残っていることを発見できたのには驚いた。今後、このようなまちに隠れた資源をどのように市内・市外にPRするかがまちの魅力向上には、欠かせないと思う。

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望洲楼から見る亀崎港


内装

外観

 
(2003.1.20/浅井 洋樹)