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さくらアパートメント(旧さくらや旅館)  〜インディーズな場所2〜

 平成13年2月に閉館した旅館「さくらや旅館」が、この年4月末に『さくらアパートメント』としてリニューアルオープンした。
<名古屋市中区栄3-28-111  ○本館/木造2階建て ○新館/鉄筋コンクリート4階建て>

さくらアパートメント入口

 近頃「栄南」と愛称される矢場町界隈。ナディアパーク、パルコが並び、大須へと向かうこの地域は今名古屋の若者たちに最も注目されている。
 栄という立地でありながら比較的規模の小さなビル、また路地やぬけ道などがあり、若者たちのインディーズ気分は十分にそそられる。そのため矢場町界隈には老朽化したビルや空店舗などをうまく改装した個性的な店舗が集積してきた。さくらや旅館にもそういったオファーが以前からもあったようだ。 



 旅館時代の部屋をそのまま貸し、服やアクセサリー小物、アロマテラピーなど30軒ほどのテナントが、各々部屋を自由に改装して店舗にしている。店のオーナーたちは若く、ほとんどが自分でデザインした手作りの商品を置いている。各部屋の個性的な内装もみな手作りだ。

各自趣向を凝らした手作りの店

ミシンを持ち込み半分工房
している店も多い



旅館時代の部屋割をその
まま利用
 店の一軒を覗いたら、オーナーでかわいい人がいたので、いろいろ詳しく聞いてみた。(芽里meriさん/本名)彼女たち3階の店で月4〜5万円の家賃、下に行くほど高い。そのため一階には手作りではあるが個人ではなく会社組織が入店している。
 さくらアパートメントの入店者とは、顔見知りが多く、ほとんどがクリエーターズマーケットで知り合った人たちだという。店番を雇えるような余裕はないので、ミシン踏々作品づくりをしながら、店に詰めている若きオーナーたちも多い。話を聞いたのはオープンして10日目、売上を聞くと、なんとか目標はクリアできそうだという。



 全体的に質の良い文化祭のような楽しさをもっていて、よくできている。しかし若いオーナーたちが、イベントではなく、継続して店を構えつづけられるのだろうかということに、ちょっぴり不安を感じないわけではない。腰を落ち着けてしまったらインディーズショップの魅力はないともいえるのだが、魅力的な場所と企画だからこそ、商いとして是非成功してほしい。
 本館と呼ばれている木造建築の方は、来年取り壊す予定だが、一年間だけアジアン&和テイストの家具店が出店している。さくらアパートメントの中で、規模的にも少し"大人している"この家具店からも話が聞けた。作り手の若者たちが、売り手としても成功していけるために、今後各店のオーナーたちに声をかけて定期的な会をもち、コミュニケーションを取りつつ、お互いに店主としての意識も育てていきたいとの話だった。小さな店補の集積だからこそ、一店一店の意識が建物全体のイメージに直反映される。
 まちづくりの中でも商店街の活性などでインディーズやチャレンジショップの話題は今、新鮮である。このさくらアパートメントにもグレーの背広の「いかにも視察」のおじさまがよく訪ねてくるそうである。栄・矢場町、立地はここまで好条件であっても、こういったインディーズショップの集合体は、立ち上げる以上に人気を維持していくことの方が数段難しい。やはり各店の経営努力の積み重ねしかないのである。今やその箱がどこにあるかの条件だけでなく、人材を生み、また育てていく環境づくりも、重要な視点として同時に考えていく必要があると思う。

 (2001.6.13/山内)