平成12年7月25日、知立市に「パティオ池鯉鮒」(知立市文化会館)がオープンしました。名前のパティオとはスペイン語で「中庭」のことで、この文化会館では「泉のパティオ」「緑のパティオ」等、様々な中庭が造られ、それらを回遊しながら施設をめぐることができます。また「池鯉鮒(ちりゅう)」とは「知立」の古い書き方だそうで、溜池の多い土地柄を示しています。この文化会館でも「水のパティオ」が造られ、池に面して大ホールが建てられています。
この文化会館の目玉は客席数最大1004人の大ホール「かきつばたホール」です。このホールの特徴は可動式の音響反射板を備えている点で、演劇から本格的なオーケストラのコンサートまで、多目的に施設を変化させることができます。また、このホールは外観がそうであるように内部も円形をしています。円形のホールというのは音響的には大変悪い形となるのですが、このホールの場合、仕上げと躯体で形を変えていて、見た目は美しい真円形で、しかも音響的にも優れた性能を持たせているそうです。
さて、こうした地方の大ホールは、よほど管理・運営に力を入れないと宝の持ち腐れになりかねないといわれます。私は設計者の日々の苦労を知る立場として、「パティオ池鯉鮒」がそうならないような運用がされることを願っています。またこうした施設が税金の無駄と言われないためには、市にとって、市民にとって本当に必要な施設は何かを、市民や設計者等を含めて議論しながら造っていけるシステムが必要だと思います。
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