名古屋市演劇練習場<アクテノン>は、白いギリシャ風の演劇の練習専用の施設である。 1937(S12)年に稲葉地配水塔として建設され、1975(S40)〜1991(H3)年は図書館となり、1995(H7)年より現在の演劇練習場として生まれ変わった。外観もさることながら、市民会館や文化会館のたぐいとはちがい、その名の通り演劇の練習のための施設というのは他にはあまり聞いたことがなく、ユニークな施設であるといえよう。1989(H1)年に名古屋市都市景観重要建築物に指定されている。
●円形の平面・主要施設
建物の平面が円形であるため、基本的には中心をホールとし、周囲を練習室や研修室としており、明快なプランになっている。ホールは1階が演劇にまつわる図書のコーナー、2階は吹き抜け、3、4階は利用者が休憩するためのホールとなっている。最上階である5階は照明、音響機器などが備えられたリハーサル室となっており、本格的な稽古が行えるスペースとなっている。さすがに改修費が12億もかかってあるだけあるなと感じた。
●5階にあるトイレ
充実した施設もさることながら、5階にあるトイレは一般用(男女別)と身障者用と別々に設けてあるのではなく、それぞれ一般用のものが車いすでも利用できるようにスペースを広くし、引き戸となっているため、健常者と身障者が同じトイレを利用することができる。この点がメンバーの方に好評だった理由の1つであった。
●利用者
開館してから3年経過し、利用者は年々増えているそうである。原則的に月曜休みで開館時間が9:30〜22:00と市の施設であるにもかかわらず民間の施設以上に長く、さらに24:00まで30分づつ延長可能なため、若い人の利用が多いのが特徴。この日は土曜日であったため、近くの小学生やお年寄りが1階のホールと休憩コーナーを利用していた。
●利用料
午前、午後、夕方、夜間ごとに、さらに午前+午後、午後+夕方など細かくわかれているが、ここでは主に1日の利用料を紹介する。
・リハーサル室−12,600円
・大練習室−3,600円
・小練習室、研修室、和室−2,600円
・この他、付属施設や野外劇場(客席のみ)も有料。
●感想
戦禍をまぬがれ、築後60年以上も経過している建物だが、4階に残る配水管やRC造のりっぱな梁をみていると建築というよりは土木構造物である。2度生まれ変わった<アクテノン>は、既存施設の活用、人にやさしい建物、施設のユニークさなど様々な点で、特徴のある施設であるといえよう。
|