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歴史と下町情緒あふれる桑名寺町通り商店街の次世代商店街への取組み

 名古屋から鉄道利用で約30分に位置する三重県桑名市には、桑名の台所として市民から親しまれている寺町通り通商店街がある。この商店街は全長約300mで中心部には寺町の由来となる真宗大谷派別院本統寺があり、境内には歴史を感じる仏殿、本堂や樹木が立ち、買い物途中に立ち寄れる憩の空間となっている。
 寺町通り商店街とは、20年前に商店街の活性化調査に携り現況調査、活性化策検討、商店街の東にある桑名城の外堀で当時空堀だった「寺町堀」の再生・活用等を提案した経緯がある。その後、約10年後に商店主らの熱意と行政の後押しもあり、計画で提案した形に寺町堀は見事に再生され、水辺が近くに感じられる親水空間と商店街来訪者らの駐車場として整備された。また、商店街の中ほどには空き店舗活用の一環でNPO法人が建物を取得し「まちの駅」が二年前に開業し、市内及び周辺地域の物産品の販売・PR活動も展開されている。
 今回、数年ぶりに寺町を訪れたが、商店街の賑やかさと温かみは変わることなく、訪れる人々を迎えてくれる。当時、振興組合の副理事長だった店主の方ともお会いでき、その後理事長となり、今は相談役的な立場で現理事長や若手経営者らを支えていた。
 寺町通り商店街では、平成元年から続いていた秋の祭りイベントを昨年終了し、今年は新たに天下の奇祭と呼ばれる石取祭をはじめ桑名市周辺自治体の祭りやパフォーマンスアーティスト等を集めた「桑名まつり博」を開催した。全国の商店街イベント等に関わりをもつあるパフォーマーとの出会いをきっかけに、振興組合が実行委員会として主催し行政関係の後援もあり開催された。二十数年に亘り続いたイベントからの転換には様々な事情や意見があったと思われるが、新しい取組への期待と熱意から開催にこぎつけ、これまでのイベントのノウハウを活かした結果、来訪者の評判も上々だったようだ。このまつり博は、次年度も継続するかは未定とのことだが、商店街としては秋の一大イベントとして新たに根付かせていける手応えはもったようで、次へ展開していきたいという思いは感じられた。
 振興組合組織の世代交代や新たなイベント開催など、次世代につながる商店街づくりが取り組まれてきた寺町通り商店街。来年秋のまつり博や地域住民等の台所としてこれからも親しまれる場を提供し続けてくれることに期待したい。

桑名
水辺と遊歩道として再生された寺町堀

(2014.11.25/村井亮治)