美浜町住生活基本計画で位置づけられた「空き家活用プロジェクト」。日本福祉大学児玉研究室・吉村研究室と連携し、昨年から検討をすすめてきた取り組みだが、所有者のご理解のもと、今年度2回の活用実験を実施することができた。
1つめは7月に実施した高齢者を対象としたサロン。美浜町では公民館などでボランティアによる高齢者サロンが実施されているが、その実施場所として古民家を使ってみてはということで模擬的に実施したもので、懐かしさのただよう古民家で、昭和クイズや昔の写真をみながら、昔のことを語り合った。回想法にふさわしい空間の中で、参加した大学生もその雰囲気を楽しんでいた。地域の高齢者と大学生との交流の場ともなった。
2つめが11月に実施した子育て中の親子を対象としたサロン。7月の経験を踏まえ、学生が企画・運営したもので、こども達と学生が一緒に遊び楽しむことで、お母さんたちに子育てを離れくつろいでもらうとともに、地域の人たちと交流するきっかけをつくろうというもの。「お兄さん・お姉さんと遊ぼう」と銘打ち、工作づくりや庭探検、バルーンアートを楽しんだ。「くつろぎカフェ」では飲み物とお菓子でお母さんたちにくつろいでもらった。最後は大学サークルの人形劇があり、子ども達が夢中になっていた。地域の子育てサークルに参加を呼びかけ40名以上の親子が参加。学生も30名以上参加し、いつもは静かな家が賑わい、輝いているようにも思えた。
この古民家は昨年の取り組みの中で注目し、所有者に活用実験の提案をしていたものだ。所有者の両親が亡くなり、長らく空き家になっているが、月に1度は手入れに通われており、所有者の建物に対する愛着が感じられる。また、美浜らしい黒壁を有する建物で築200年と伝えられ、地域の歴史的景観にも寄与している。
地域の資産として保存・活用していくことが望まれるが、活用にあたっての課題は多い。まずは、古民家の魅力を多くの人に共感してもらい、保存・活用にむけた機運醸成を図っていくことが重要ではないかと思う。実験に参加した人から「ぜひ続けてほしい」という声も聞かれた。町と大学の連携した取り組みとして継続されることを期待したい。
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