この春に開校する名進研小学校を見学した。名進研小学校は東海地区では初となる進学塾が運営する小学校で、進学塾のノウハウを活かし、公立の小学校より1,345時間も多い授業時間を確保することで、塾へ通わせなくても有名校への進学率が高い教育が受けられる。1クラス30名、各学年3クラスの編成で総児童数は540名の予定。平日は6時限、土曜3時限のカリキュラムが組まれている。また、情操教育にも力を入れており、施設にはその意気込みを随所に感じ取ることができた。場所は名古屋市守山区の自然が多く残っている丘陵地にある。敷地はもともと山林で、自然環境とうまく調和する建物を作ることがコンセプトとなった。
建物は教室棟と体育館を含む管理棟から成り、それらが谷を挟んでブリッジで結ばれている。教室棟は地形の傾斜に合わせセットバックしていく階段状の構成が魅力的な教室を生み出している。各教室には目の前のテラスに専用の庭が設けられ、さらにはグランドへ直接出られる階段も作られている。建物後ろ側は地下となるが、換気ピットが設置されており、外気を取り入れ循環させる仕組みが施されているため湿気や結露に悩まされる心配がない。また、建物の奥が暗くならないように、上部のテラスからトップライトで光を入れ、さらに一部には最新式の光ダクトというシステムも採用されている。屋外には元の谷地を利用したビオトープをはじめ、多くの自然観察の場を整備している。管理棟にあるランチルームには能舞台や茶室も設けられており、子供にはあまりなじみの無い日本の伝統文化に接する機会も増えるだろう。さらに教室棟北側には乗馬場も作られている。
名古屋の私立小学校としては椙山女学園大学付属小学校、南山大学付属小学校に続く3校目であるが、名進研小学校には直営の中学校がないため受験も必要となる。しかし、この学校にはただ受験勉強のための施設という雰囲気は無く、自然の中で伸び伸びと勉強ができる環境を創造している点が魅力的である。 |