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「愛知県登録文化財建造物所有者の会」の活動/明治村見学

  先日、「愛知県登録文化財建造物所有者の会(以下、愛知登文会)」の保存・活用講座で明治村を訪れた。
 国登録有形文化財とは、国指定重要文化財の指定制度を補完するために、1996年に制度化され、届出制によって、指導・助言・勧告を基本とする緩やかな保護措置を講じる制度であるが、その存在はあまり知られていない現状である。重要文化財と比べると登録文化財は数が多く、保存のあり方や有効活用の方向性が曖昧ではっきりとしていない。そのため、愛知県の登録文化財建造物の所有者は、2011年6月に愛知登文会を設立し、保存・活用の促進、県民への周知を図るため活動を開始している。現在、愛知県内には、338件の国登録有形文化財(建造物)が登録されている。
 博物館 明治村は、1965年(昭和40年)に開館し100万uと広大な敷地に、国指定重要文化財建物10件、愛知県指定文化財建物1件、国登録有形文化財建物53件の計64件がある。有名な登録文化財は、フランク・ロイド・ライトによって設計された「帝国ホテル」がある。明治村の来場者数は、開館から1991年頃までは、年間120万人前後であったが、その後、マイカーブームへの対応の遅れやバブル崩壊などによって、来場者が減少し、2002年には40万人を記録する。その後、来場者は、少しずつ増え50万人弱までに回復してきている。来場者数が回復するきっかけは、開館30年の1995年から、建物の中をミニ博物館として内部展示を見せるものから、建物内部を当時の用途に合わせて、実際に家具や調度品に触れることができる体験型展示へ変えたことが、回復につながったようである。
 明治村内を巡りながら改修工事の説明を受けている中で、空調設備は費用面でなかなか整備できず、夏場や冬場のイベント開催は、来場者に暑さや寒さを我慢させることとなり、積極的な活用が図れていない現状である。こういった中で登録文化財などの古きモノを残していくためには、資金が必要となる。そのためには、登録文化財を多くの方に知ってもらい、利用してもらう機会を増やすことで、建物の価値を理解してもらい、1人でも多くの方に必要だと感じてもらうことが大切であると感じた。明治村は、明治村と言う財団法人でも、保存や活用は容易ではない現状があり、個人や企業などの所有する登録文化財では、さらに容易ではないと伺える。登録文化財などの古きモノは、なくなってしまえば取り戻すことはできないので、地域住民による利用や資金援助ができる仕組みの構築が必要とだと感じた見学会であった。

帝国ホテル旧館の玄関部分
帝国ホテル旧館の玄関部分(国登録文化財)
西郷従道邸
西郷従道邸(重要文化財)
北里研究所本館
北里研究所本館(国登録文化財)
(2011.12.5/朝倉卓也)

明治村
http://www.meijimura.com/

名古屋陶磁器  愛知登録文化財建造物所有者の会について
http://nagoya-toujikikaikan.org/bunkazai/index.html