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栄東の住みよいまちづくり/名古屋市中区

 「栄東」とは名古屋市中区栄4丁目、5丁目を指している。中日ビル、池田公園などを含む地域で、「女子大小路」と呼ばれる歓楽街を有し、派手なイメージがあるが、実は栄の繁華街の中では最も住んでいる人が多い場所であるという。ここで、「楽しいまち、住みよいまち、住みたくなるまち」をキャッチフレーズとした地道なまちづくり活動が続けられている。
 活動の中心となっているのは、「栄東まちづくりの会」。平成15年に、栄東発展会、栄レジャービル協会、栄東地域安全推進委員会の3団体を基として、地域住民、在勤者など約50人を理事会のメンバーとして結成された。
 取り組んでいるのは、清掃活動、花を植える活動、消防防災訓練、青色回転灯車パトロール、住民の交流イベントなど。地域の中心にある池田公園を拠点的な場所としており、ここで、夏祭りや冬のイルミネーションイベント、週1回の清掃活動などが行われている。
 中でも特徴的な活動が、会の結成のきっかけともなったという「落書き消し隊」。ビルの壁面などにスプレーなどで書き付けられた落書きを、数十名の会員が、ローラーを手に一斉に消していくというもので、年に数回行っている。費用も手間もかかり大変ということであるが、落書きの放置は治安の悪化につながると言われることから、粘り強く消し続けている。そして、消すと落書きはされなくなるという。また、つらいばかりの活動ではなく、子供達や地域の専門学校生と協力して作業するなどイベント的に実施しており、地域の人同士が交流を深める機会にもなっているようである。
 この地域に多い、フィリピン人との共生のための活動にも力を入れている。タガログ語でゴミの分別、防災などのパンフレットを作成・配布したり、「3on3バスケットボール大会」で交流を図るなどしている。
 このような活動を定期的に続けていくことは、費用的にもマンパワー的にも相当な苦労を伴うと言うが、安心・安全なまちをつくることを目的に、協賛金などを募りながら運営している。名古屋の中心である栄地区で、住む人の立場に立ったまちづくり活動を地域の人達が自主的に続けているということは、非常に大きな意味のあることである。行政とも要所要所で連携をとっているということであるが、行政の手の回らない部分を住民が自主的な活動でカバーし、安心・安全な環境の維持を図っていると言える。今後は、スポンサーの確保など、安定的に運営する基盤を整えていきたいということであり、展開を注視したい。


タガログ語の防災パンフレット


池田公園でのイルミネーションイベント


落書き消し隊の活動
(2009.1.19/伊藤彩子)