岡崎市には、大樹寺から岡崎城を望む歴史的眺望(ビスタライン)がある。このビスタラインは、大樹寺と岡崎城を結ぶ約3キロの直線で、これまで眺望を遮らないように建物等が配慮されて、直線上に建つことなくその眺望が守られてきた。しかし、法や条例による景観保全の規制がないため、岡崎市では、景観法に基づく景観計画策定の中で、ビスタラインについて法的に位置づけることを検討している。
このビスタラインの歴史は、徳川三代将軍家光の時代に出来たとされている。家光が家康の十七回忌を機に、徳川家の先祖である松平家の菩提寺(ぼだいじ)である大樹寺の本堂から岡崎城が望めるように伽藍を配置したことが由来とされている。約370年経過した今でも、大樹寺から岡崎城を望む歴史的眺望は、総門越しに望めることができる。
また、景観計画策定を行う中での取組みの一環として、『歴史的眺望を「知る・守る」ための景観意識向上実験〜光ビスタライン〜』と題して、1月31(土)〜2月1(日)の二日間(午後5時30分から午後9時まで)、大樹寺総門から岡崎城へ向けてサーチライトを照射し、夜空にビスタラインを描く実験が行われた。この実験は、多くの方に関心を持ってもらい理解を深めてもらうための機会として、県の「未来型まちづくり推進モデル事業」を活用して行われた。
当日、実際に岡崎城に足を運び天守閣から大樹寺を眺めたが、大樹寺総門から照射するサーチライトをはっきりと見ることが出来た。岡崎市は自分の出身地でもあるので小さいころから何度か岡崎城を訪れたことがあったが、日も落ちた夜と言う事もあり、今までとは違った眺望を体感することができた。また、改めて大樹寺方面には高層の建物が少なく、遠くまで眺めることができると実感することが出来た。この実験には、多くの人が訪れていたようで、市民の景観に対する意識啓発につながったのではないかと思う。実際に景観計画などは、一般市民には縁遠いものとなりがちであるが、目に見える形で示すことで、より身近に感じることができる。また、この実験で行われたサーチライトによるビスタラインの照射が日常的に行われればと思う。
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