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サボテンによる地域活性化と地域間交流の可能性
/愛知県春日井市・勝川地区
 鑑賞用として親しまれているサボテンだが、春日井市が実生サボテンの生産日本一であることはご存知だろうか。市内の農家では桃やリンゴ等の果樹栽培の傍らでサボテン栽培をしていたが、伊勢湾台風により果樹園が打撃をうけ、その後サボテンの栽培に力をいれ、現在では第一次生産(実生づくり)は全国一のシェアを誇っている。
 市内の生産者は、このサボテン“春日井ウチワサボテン”を地域活性化、産業活性化につなげるため、5年もの歳月をかけ食用サボテンの開発に成功した。サボテンには、ムコ多糖体による脂肪分解作用や血糖値を下げる作用、善玉コレステロールを下げる作用等があり、肥満、糖尿病、動脈硬化等に効果があると言われている。生産者、商業者、商工会議所等は、生でも食べられるサボテンをより広めるため協同して様々な加工方法を研究するサボテンプロジェクトを立ち上げ、その結果、サボテンを使ったラーメン、パン、アイス、水まんじゅうなどの商品化に成功し、市内の一部の飲食店等で実際に味わうことができる(ただし、一部店舗では7月〜10月頃までの生産期に限る)。
 今回紹介するのは、多くの可能性を秘めたサボテンをより手軽に摂取できるよう生サボテンを自然醗酵させパウダーエキスを作り販売する「春日井さぼてんラボ&ショップこだわり商店」で、勝川大弘法通り商店街の一角に今月19日にオープンする。このショップは、食用サボテン関連商品の開発、効能研究、商品企画を行う“ラボ部門”とサボテン特産品の販売やサボテンプロジェクトに参加するお店を紹介する“ショップ部門”からなり、サボテンがもつ力を紹介しながらサボテン関連商品を販売するここにしかないこだわりのお店である。サボテンの「生命力」「発信力」に「美味しさ」と「癒し」のスパイスを振りかけ、多くの方が気軽に立ち寄れるお店づくりをめざしている。生活習慣病が気になる方、体質改善やダイエットをお考えの方には、是非勝川に足を運んで、このサボテンパワーを試してもらいたい。
 またオーナーは、このお店を春日井サボテンのアンテナショップとしてだけではなく、全国のこだわり地産地消商材を一部経費を負担してもらい受託販売する、“地産他消アンテナショップ”として活用する事業も視野に入れている。さらに、そうした商材流通を契機として地域SNSによる地域間交流もはかり、普段は商材の情報等を交換しあいながらも、万が一その地域が地震や台風等により被害がでた場合には、SNSを活用し必要な支援物資を的確な時期に送る支援拠点にも役立てたいと、お店の第二、第三の活用案を語っている。最近では、国内各地で自然災害による被害が相次ぎ、行政やボランティアによる物的、人的、経済的な支援が行われている。しかし、送られる支援物資の内容、量、タイミングが現地の実情にあわず、十分な支援につながらないケースもあり、現地の正確な情報を的確に伝えるチャンネルとして、日常的な地域間交流による関係構築の意味は大きい。
 地産地消は、地域活性化の一つとして広く浸透しているが、このオーナーが取り組むプロジェクトは単なるそれではなく、農商工連携による研究開発、シルバー等を活用したサボテン栽培、地域SNSを活用した情報発信といった他分野、他地域との連携につなげる新しいモデルともいえる。今は点としての取組みだが、いずれ線になり面的な広がりへと発展させることで、勝川地区の活性化や春日井サボテンの全国発信以上の成果がみえてくる。

【春日井さぼてんラボ&ショップこだわり商店】
  住 所:春日井市旭町1-12 コーポノザキNO3 1F
  電 話:0568−29−7830
  FAX:0568−29−7831

サボテンパウダーを含んだキャンディ
サボテンパウダーを含んだキャンディ

こだわり商店19日OPEN
こだわり商店19日OPEN

(2009.9.11/村井亮治)