「やらまいか ひだまり・ほほえみ・味なまち」。旧渥美町の中心だった福江地区(現田原市)のまちづくりビジョンのキャッチフレーズである。ビジョンがまとまり、田原市のホームページからビジョン本編がダウンロードできるようになったのが6/1。報告が遅くなってしまったが、当社が2年余りにわたってお手伝いをしてきた福江地区のまちづくりのとりくみについて紹介したい。
まちづくりビジョンの作成を目的とする「福江地区まちづくり会議」が発足したのは2007年6月。この会議の立ち上げにむけ、市民のニーズを把握するとともに市民の関心を高めるため、アンケート調査、ヒアリング調査、まち歩きワークショップを開催した。福江にはこの仕事を通じて初めて訪れたわけだが、渥美半島の先に歴史あるまちがあることに驚いた。現在では主要交通ルートからはずれているが、かつては東方から伊勢へいく交通ルートの拠点だったのだ。
歴史のあるまちだけに市民のまちに対する思いも強い。それは広報による委員公募に26名もの市民が応募したことにも表れている。様々な思いをもった多様な市民が集まったことにより、多様な視点から多数の意見がだされた。それらをとりまとめ、2007年度末に中間とりまとめとして発表した。3つの目標ごとに整理された取組みの方向はどれもまちにとって必要なことばかりであったが、一方でビジョンとして何をめざすのがわかりにくいという意見もだされた。
そこでビジョンのめざすところを示すキャッチフレーズを考えることとした。当初委員から出されたアイデアは多様であり、この言葉が決まるまでには3回の会議を要したが、「やらまいか ひだまり・ほほえみ・味なまち」というまちづくり会議の委員の思いを共有化する言葉ができたことにより、みんなでまちを創っていこうという思いが醸成されたのではないかと思う。
この取組みの中で特筆すべき点として、まちづくり会議はビジョンづくりを目的に立ちあがったものであるが、委員の中から地域の人々にビジョンの成果を目に見える形で示していくことが重要との認識が生まれ、歩道橋のペンキの塗り替えという機会を利用し、シンボルブリッジとして修景することになったことがあげられる。市民からの募金によって費用を捻出し、行政との連携により実現することができたのである。
この事業は「まちづくり会議実施事業第1号」と名付けられた。この名称には今後、次々と具体の事業を実施していきたいという市民の思いが込められている。厳しい財政状況の中で、具体の事業を実施していくことは容易ではないが、まちづくりの芽は着実に成長している。市民と行政の連携によって、まちづくりビジョンの実現が図られることを期待したい。
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