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大山田第一公園〜災害対応と環境共生によって特色を出した公園〜/三重県桑名市
大山田第一公園は、平成20年4月15日に桑名市大山田ニュータウン内の陽だまりの丘にオープンした、面積18,765uの近隣公園である。大山田ニュータウンは、都市再生機構(以下都市機構)によって建設が進められてきた地区であり、そのうち陽だまりの丘は平成5年度から土地区画整理事業が始められ、平成12年から一部入居が始まっている新しい街である。昭和40年代後半に開発された大山田地区のすぐ北側の丘陵地に位置する。
大山田第一公園の計画にあたり、都市機構では平成16年度、地区住民が参加するワークショップを開催しており、弊社がそのお手伝いをしている。ワークショップでは、近隣公園と、公園に接続する緑道、緑道に接続する街区公園の計画づくりを一体的に行った。
ワークショップにおいて、住民らが近隣公園のコンセプトとして掲げたのが「災害時に対応できる機能を持つ」ということであり、それに対応して、水道が止まった場合にも利用できるマンホール直結型の「災害対策トイレ」、災害時にはかまどとして使える「防災対策ベンチ」、40立米の耐震貯水槽などが設置された。
災害時利用に加え、もうひとつ重視した点が、環境との共生である。まず、地形であるが、もともとあった雑木林の山をそのまま残した結果、平地部分が山の北側、南側の2箇所に分かれた。そして、北側の比較的小さなエリアは既存の桜を生かしたお花見広場とし、子どもの遊具、健康遊具などを設置した。そして、南側の広いエリアは樹木を中心としたシンプルな空間として芝生広場を中心にイベントや軽スポーツなどを楽しめる場所とした。そして、山の中に通り抜けられる小径をつくり、山と平地が一体となった、変化に富んだ空間を作り出した。山の上からは芝生広場を見下ろすことができ、爽快な眺めである。
また、国土交通省の「環境共生住宅市街地モデル事業」を導入し、風力・太陽光兼用型照明灯の設置(2基)、リサイクル素材で作られたベンチの設置、様々な種類の植栽などを行った。小さな空間にもきちんと植栽が施され、全体的に緑豊かな印象である。ワークショップでは、シンボルツリーの候補として、ナンジャモンジャとクスノキが挙げられていたが、最終的にシンボルツリーはクスノキとなり、ナンジャモンジャも近くに3本植えられた。
平成20年6月1日には、桑名市、都市機構の共催により、地域住民に対する公園の説明会が実施された。ワークショップ開催時には最大でも住民参加者は16名であったが、今回は約40名が集まり、都市機構の担当者の方も「予想以上の盛況。中国の大地震の後で、世間の災害に対する関心も高く、タイムリーな企画だった」と言われていた。一方で、公園の計画づくりに対する関心は低いが、実際に出来た公園には行ってみようと思う方が多いということも意味していると思われ、参加意欲を高めるワークショップ開催の工夫が必要であると感じた。説明会では、「災害対策トイレ」の周辺の覆いの組み立て、耐震貯水槽の水の試飲などを行い、住民の方々から熱心な質問が相次いだという。
ワークショップによって基本計画がつくられた後、丁寧に細部を作り込んで実施設計を仕上げてくださったということもあり、住民の方々の希望を取り入れた、特色ある公園がつくられた。これから、地域の方々によってどのように利用されていくのかがとても楽しみである。
シンボルツリーのクスノキと周囲に置かれた災害対策ベンチ
風力・太陽光兼用型照明灯
ナンジャモンジャの樹
マンホール直結型災害対策トイレ
山の上から芝生広場を眺める
芝生広場から山を眺める
説明会の様子
(2008.6.6/伊藤彩子)