9月半ばに行われた第30回全国町並みゼミ伊勢大会に参加し、伊勢河崎を見学した。河崎は元々、勢田川の中流域に戦国時代に惣門と環濠を備えた町として誕生したと伝えられ、江戸時代には伊勢の台所として知られるようになった町である。
河崎への訪問は4年半ぶりであるが、今回は本通りや勢田川だけでなく、町並みが続く本通りに接続する細い路地の「世古(せこ)」、あるいは「環濠」の跡も見学し、町の全体像を見ることができた。前回訪れた時と比較すると、勢田川に河崎・川の駅が整備され、町家を再活用している建物が増え、少しずつ町並みとして充実してきているという印象を受けた。ただし、本通沿いにはトタンや看板がファサードに係っているなど改善の余地がある建物もまだまだ残っている。
2004年5月には、江戸時代から昭和30年代まで伊勢で製造されていた漆器「伊勢春慶」の再生を目指した取組みとして、伊勢春慶の会が発足した。京都工芸繊維大学のゼミと共同で試行錯誤を繰り返しながら商品化し、2006年7月には河崎商人館にブースを設け、展示・販売が行えるまでになった。伊勢春慶の再生には、昔ながらの箱(茶箱・弁当箱・筆箱など)だけでなく、手提げバッグやカード立てなど今風の雑貨や小物類の商品化(カジュアル春慶)も行われている。
単に町並みとしてハードを整備するだけでなく、伊勢春慶のようにそこにしかないモノの再生をプラスして、時間をかけながらも少しずつ進化している様子が伺えた。
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川の駅 |
伊勢春慶の実演(伊勢河崎商人館にて)
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河崎見学に参加 |
環濠跡
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ファサードのトタンを外せば・・・ |
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