名古屋市都市景観賞では、今年度から「まちづくり部門」が新設され、地域の個性や魅力のある景観につながっているまちづくり活動やイベントなどが対象となった。これまでは主に建築物や工作物等を対象としており、時々、市民活動賞やイベント賞として表彰されていたが、それを明確に位置づけるとともに、選定にあたって市民投票を実施するなど、より市民に密着した制度となった。
その第1回の表彰として選ばれた4つの活動の1つが、港区築地地区で夢塾21が取り組んでいる旧防潮壁の修景活動である。
この取組みは、すでに7年目に入っており、当社のホームページなどでも紹介させてもらっているが、これまでに子どもたちの絵、トリックアート、なつかしの築港の写真パネルの展示、通りの愛称募集と銘板の設置などを行っており、港のちょっと気になるオブジェとして紹介されはじめている。
私は、この活動の当初よりメンバーの一員として参加させてもらっているが、この活動の特筆すべき点は、継続的な取組みによって少しずつ活動が広がっている点だろう。
子どもたちの絵は、西築地小学校の5,6年生に総合学習の一環として描いてもらっており、当初より2年毎に取り組むこととしており、この2月7日に3回目の描画が行われた。名古屋芸術大学の学生さんに下絵を書いてもらい、その上に子どもたちが自由に絵を描く。アーティストと子どもたちの協働による作品だ。2年ごとに描いた作品はこれで3つ目となり、当初描いた子どもたちは高1と中3になっている。かれらが20歳になるまで残しておきたいというのがメンバーの希望だ。思ったより絵の劣化は少なく、あと6年なんとかもってくれることを期待している。防潮壁には、あと3回描ける場所が残っており、その後は塗りなおして描いてもらう予定であり、2年ごとに新たな風景が生まれるという息の長いしかけである。
当初、この取組みは修景の提案という形で始まったが、提案しただけでは実現しないということで、地元が資金集めもして実現にこぎつけた。行政からの資金はなかなか期待できない状況にあったのだが、まちづくり交付金制度ができたおかげで、これらの取組みも提案事業として資金が充当できることになった。予算の関係で更新は難しいと考えられていた写真パネルも更新することが可能となり、この3月に12枚の写真が交換される予定である。
会の活動としては認知度が広まってきているが、課題としてはややマンネリの点は否めない。そのため、新しい港のまちを発見しようと、子どもたちやアーティストにも参加してもらいタウンウォッチングを開催し、その成果をもとにまちの魅力マップづくりも検討されている。まちの歴史は埋め立て後の100年と短いが、その中にもいろいろなまちの記憶が残されており興味深い。新たなまちづくりの展開が期待されるところである。
<参考>
平成17年度名古屋市都市景観賞表彰作品《まちづくり部門》(名古屋市のホームページ)
<スペーシアホームページで紹介している防潮壁の修景活動の取組み>
防潮壁に子ども達の「未来・夢」
名古屋市・港区にトリックアート出現
築地地区のまちづくり(その4)−防潮壁を修景しよう
築地地区のまちづくり(その3)−防潮壁の修景を考えよう
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名古屋芸術大学の学生さんに描いてもらった下絵
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描画の様子。夢塾21のメンバーがお手伝い |
子どもたちの様子
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新聞の取材を受ける子どもたち
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