「ストリートファニチャー」という言葉をご存知だろうか。道路などの屋外公共空間に設置されるベンチや案内板、バス停留所などの施設の総称である。ヨーロッパ各国では、公共が設置するこのストリートファニチャーに広告スペースを設けることで、広告料収入を目的とする民間企業がストリートファニチャーの製造、設置、さらに管理まで行うというビジネスモデルが一般的になっている。また、このビジネスモデルはシンガポールや韓国などのアジア諸国でも活用されてきている。
日本においても規制緩和によって広告付きバス停留所の設置が認められ、横浜市、名古屋市、神戸市などで導入され始めてきている。名古屋市の場合、2005年11月から金山や桜通本町、名城公園などの計6つの市バス停留所で試験的に導入され、現在は若宮大通や桜通沿いなど都心部を中心に2006年9月までの供用開始に向け30基の建設が進んでいる。今後、市内の約3,600箇所の停留所の内約300基が新しい広告付き市バス停留所に変わっていく予定である。
民間企業が広告を設置しバス停留所の設置から管理まで行うため、行政コストがゼロになるほか、行政が行っていた清掃などの管理頻度も以前より増えるなど、行政経営面、市民サービス面においても素晴らしい仕組みである。広告付き市バス停留所を実際に見ると、広告があるものの景観を害しているという印象は全く受けない。試験導入後の市民アンケート結果においても新しい停留所は好評価であったそうだ。今後、バス停留所以外のストリートファニチャーについても同様の仕組みが適用されていけば、財政的にも景観的にも良いまちになっていくことが期待させられる。
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広告付き市バス停留所(桜通大津)
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建設中の広告付き市バス停留所(若宮大通沿い) |
従来型の市バス停留所
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