「Gifu建築ツアー」とは、毎年新年のご挨拶をかねてお送りしている社外報「ラバダブ」に今年掲載した岐阜の建築紹介のページである。岐阜県内にある名建築を40棟掲載しているが、以前作成した「Aichi建築ツアー」とは桁違いに取材期間がかかり、2年を費やした。やはり岐阜は山間部が多く、1日で見て回れる建築の数も3〜4棟程度に限られてくる。さらに、家族サービスを兼ねての取材となると、よほど慎重にツアーを設定しないかぎり、助手席からは愚痴が飛び出し、食事をおごらされるハメになる。しかし、苦労の甲斐があって建築を通じてさまざまな地域を訪れ、新たな知識や感動を得られることができる喜びは、三重や静岡、長野、滋賀へと、新たなツアーの企画を夢見てしまうのである。今回のメルマガでは「ラバダブ」では紙面に限りがあるため掲載できなかった記事を取り上げたい。
○サンヒルズ ヴィラアンキーノ
戸建てタイプの老人ホームに隣接し、デイサービスセンターとグループホームが一緒になった「ちゃぼぼ弥生」という施設がある。設計者によると、従来のグループホームでは画一的な個室を整然と並べるプランニングが取られるが、ここではあえて迷路状にしたそうだ。こうすることで、施設内で自分の部屋が分からず迷う人が減ったそうだ。
○南飛騨健康学習センター
気軽に健康診断が行えるよう、数多くの診断機器が置かれている。例えば、体組成のチェックでは手、足、胴など体の部分ごとの体脂肪率や脂肪量が分かる。その他珍しいところでは、現在のストレス度や血管年齢、脳年齢なども楽しみながら診断できる。また、有料であるが、血液のサラサラ度を調べてくれるTVでよく見る例の診断もしてくれる。
○サイエンスワールド
緑に囲まれた環境の中、最先端の科学技術を楽しみながら体験できる科学館である。子どもといっしょに工作を通じて科学の不思議を体験できるさまざまなワークショップや、実験をエンターテイメント性あふれるショーとして見せてくれる「科学実験ライブショー」など、プログラムがたいへん充実している。休日に家族でじっくり遊びながら学べる科学館というのは、とても価値のある公益施設である。
○藤村記念堂
多くの観光客が訪れる馬篭にある記念館である。外から見ると何の変哲もない小さな切妻の日本建築であるが、入り口を入ってすぐ左に掲げられた設計者谷口吉郎氏による直筆の設計主旨書に注目して頂きたい。達筆な文字で記されたその書に従い空間を追うと、たちどころにその建築に魅了されてしまう。そこには、奇をてらうことのない、まっすぐなデザインの極意が記されている。その空間に居ながらにしてその極意を体感できた経験は鮮烈に記憶に残った。
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