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自由空間 藁の棲(わらのすみか)

 名古屋市西区の円頓寺商店街の中にある多目的スペース「自由空間 藁の棲(わらのすみか)」を紹介したいと思う。この「藁の棲」は、地域と大学が連携して地域活性化を目指す「まちなか合同研究室」の取り組みとして、2004年度の愛知県「学生提案型地域づくり協働支援事業」モデル事業の助成を受けてできたものである。ストローベイルと呼ばれる土と藁で壁を仕上げる工法によって空き店舗を改修したスペースである。卒業研究の題材として取り組んだ名古屋工業大学の学生を中心に、地域の人々や他大学の学生など様々な人たちの協力のもと2005年1月中旬に完成し、2月5日にオープンした。

 モデル事業が終了した2005年4月からは地元の商店主、大学、まちづくりコンサルタントなどによって「藁の棲運営協議会」が組織化され、月1回の定例会とメールで管理運営を協議している。協議会では自らがワークショップや企画展などを通じて「藁の棲」を拠点とした地域活性化のための活動を展開するだけではなく、作品の展示・販売、イベント、ワークショップなどの会場として貸し出しも行っている。

 貸しギャラリーとして「藁の棲」を見ると、約20uの空間には藁の土壁に合わせてデザインされたディスプレイ用のテーブルや棚、間接照明などが備品として用意されている。また、利用目的などによって異なるが利用料金は最大でも1日2,000円という魅力的な料金設定である。個人でも十分に利用可能なギャラリーであると思う。先日訪れた際は、商店街の近くにあるハンドメイド工房「革工房うえすと」に通う生徒の作品展として利用されていた。ギャラリーに並べられた革製の鞄や小物類は、同じ天然素材からできているためか「藁の棲」の空間と雰囲気が非常に合っている印象を受けた。商店街に訪れた人が中に入って作品を鑑賞したり、出展者に質問をしたりしている姿がよく見られた。今回初めて「藁の棲」を利用した「革工房うえすと」は来年も引き続き利用したいということであるし、イベントを手伝っていた作家の1人も数ヵ月後に「藁の棲」を初めて利用した個展を開くことを予定しているそうである。今後ますます多くのイベントに利用され、情報発信や交流の場になることで地域の活性化につながると思われる。

 また、「藁の棲」のウェブサイト上にはイベント案内や利用案内だけでなく制作の様子などの情報が詳細に掲載・更新されているので、一度サイトをご覧になってから「藁の棲」を訪れていただきたいと思う。



「藁の棲」外観

「藁の棲」内部

(2005.10.31/山崎 崇)