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津島市の環境基本計画づくり
〜思い切った市民参加手法の試行〜
愛知県津島市
環境基本計画とは、将来目指すべき環境、その実現に向けての取り組みなどを定める計画である。津島市では計画づくりを進めるにあたって「市民が実践できる計画にするため策定は市民主導で行い、行政はサポーターに徹する」ことを決め、2003年9月、全員公募市民による環境基本計画策定委員会を発足させた。策定プロセス、運営体制、スケジュール管理、コンサルタント選定などを基本的には策定委員会に任せ、予算も開示している。2005年2月現在、54名の委員が登録しており、主婦、会社員、公務員、自営業者、ジャーナリスト、NPO関係者など多様な顔ぶれである。策定委員会は月に1回のペースで開催されており、その他策定委員会の運営を準備するための運営委員会やテーマ別の分科会、先進地視察等のイベントを随時行っている。
コンサルタント選定にあたっては、2004年5月に公募型プロポーザル方式により企画提案を募集し、市民委員が審査を行った。その結果、特定非営利活動法人中部リサイクル運動市民の会、特定非営利活動法人市民フォーラム21・NPOセンター、弊社の3団体の協同体が選定された。私もこれまで色々な「市民参加」関連の業務に関わってきたのだが、「スケジュールも手法も市民が決定する」というような業務内容は初めてで当初は面食らい、現在も試行錯誤しながら委員会運営のお手伝いをしている。
ある意味実験的と言える今回の計画づくりに半年位関わってきて、課題の多さを感じている。市の呼びかけに応じて自発的に集まってきた市民達であるが、「計画づくり」ということに関しては知識や経験が当然乏しい。そこで、いかに効果的に情報提供を行い、彼らが情報を吸収し、選択して前進していけるような環境作りをするかということが非常に重要になってくるのであるが、それがなかなかスムーズにいかない。我々コンサルタント側も技術不足である面が否めなく、情報提供しているつもりでも、きちんと伝わっていないことが多い。策定委員会は「とにかくやれることからやってみよう」という姿勢で色々なことに手をつけるのであるが、ひとつひとつの内容が最終的にどのような形で「基本計画」に結びつくのかというイメージがないまま進めるので、「さて、これをどうしたものか?」という風に壁に突き当たってしまうのである。具体的に言うと、現在「広報」「環境調査」「意識調査」「グリーンマップ」という4つの分科会体制で進めているのであるが、それぞれの分科会の役割が明確でないために活動がやや停滞している状況があり、今後体制の見なおしをしようというところである。紆余曲折を経ながら非常にゆっくりとしたペースで進んでいるのであるが、なかなか新しい展開が見えてこないことで苛立ちを感じる委員もおり、登録はしているが、ほとんど参加しなくなった人も少なからずいる。
私も実は「このままで本当に計画ができるのだろうか?」と少々不安になっているのであるが、一方でこのような計画策定手法を非常に面白いと感じている。最初にすべてのスケジュールを立てて、その通りに計画づくりが進んでいくという事が必ずしも重要であるとも思わなくなった。継続的に参加してくれている委員は「お客様感覚」な人はあまりおらず、怒ったり文句を言ったりはするが、真剣さを感じる。策定委員会の運営も、資料はコンサルタントが準備するが、司会進行は委員が自分達で行っている。市民委員、市、コンサルタントの心理的距離も近くなってきており、「一緒に進めている」という感覚がある。
2005年12月の策定期限に向けて課題は山積みなのであるが、私も一緒に勉強させてもらいながら、何とか運営を軌道に乗せていきたいと思っている。
市民がつくる津島市環境基本計画策定委員会のホームページ
http://www.es-net.jp/tsushima/index.html
策定委員会の様子
市のイベント時に再利用カップを使った
ビール販売を実施
グリーンマップづくりのための町歩き
(2005.2.8/伊藤 彩子)