大須30番地区市街地再開発事業により平成15年12月に完成した大須301ビルは、3階に整備された「大須中華街」が大きな話題を呼び、オープン当初より多くの人々が訪れた。オープン当初の勢いをなかなか維持できない多くの商業ビルに比べ、大須中華街は、一定の客数を確保し続け、消費者に定着しつつあるかに見えた。しかし、大きな経済効果が得られた万博が開催された今年の春頃から、急速に各足が遠のいていった。301ビルのテナントで構成されているテナント会では、「全店共通ポイントカード」の発行やメディアによる店舗の宣伝を行ってきた。また、市街地再開発事業を推進した権利者を中心に設立された不動産管理会社・大須商業開発鰍ナも、大須中華街をさらに強く打ち出すため、環境整備のための追加投資や地下鉄名城線での車輌内放送や情報誌への広告掲載などのPR活動に賃料収入の一部を充てる努力をしている。しかし、万博終了後も厳しい状況は変わらず、各足の回復に効果をあげるほどにはいたっていない。
そこで、大須商業開発では、2周年を契機にもう一度大須中華街の認知度の向上をはかるため、12月3日・4日の両日「大須中華街まつり」を開催する企画を進めている。1周年の際には、イベント業者にお任せの記念事業を実施しているが、今回は、旧来の大須商店主である会社役員が中心となって企画会議を設置し、企画立案から実施まで、手作りの事業を進める。企画メンバーは、イベントの自主運営の経験は少ないものの、大道町人まつりをはじめ自主企画の経験を有する大須商店街、これまでの蓄積を有効に利用・活用できる強みがある。
当日は、来館者に専門家による二胡演奏及び本格的作法で淹れた中国茶をサービスする他、花文字の実演・販売や細工物を扱う中華職人展、子供向けに中国金魚すくいや301ビル内にある龍をテーマとするクイズラリー「龍さがし」、中国占いなど多彩な企画が予定されている。また、大須中華街のシンボルとして壁面に黄金龍を設置したことから、中国より購入され万博のプレイベントで使われた龍を借用し、「大須ロンロン蛇踊り」が商店街を練り歩く企画も進んでいる。準備期間も少なく、龍の担ぎ手も素人にならざるを得ないなど、ハンディはあるが、年を重ねて大須の名物となった「おいらん道中」のように、この2周年記念事業を機会に、大須の新しい行事に育て上げていきたいと企画メンバーは考えている。
手づくりの再開発事業を行ってきた商店主が、苦労は多いものの、手づくりの行事を実施することで、華々しい301ビルのオープンの陰に隠れ、忘れさられた主体的な風がもう一度吹きはじめ、再開発の大きなテーマであった大須中華街が消費者に支持され、商店街に定着していくことを願う。
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