2000年に準備組合が設立されてから約5年、2009年完成を目標に岐阜市が進めている「杜の中の駅」構想、そのリーディングプロジェクトとして期待さてきた吉野町6丁目東地区市街地再開発事業「大岐阜ビル」が5月24日に竣工した。駅前の景観を重視、外壁に使われた美濃焼のタイルが重厚感を醸し出している。環境対応促進型事業の採択を受け、壁面緑化や屋上庭園の整備をするとともに、1階にはポケットパークが設けられ、都市の癒し空間づくりを工夫している。また、2階は、ビルに連結して公共歩廊が整備された。竣工には間に合わなかったが、近く、JR岐阜駅に直結することになり、JRと名鉄の間を行き交う人々に快い空間を提供することになる。
地方都市における再開発は、一般に、施設需要で厳しい状況が続いており、岐阜市も事務所需要は空室率が高く、厳しい環境にある。しかし、再開組合、行政及び関係機関の努力により、保険会社のコールセンターを誘致、新たな需要を呼び込むことにより、4階のメディカルモールの一部を除き、事務所・店舗は、全室テナントが決まっての竣工を迎えることができた。
一方、駅前再開発第2弾となる駅西地区では、2007年夏の完成を目標に岐阜市シティ・タワー43の工事が進んでいる。この目玉事業の一つである高層分譲マンションは、5月より分譲が開始された。モデルルームの来訪者は1500組、第1期、200戸に対して447件、第2期、43戸に対して142件の応募があり、ともに即日完売だった。売れ残るのではないかという、事業参画しなかった多くのディベロッパーの評価はものの見事に外れた。購買要因は、今後の購入層の分析結果に待たれるが、事業のシンボル性、福祉施設との一体化、駅前という利便性などが、潜在的な需要を喚起したものと思われる。
JR岐阜駅東地区再開発組合の大松理事長は、竣工式で「岐阜駅前の新しい顔となるばかりでなく、多くの若者の雇用の場を提供できた意義は大きい」と、事業の成功を宣言するとともに、「この成功を他の地区は、弾みにしてほしい」と語った。岐阜市内では高島屋の再開発以来、4半世紀ぶりの再開発であるが、岐阜市内では他にも多くの地区で再開発の検討が進められている。2地区が築いた成果は、他の地区にも良い影響をあたえるものと思われる。
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