津島市では毎年、ゴールデンウィーク期間中に「藤まつり」が開催されるが、今年はこれと同時期に「―信長の台所―津島・まちあそび」というイベントが行われた。これは、市民組織・天王文化塾のメンバーが中心に企画した、手作りイベントの集合体である。社寺の境内や本堂、町家の土間や座敷、蔵などを舞台に、市民公開講座や講演会、展示、コンサート、お茶会、フリーマーケットなどが次々と開催され、いつもは静かな町並みに活気を生み出した。
各イベントは、「知る」「観る」「聴く」「味わう」「買う」の5つのカテゴリーの中で行われた。「知る」イベントとしては、郷土の歴史・文化を学ぶ「寺子屋講座」、津島のお抹茶文化について町家と庭の関わりから考える「町家とお茶と庭の文化フォーラム」が開催された。「観る」イベントとしては、市外の若手作家によるアート作品の展示販売、津島の街道の風景画展、写真展「イラクの子ども、イラクの人々」、民具と花を蔵の中に展示する「蔵と民具と花展」、天王まつりで飾る能人形の展示が行われた。「聴く」イベントとしては、インド楽器による演奏会、ウクレレライブ、僧侶が演奏する「お坊さんライブ」が、お寺の本堂を会場に開催された。「味わう」イベントとしては、津島の地酒とチーズを味わうセミナー、津島ゆかりの陶芸家にちなんだお茶会「お茶と大橋秋二」、「お茶会と津島まつり掛け軸展」が開催された。最後に「買う」イベントとしては、地域住民による「門前市」やいくつかのフリーマーケット、伝統工芸品の実演販売が行われた。
最も多くのイベントが重なっていた5月3日・4日が残念ながら雨天だったため、天王川公園の藤棚を見に来る人は例年よりも少なめであったが、「まちあそび」のイベントは、屋内で行われたものについてはそれぞれ盛況だった。よく考えれば、屋内の催しが多い「まちあそび」の開催により、藤まつりを雨天でも楽しむことが可能になったと言える。ただし参加者は、イベント主催者が呼びかけた知り合いの数がまだ多く、アットホームな雰囲気で行われた。今後は、もっと色々な人に来てもらえるように盛り上げていけるとよいと思う。
この祭りは、発足5年目を迎える天王文化塾の「塾生」の力を結集した祭典として、それぞれ企画を出し合い、約4ヶ月かけて内容を煮詰めていった。自らイベントを企画できる人材がたくさん育ってきたということであり、組織の成熟を感じる。とてもよかったのは、イベント企画者達が非常に楽しんでいたということである。自分が企画した催しに様々な人が集まり、感心したり感動したりくつろいだりしている様子を目の当たりにして、多くの人が「やってよかった…」と感じたと思う。浄蓮寺で行われた「インド楽器による演奏会」のスタッフである私も、その一人である。今年からはじまった「まちあそび」であるが、これからみんなでゆっくりと育てていけるといいと思う。
○天王文化塾HP
http://www.ne.jp/asahi/marron/hut/tenjyuku/index.html
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「津島の地酒とチーズの美味しい関係」
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お坊さんライブ「いのちの花を〜津島へ〜」
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インド楽器による演奏会「インドの風〜津島へ〜」
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提灯の絵付けコーナー
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若手作家「うとうと展」 |
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