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西春駅前の優良建築物等整備事業「パティオニシハル」完成
愛知県西春町
 平成11年より3名の権利者と共に積み上げてきた再開発事業が、この秋に完成した。

 この計画では再開発事業でありながら、権利者の3名がそれぞれの土地にそれぞれの建物を建てるという緩やかな共同化を行っている。そして、3者が協力しパティオ広場という中庭を整備し、それを囲むように建物が配置されている。当然、外観の材料や形態は統一感を持たせている。また、2階レベルでは共用階段、共用デッキにより3棟を結ぶ通路を整備している。こうしたことにより、小さい施設ではあるが、1棟の建築では表現できない空間を構築している。町内では少なからず話題になっているようで、通りすがりの方が興味津々と眺める姿を目にすると、設計者としては喜びがある。

 施設には9戸の賃貸住宅と6軒の貸店舗がある。賃貸住宅は約20畳のワンルームと約100uの3LDKという構成で、あえてあまり賃貸市場にはない物件を造った。将来的にも陳腐化しない物件になることだろう。賃店舗の方はまだすべて決まってはいないが、引き合いは結構あり、さっそく1軒が先日オープンを迎えた。

 さて、建物は完成したが、まだまだ事業は完了ではない。共同での維持管理は悩ましい問題が付きまとうものである。実際運用しながら出てきた問題に対応していくということも多く、順調に行くにはもう少し時間がかかりそうである。

 この事業は私にとって再開発のコンサルタントとして、また建築の設計者として立ち上げからずっと関わってきた仕事である。当初は建築のことは少し分かっていたが、再開発事業やまちづくりのことは何も分からない状態からのスタートであり、この事業を通して、困惑しながらもさまざまな経験を得ることができた。思い返すと西春町はもとより、全国的にもあまり事例がないような空間が出来上がっており、計画としても、建築としても「他にはないもの」を造り出した達成感を感じている。

(2004.12.13/堀内 研自)