愛知県西加茂郡小原村は12の行政区に分かれており、村の南東部の矢作川沿いに位置しているのが矢作地区である。ここで2002年度に2回のワークショップが行われ、矢作地区内で今後どんな活動が必要であるか、住民同士で知恵を出し合った。これ以前に村内の大平地区、中区でワークショップによる計画づくりが行われており、矢作地区でも実施したいという要望があったため、村(農林課)が実施することになったのである。企画・運営には地元でまちづくり活動に取り組んでいる「どうしよう会」や「小原清流会」のメンバーも積極的に関わり、スペーシアもお手伝いした。
第1回ワークショップ(2002年10月5日)では地区内を歩いて点検、第2回(2003年2月9日)では目標や活動内容を話し合った。できるだけたくさんの人に参加してもらうため、各回にはキノコ汁や秋刀魚、五平餅などを味わう「味覚バトル」が地元の人達の準備によって組み込まれ、話し合いをすると同時に味覚を楽しんだ。2回のワークショップの結果、自然を生かす「四季部会」、河川敷を利用する「かわ坊主部会」、史跡や信仰を伝える「昔むかし部会」という3つの部会に分かれて活動をしていくという方向性が決まった。また、矢作地区のキャッチフレーズは「みんなでチャレンジ!!花も実もなる矢作地区〜世代を越えて心のふれあい〜」とすることになった。
2003年度から各部会の活動がはじまり、現在も継続されている。ワークショップによる計画づくりをした行政区に対しては、活動を実施していくための補助金が村から支給される。2004年8月21日には、「かわ坊主部会」によるイベント『矢作川を知ろうand釣り大会』が実施された。矢作川に住む魚の説明を聞いた後釣り大会を実施し、釣った魚を揚げて食べたりした。地元の別のイベントと重なってしまったため参加人数は少なめであったが、子ども達の参加もあってにぎやかに行われた。
「四季部会」では道路沿いの植樹やベンチづくり、「昔むかし部会」では史跡に案内板を設置する活動などを行っている。私は2003年のワークショップ以来、1年半ぶりくらいに訪れたのだが、ワークショップで考えたことがきちんと実施に移されていることに驚いた。「自分達の地域は自分達の手で作る」という気持ちを持っている人が多いのではないかと感じる。
小原村は豊田市に編入合併することが決まっているが、行政区の活動の支援は合併後も続けていきたいと村では考えているそうである。
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ワークショップで地域を歩いて点検。
写真は湧き水を発見したところ
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ワークショップでの話し合いの様子
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植樹した木
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手づくりのベンチ
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「塩神様」と呼ばれる石(左端)に案内板を設置
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イベント「矢作川を知ろうand釣り大会」の様子 |
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