東海3県には重要伝統的建造物群保存地区が5地区(岐阜県4地区、三重県1地区)あるが、その中で最も新しく選定されたのが「美濃市美濃町」である。とはいえ、平成11年5月13日の選定なので、すでに5年が経過した。地元では、町割りの形から「目の字」地区と呼んでいる。
まちの歴史は、江戸時代初期の城下町として町割りにはじまる。6つの街道を集めるとともに、川湊が築かれ、町は多くの物資が集積する商人の町として繁栄した。目の字地区にはうだつのある家が多く残っており、塗りごめの民家、土蔵などが歴史的町並みを形成している。美濃和紙の産地としても有名であり、この町を舞台に10月に開催される「美濃和紙あかりアート展」は第6回ふるさとイベント大賞も受賞している。
ここでは、伝建地区の指定を契機として、歴みち事業(まちづくり総合支援事業)によって道路修景、電線類地中化、ポケットパーク等の整備が進められており、市道部分の道路整備、電線類地中化がすでに完了している。伝建地区の指定によって、歩道のないこの地区でも地中化が可能となった。当初、道路工事が続いていたことから住民は反対したが、モデル地区で事業を実施し、その効果が見えることによって住民の反対がなくなり、早くやってほしいという声に変ったという。電柱に街灯がついていたことから、電柱が無くなると街灯もなくなることになり、当初は街灯を新たに設置するという考えもあったが、それはおかしいということから、各住戸に照明燈がつけられている。これは、聖窓(箱形の格子付き出窓。その中に油火を入れて門灯と街灯を兼ねる)の考え方が採用されている。
飲食店をはじめ観光客相手の店がかなり増加しており、町並み散策する人も多いが、道路が比較的広く、車の通行も多く、危険を感じることも多い。観光地としてではなく、住んでいる人が快適に暮らせるまちを目指しているということであるが、生活環境を守る上でも通過交通が入ってこないようにする必要があるだろう。周辺の道路整備が望まれる。
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電線類の地中化が完了し、整備された道路
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うだつ
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各住戸に設置された照明 |
いろいろな店が増えた
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