岐阜市は、JR岐阜駅前から柳ケ瀬一帯を昨年7月に都市再生緊急整備地域の指定を受け、官民一体となった再開発・まちづくりを積極的に進めている。JR岐阜駅前地区では、JR駅ステーションビルの取り壊し工事に着手、「杜の中の駅」をコンセプトとした、駅前広場整備が本格的に動き始めた。民間の再開発計画も各地区で進行している。先人を切って吉野町6丁目地区では、優良建築物等整備事業によりホテルを中心とする「リブラ21」が3月2日にグランドオープンした。JR駅前東地区では、2005年5月竣工をめざして市街地再開発事業によるオフィスビルの建設工事が進んでいる。岐阜駅西地区では、16年前に再開発組合が設立され、三越の出店意向撤回によって紆余曲折したが、一昨年、企業提案方式を採用。岐阜市の進める都心居住施策を受け、分譲マンション、賃貸住宅、福祉施設、商業施設等で構成される超高層ビル建設の方向がまとまり、事業化に大きく踏み出した。保留床処分先もほぼ固まり、事業フレームが確立されたことから、早期着工をめざして、関係者の調整が進められている。小規模なアパレル企業が集積する問屋西部地区でも、長年再開発の検討が進められてきたが、南街区が先行して準備組合を設立。アパレル結集拠点「アパレル・マート」の整備を目標に、現在、年内での市街地再開発事業の都市計画決定をめざした活動が進んでいる。
一方、大型店の撤退・閉鎖で岐阜都市圏の中心商業地としての経済基盤が低下している柳ケ瀬地区でも、近鉄百貨店の跡地で情報発信基地の建設事業が進んでいる。柳ケ瀬北地区や高島屋南地区でも、再開発の準備組織が、商業、福祉、住宅を主とした市街地再開発事業に取り組んでいる。2地区とも年度内での都市計画決定をめざし、調整が進められている。
地方都市の経済はまだまだ厳しい状況にある。40万都市、多くの地区で進められている再開発について、需要面で心配する声もないわけではない。しかし、岐阜市では、ハード整備をめざす再開発組織ばかりでなく、「ぎふまちづくりセンター」や「岐阜市にぎわいまち公社」をはじめ、中心部を活性化しようとする市民の草の根的活動も活発化しており、官民一体となって取り組む積極的な活動の蓄積が、厳しい経済状況や様々な課題を乗り越えて、都市再生に向けて大きく踏み出し始めている。
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