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旧い堀を改修したまちの魅力づくり−桑名市寺町通商店街
 三重県桑名市西部の旧城下町地区にある「寺町通商店街」は、寺院の門前町としてさかえ、「七里の渡し跡」にも近く、またかつての桑名城の外堀「寺町堀」に隣接し、歴史情緒漂う環境にある。この商店街で三と八のつく日に開かれる「三八市」は、50年以上の歴史を誇り、地元を始め県外から多くの買い物客が訪れ、大変な賑わいを見せている。しかし、相次ぐ大型スーパーの出店や消費者ニーズの多様化が進む中、商店街として新たな対応が求められ、ソフト・ハード両面からの商店街活性化と空堀となった寺町堀の活用を検討した「商店街活性化調査事業」が、スペーシアも関り9年ほど前に実施された。
 寺町堀は、堀としての歴史資産を再整備するとともに安全で快適な歩行者空間の形成を図る「身近なまちづくり支援街路事業」として整備が進められていた都市計画道路桑名城外堀線の一部に含まれる。最近になりその寺町堀の整備がほぼ完了されたとの話題を聞き、久しぶりに訪れてみた。以前の寺町堀は雑草が生えまさに"商店街の裏側"だったが、新しい寺町堀は堀の半分を埋め立てて歩道が確保され、残り半分の堀部は、水深及び幅員が以前の1/2程度の石積み水路となり、より親水性が高い堀として生まれ変わっていた。残念ながら堀へ導水はまだだったが、今後導水されれば涼を求めてやってくる多くの人々で賑う空間になるのではないだろうか。さらに、堀を活用したイベントを開催することで商店街の集客効果も期待できる。
 また、商店街は過去に何度も訪れていた時と変わらず、温かみがあり親しみやすい雰囲気だった。これが三八市ともなれば人ごみを掻き分けてでもしないと進めないほどの賑わいになるから面白い。
今回の寺町堀以外の場所でも外堀の整備は進められており、七里の渡しや六華苑などとともに地域の魅力は高まりつつある。あの当時、商店主をはじめとする地域住民の街づくりへの高い意識とそれを支援する行政の取組に強い一体感を感じたが、寺町堀の整備が実現されたのをみると今もその関係は継続しているのだろう。この商店街を中心とする地域の今後の展開が楽しみである。

   (2003.8.4/村井 亮治)