岐阜都市圏の中心商店街として繁栄してきた柳ヶ瀬は、近年、名古屋市内の商業開発や岐阜市郊外の大規模店の立地に伴う競争激化にあって、岐阜近鉄、長崎屋等の核店舗が相次いで閉店するなど、厳しい商業環境に直面している。商店街では、各種イベントの開催や中心部巡回無料バス「柳バス」を15分間隔で走らせる(運行期間9月28日〜平成15年2月28日)など商店街の話題性を高め、客足の減少に歯止めをかけようと積極的な努力が重ねられている。しかし、柳ヶ瀬商店街は、中心性を強めていった結果、ファッションと夜の飲食を主体とする単一機能に純化した商店街となり、今、消費者が求める時間消費型の複合商業地としての要素を欠き、その構造変革への遅れが衰退の大きな要因となっているのではなかろうか。こうした状況のまま推移すれば、衰退化傾向に一層拍車がかかり、まだ目立つ程ではない空き店舗も急速に増えるものと思われる。
そうした情勢にあって、高島屋の立地する南、約0.6haの地区内の中堅商店主が危機感を抱き、約2年半の協議会活動を経て、本年9月4日に高島屋南市街地再開発準備組合を立ち上げた。彼らは、5月より権利者を一軒一軒訪問し、まちづくり・再開発の必要性を語り、協力を求めて行った。昨今の経済情勢では成功は期待できないと反対する声もあったが、概ね権利者の2/3の同意を取り付けられたことから、今後も粘り強く理解を求めていくことの必要性を認識した上で、2年後の都市計画決定をめざして準備組合活動をスタートすることとした。現段階での再開発構想では、低層階にヒューマンスケールの商業複合施設(柳ヶ瀬地区にない路地空間、テーマレストラン、スポーツ施設や公益的施設等)を配置し、また、足下の商圏を固め生活感のあるまちづくりをめざすべく高層階には定住人口の増加をめざした住宅を配置する案となっている。
事業実現のためには、解決すべき多くの課題に対して、地元が真に危機感を感じ、自らの問題として主体的に行動をおこすことである。その第一歩がようやく始まったところである。
柳 ヶ瀬の復権をかけた地元商業者の挑戦が、地区の再生を困難にするほど衰退化する前に、実を結ぶことを期待したい。
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