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 「やきもの散歩道」を通して 愛知県常滑市

 私が生まれ育った愛知県常滑市では、穏かな伊勢湾に巨大な空港島を建設中で、街も国際空港の玄関口としてふさわしい都市へと大きく変わりつつある。

 一方、常滑は日本六古窯の一つとして数えられる焼き物産地で、今なお高い生産力を誇っている。そして、市内には古くからの窯や煙突が残り、それら歴史的資源を活用し散策しながら常滑の歴史・文化に触れられる「やきもの散歩道」が整備されている。散歩道には窯や煙突の他、民家や工房を改装したギャラリー、ショップ、飲食店が点在している他、最近では旧い廻船問屋の屋敷(市指定文化財)も整備され焼き物以外の常滑の歴史にも触れられる空間になりつつある。散歩道を久しぶりに歩いてみるといくつか新しいショップができ、その充実ぶりが見受けられる。私は、そんな新しいショップの一つを訪ねた。そこは、オーナーがスペーシアとも関わりが深く、HPでも紹介しているショップで、私自身久しぶりにお会いすることができた。

 今、散歩道は全国から多くの来訪者があり、常滑の重要な観光エリアとして位置付けられている。行政も散歩道を活用したまちづくりに力を入れ、住民も新たなショップをオープンさせるなど、盛り上りを見せているとオーナーは話してくれた。いずれも郷土をよくしたいという想いの表われであり、今後は空港ができるのだからそれを活かし、もっと多くの人に常滑やいくつかの焼き物産地があるこの東海エリアを知ってもらえるようにしたいと意欲的だ。しかし、そのためには今以上に行政との連携や地元住民の理解も必要であると課題をあげていた。1時間近くに亘りオーナーの熱心な話を聞いて、今後の常滑のまちづくりに対する大きな期待とともに、コンサルタントとしても何か地元のためにしていきたいという想いを改めて感じた。

 私が訪れた日は散策をするには大変な暑さだったが、オーナーは、そん中来訪してこらられた他のお客さんに「暑い中ありがとう」と声をかけられていた。ここは、人々をいつでも優しく迎え入れ、そして気持ち良くもてなしてくれるそんな穏かな空間であった。

 2005年に国際空港が開港し、街の表情や機能がどう変化するのか大変興味深いが、ここ散歩道は常滑の歴史と文化が感じられ、今回訪ねたオーナーのような素晴らしい人がいる、そんな場所であり続けて欲しい。                




(2001.7.23/村井亮治)