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ワークショップによる公園づくりの取り組み
〜東区・新出来せせらぎ公園〜

 これは名古屋市が企画したもので、スペーシアもコンサルタントとしてお手伝いしました。2000年度中に4回開催し、基本設計を終えました。このワークショップに関わったことは、弊社にとっては住民参加の非常によい勉強になりました。
 当初は地域住民の代表を交えて企画することを考えていました。そこで町内会長など地域の役員の方々に集まってもらい相談したところ、思いがけない反応が返って来ました。「ワークショップを何のために開催するのかわからない。する必要もない」「忙しいので迷惑である」と言う人が多かったのです。私達は日頃、どちらかと言うとまちづくりに意欲的な住民の方々に接する機会が多いため、そう言われて戸惑いました。しかしちょっと考えてみれば、突然聞いたこともない「ワークショップ」という言葉を言われ、仕事などで忙しいところを参加してくれと言われたのですから、そういう反応が普通なのかもしれません。

 それから今までに4回のワークショップを開催したのですが、思えば紆余曲折、よく言えば臨機応変の道のりでした。まず、住民の方から出された意見を受けて、公園に対する希望を聞くアンケート調査を行いました。そして、町内役員の方に呼びかけを行い、ワークショップへの協力を求める説明会を開催しました。この時、「あまり回数が多いと参加が大変だ」という意見が出され、当初4回予定していたワークショップを2回に縮小することになってしまいました。
 そして、ワークショップを開催しました。結局、住民の方には企画には参加してもらうことはできず、名古屋市と学識経験者(名市大の鈴木賢一先生、名大の小松尚先生)及び学生、そして弊社で準備を行い、住民に呼びかけました。ただし、ちらしの配布は町内会ルートで地元にお願いしました。第1回「こんな公園になったらいいな」(近くの公園などを見に行き、よいと思ったものを写真撮影して持ち寄る)では、物珍しさもあってか予想以上に盛り上がり、胸をなでおろしました。2回目は「イメージをかたちにしよう」で、公園の模型づくりを行ってもらいましたが、これは「ワークショップではなく、住民の方に作業を手伝ってもらうもの」と言い訳しながらやや強行に開催した回だったため、人の集まりも悪くやや盛り上がりに欠けました。ただし、模型づくりはなんとかできました。第3回は「公園のプランを見よう」で、2回目の結果を受けて2つの案を模型で示しました。この回は人の集まりもよく、みんなの意見を聞きながら1つのプランを選びました。そして4回目は番外編であり、子供会を通して子ども達や保護者の方々に集まってもらい、欲しい遊具を選んでもらいました。多くの子ども達が集まってくれて、積極的に意見を言ってくれました。さすが、遊びの専門家です。

 我々の熱意が通じたのか、反対するのをあきらめたのか(?)、回を重ねるごとに地域の方々も最初の様な抵抗感を持つことはなくなっていき、企画にこそ参加しないものの、このような取り組みに理解を示してくれるようになったと感じます。今回の経験により、地域それぞれの事情に合わせた方法で進めていかなければ、住民参加はうまくいかないということがわかりました。状況に合わせてやり方を変えていくことが必要です。
 公園の基本設計が無事終わり、今後は実施設計に入ります。施工段階でも、住民の方々に楽しんで参加してもらえるような機会づくりを、懲りもせず構想中です。


第1回「こんな公園になったらいいな」

第2回「イメージをかたちにしよう」

第4回「みんなで公園の遊具を選ぼう」

(2001.4.6/伊藤彩子)